ドローンがとらえたチェルノブイリの今
ドローンは災害救助用途への研究開発も進んでおり、福島原発への応用も模索されています。原子力事故が起こった際、人間が入ることができない場所にドローンを配備し、現場の様子を確認するといったアプローチも行われています。
チェルノブイリ立ち入り禁止区域をドローンで撮影
世界的な原子力事故としてはチェルノブイリやスリーマイル島原発事故が有名ですが、英国のダニー・クックがこのほど、チェルノブイリの立ち入り禁止区域の一つで、現在では無人の街となっているプリピャチをドローンで空撮して話題となっています。
街の上空をドローンが飛行し、長らく人間の手から離れた文明の痕跡を鮮明な映像でとらえています。人間が数十年にわたって文明を手放すと、植物を始めとした大自然が街を飲み込んでいく様がまざまざと見て取れます。
今回の動画はCBSの「60 Minutes」という番組内で放送されました。
チェルノブイリの原子力事故当時、ソ連政府は原発から30キロメートル圏内に住んでいる住民135,000人を強制疎開させる措置を行いました。今回撮影の舞台となったプリピャチは原発から4キロメートルしか離れていなかったため、この対象区域内に入ってしまいました。当時、プリピャチには49,400人の住民がおり、全ての人々が強制的に移住させられたのです。現在でも同地域は一般人の立ち入り制限区域に指定されており、 今回はクック氏は実際に立ち入る代わりにドローンによって撮影を行いました。一方で、一部の人達からは観光名所として認知もされており、現地のツーリスト会社は見学ツアーも催しています。ただし、事前に健康被害については自己責任であるという趣旨の署名に同意しなければなりません。
By: Thomas Anderson – CC BY 2.0
放射能汚染に対応可能なドローンも開発
英国のブリストル大学では、原子力事故が起きたときに核物質が周囲に放出された状態でも稼働することができるドローンを開発しています。同大学の研究チームはARMプロジェクトを発足し、ドローンを利用して放射線レベルを監視することを目標にしています。実際に福島原発での導入なども検討されており、今後も注目のプロジェクトです。