サイディングやビニールクロスをペタペタ張った、
ハリボテの家に住んで、
人間として、いったい、どうなのでしょうか。
京都や鎌倉から、遥か離れた山中に、
今でも沢山の社寺建築が現存しています。
交通も通信も、全ての条件が極めて不便で、
生活は貧しく、平均寿命が短く、
電動工具が皆無などころか、
手道具も不便で高価であった、
鎌倉時代や室町時代に、
現代の工匠でも、ため息が出るような、
実に見事な建築遺産を、
先人は、後世の我々に遺してくれました。
今、世界中の人々が、
日本の伝統的な建築技術に感嘆し、
多くの方々が、来日して学び取ろうとさえしています。
それであるのに、肝心の日本人が、
ガンダムだかプラモデルみたいな家に住んで満足しています。
確かに、一般の人間が、まともな持家に住めるようになったのは、
ここ30~40年になってからです。
しかしそれならば、
先人が命懸けで作り上げ、そして受け継いできた、
伝統的な日本住宅工法で、家を建てようとするのが当たり前ではありませんか。
もちろん、人それぞれですから、
西洋的なデザインの家を好む事もあるでしょう。
しかし、ハウスメーカーの家には、
商業主義と効率第一主義の他には、何の哲学もありません。
そうした考え方が、今の日本人の民度を低下させ、
また、自殺とイジメの社会の要因になったのは、
非常に明白です。
サイディングが、イジメ社会の元凶とは言いませんが、
蛍光灯の白い光が、
若者の情緒を不安定にしたとは、良く聞くところです。
人間は、人間の歴史の中に存在するのであり、
過去の知恵を軽んじるなら、
その報いは、必ず結果として現れます。
ハウスメーカーの家に住むことの愚かさを、
今こそ我々は、
謙虚な気持ちで認識しなくてはならないのではないでしょうか。