高瀬
「今、全国の公立の小中学校で『先生が足りない』という異常事態が起きています。」
和久田
「NHKが、都道府県と政令指定都市、合わせて67の教育委員会に取材したところ、今年(2017年)4月の始業式時点で、半数近い32の教育委員会で、定数に対して、少なくとも717人もの教員が不足していたことが明らかになりました。」
高瀬
「こうした学校では、教頭などが担任や授業を受け持つなどして、影響を最小限にしていますが、中には、授業ができなくなるところも出ています。」
関西地方の、ある中学校が保護者に配った書類です。
美術の教員が病気で休職して授業が出来ず、およそ3週間、別の教科に振り替えざるを得なくなったのです。
代わりの教員を求めたものの、教育委員会からの回答は…。
“とにかく見つかりません。”
中学校の校長
「きちっと学べないという状況は、非常に申し訳ないことをしている。
(義務教育の)責任を果たせてない。」
ほかの学校でも、理科の授業を3か月行えず試験を中止したり、学級担任を教頭が兼務したりするケースも。
先生が足りない…。
事態は深刻です。
高瀬
「教員不足の大きな要因が『臨時採用』の教員、いわゆる『臨採』です。
通常、病気や産休などで欠員が生じた場合、この臨採で補充するんですが、その確保ができなくなっているんです。」
和久田
「その背景にあるのが、少子化を見越した教員の採用の見直しです。
こちらは、教員の定数に占める臨採の割合です。
赤い部分が年々、拡大しているのがわかります。
今後、少子化がさらに進むと教員の定数が削減されるため、教育委員会は、正規教員の採用を抑えて、非正規雇用の臨採の枠を広げているんです。」
高瀬
「しかし、枠を広げる一方で、思うように、なり手は増えていません。
臨採を確保できない学校の現場で何が起きているのか、取材しました。」