2017/07/04
ホビージャパンnextという本を作った話
2017年3月10日に月刊ホビージャパンの別冊として発売された「ホビージャパンnext」。
発売からかなり日にちも経過し、そして第2号の企画も始動しつつあるので、今回はこの本について少し書きたいと思います。
「プラモデルで世界を旅する雑誌」というテーマを掲げています。これは自分がスケールモデル、特にタミヤのMMシリーズのプラモデルの実車解説を読んでいるときに解説内に出てくる戦場や国とはどんな場所なんだろう?という小さな興味心から来ています。そんな興味心がフワフワしながら仕事をしている時に、スケールモデルでロシア物がボコボコ出ていることに気がつきました。タコムのT-55シリーズがきっかけで、このキットの発売タイミングでトランペッターやモンモデルのキットを集めた「ロシア特集」を今やるべきだ! と思い立ち、その時、これまでフワフワしていたあの興味心を盛り込んで見ようと思ったのです。それが2016年7月号の特集「ロシアってなんだ!?」になりました。
本特集の反響が本当に多く、国という側面を見ながらプラモデルを楽しむ見せ方をもっと突き詰めてみたい。1冊の本が作りたい!となり、企画書、台割り(本設計図)、全体のコンテをすぐ殴り書きしました。しかしここから本当の苦難が…。
台割り写経を知る
特集をベースにどんな内容を盛り込んでいくか。新しく追加する内容を特集に肉付けしていくように台割りを作成していきました。そしてその台割りを居酒屋で友人に見せながら「こんな本作ろうと思う」んだと言った時、彼は「やりたいことはわかるけど台割りにインパクトなくない?」とズバッと。そして続けて「台割り写経って知ってる?」と。大手出版社の若手はライバル誌などの本を台割りに当てはめてどのような特集をしてどのような狙いで、どんな構成をしているのかを研究しているそうなのだと。編集歴8年、営業歴2年の10年目社員ですが、その社会人人生の中でもかなりのインパクトでした。もちろん様々な雑誌を常に読んで参考にしています。しかし台割りを写経するということは全く知らず…。試しに近くにあった雑誌を1冊やってみると…今まで気がつかなったことがとにかく見えて来ました。そして1日1冊の写経を心がけ、計50冊以上はやったと思います。その結果ホビージャパンnextの台割りはver.20くらいまでいきました。デザイナー様にもこうしたいからこう変えたい! この方が絶対に面白い! やっぱ最初の方が良かったね!と何度も電話とメールで意見をぶつけまくりましたが一度も揉めることはなく、本当にポジティブに台割りを製作していくことができました。
クビンカの1枚の写真が背中を押してくれた
各国には自国の兵器などを展示している博物館があります。これまでも博物館で撮影した写真を資料として紹介するとういうことは模型誌各紙で何度も行われて来ました。当初は自分も兵器に寄ったページにしようと考えていたんです。ロシアに行ってくれた社内の人間から提供していただいた写真を整理している時、このクビンカのページの扉に使用したカットと出会いました。「ロシアの女性が砲身に手を添えている」。兵器との距離感、博物館の空気感が分かる写真。これだ!と。博物館の展示品を詳細に紹介するのも、もちろん楽しいと思います。でも今回はその方法ではなく、博物館の雰囲気を重視しました。取材写真は沢山ありますので、博物館と博物館がある街の様子や食べ物、人にフォーカスする本はホビージャパンnextとは別の手法でお見せしたいと思っています。(→本作るのって楽しい!)
陸のクビンカに対して空のモニノ。ソビエト時代の試作機などが屋外に展示されているその雰囲気。この雰囲気が展示されている航空機をより輝かせます。
料理、お土産。僕たちは五感で国を楽しむことができる。
人は何を食べているのだろう?どんな民芸品があるんだろう?そして何を信仰しているのか。五感で当たり前に感じるもの、五感を超えてその国の柱となる信仰が集まったものが国。日本らしいってなんだろうとこの考えでホワ〜と思い浮かべると国らしくなって来ませんか? それをページにしてみようと。単純に本のアクセントとして作ったページではなく、模型とか博物館の写真だけだと国の雰囲気は掴めない。だからこそこのようなページが必要だったのです。台割り写経していなかったら絶対に入ってなかったと思います。
カズ・オオモリ様との出会い
ロシアンアヴァンギャルドを意識したイラスト。カズ・オオモリ様との出会いは本当に偶然。表紙は絶対にイラストで行きたい! ホビージャパンnextは模型に縛られたくなかったのです。模型が全てではなく模型も本を構成する一つの要素であるとしたかったのです。デザイナー様からこんなかっこいいアイアンマン描いている人いるんですよ〜と一枚のイラストを見せてもらいました。その衝撃。もうホームページのコンタクトに速攻メールを送りました。いきなりのぶち込み営業。しかしそのすぐ後にオオモリ様から連絡が。企画にも賛同いただきとても素敵なイラストをあげていただきました。ここまでミリタリーテイストなイラストは初めてとのことでしたが、それだからこそこの構図が生まれたのだと思います。
と長々書いていきましたが、ホビージャパンnextはそのタイトルのnextが示す通り、模型趣味の楽しさをその次へと進んでもらえたら嬉しいという願いを込めています。そして作り手の自分も楽しみ、次のものを見せられるようにという目標でもあります。1号では終わりません。あの紙で、あの厚さで多くの人の本棚にホビージャパンnextが並ぶよう頑張ります。
ぜひホビージャパンnextよろしくお願いします。
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