行政文書の管理適正化へガイドライン見直し 有識者は

行政文書の管理適正化へガイドライン見直し 有識者は
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国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐって行政文書の管理の在り方が議論となり、政府は、管理の適正化に向けてガイドラインを見直すことにしています。有識者からは、共有された文書は行政文書であり、公開の対象だという指摘の一方、責任の所在が不明確なものまで公開すれば混乱を招きかねないとして、慎重な対応を求める意見も出ています。
国家戦略特区での獣医学部新設などをめぐって、中央省庁の職員の間で共有された文書やメールの管理の在り方などが議論になり、政府は、管理の適正化に向けてガイドラインを見直す方針です。

この中では、業務に関して作成されたメモやメールなどの電子データのうち、どこまでを行政文書と認定するかや保存期間などが焦点となる見通しです。

これに関連して、公文書管理に詳しい東洋大学の早川和宏教授は、共有された文書は行政文書であり、公開の対象だとしたうえで、「将来の国民が検証できるかどうかという観点で管理することが必要で、行政の対応を第三者がチェックできるようにすべきだ」と指摘しています。そして、ガイドラインの見直しで対応する場合、各省庁の恣意(しい)的な運用によって不都合な情報を隠すことが可能になりかねないとして、公文書管理法の改正が必要だとしています。

これに対し、経済産業省出身で中部大学の細川昌彦特任教授は「現場では生煮えの意見や未確認の情報でも日常的にメールでやり取りすることがあるが、そのまま世の中に出ると無用の混乱を招く。情報公開自体は大事だが、自由かったつな議論を萎縮させてはならない」と指摘しています。そのうえで、明確な基準を設けて、意思決定過程がわかる重要な文書は長期間保存して公開する一方、備忘録など責任の所在が明確でないものの公開は慎重に対応すべきだとしています。