就活中の東大生・ムツオがサマージョブ後に連れていかれたのは、外資コンサル出身のバーテンダー・リサが店主を務める“外コンBARふぁくろじ”。どこかで会ったことありませんか、そう尋ねるムツオに、彼女は今夜もささやく。「知ってた? 私は『利益率』が分からない男なんて、願い下げよ。」
第2夜:自転車部品で時価総額1兆円を超える「株式会社シマノ」が凄い
うっ!ぐっ!足がぁっ!
ど、どうしたの?ちゃんと座れてないじゃない。
最近、先輩に誘われて始めたロードバイクにハマっていて、毎週末、箱根とか三浦海岸とかまで遠出してるんですよ、、まだ全然、足がついていけなくて、筋肉痛で歩くのも辛いんです。
そんなこと思っていても、結局1グラムでもいいから軽いパーツとかを買い集めちゃうんでしょうね。ロードバイクってお金かかるでしょ!?
そうなんですよ。最初は初心者ってことで、10万もしない安いロードバイクを買ったんですけど、あれも必要、これも必要と、どんどん欲しくなっちゃって、なんだかんだ毎月買い物しちゃってます。自転車詳しいんですね!
詳しいってほどじゃないけど、ランス・アームストロングが活躍していた頃、ツールドフランスを見るのにハマっていたんだけど……って歳がバレちゃうわね。
僕もこの前、先輩に延々とランス・アームストロングが優勝したツール・ド・フランスのDVDを見せられましたよ。なんでも「1999年に優勝した時は、初めてシマノのコンポーネントを載せたバイクがツールで優勝したんだ」とかなんとか言ってたけど、何がすごいのか僕にはさっぱり分からなくて……
えっ、私と気が合いそうな先輩ね。それにしても、シマノの凄さを知らないで、ロードバイクに乗っているなんて大丈夫?
そ、そんなに、すごいんですか?自転車とか釣り具とか、なんかおじさんのオタクっぽい趣味のための会社って感じですよね?
あのね……あなたも一応、東大生よね?会社を理解する時は、主観的な印象なんかに頼らないで、その会社の客観的な競争力、戦略を見ないと。
シマノが優良企業である3つの理由
- ロードバイクの進化を決定付ける技術的なイノベーションを牽引してきた実績
- 世界で8割近いと言われる高い市場シェアを実現し、時価総額1兆円超
- メーカーにも関わらず、22%超と極めて高い利益率
す、すいません……シマノ、ってなんか名前もダサいし、田舎の中小企業って感じだと思ってました。
まったく……話にならないわね。シマノは日本が世界に誇るとてつもない優良企業よ。
そ、そんなすごい会社だったんですね。おじさんのオタクっぽい趣味とか言ってた自分が恥ずかしい。
あなた賢そうに見えて全然分かってないみたいだから、今日は徹底的に教えてあげる。
は、はい……お願いします!
ロードバイクの進化を決定付ける技術的なイノベーションを牽引してきた実績
今乗っているロードバイクで、シフトチェンジする時は、どうする?
どうするって…単純にブレーキレバーのついているシフターを触ります。それ以外にあるんですか?
そう、当たり前よね。でもね、これも昔は当たり前ではなかったの。ワンタッチでシフトチェンジできるシステムを作ったのも、ブレーキレバーと一体化することでSTI(ブレーキと変速レバーの一体化)として扱いやすくしたのもシマノなのよ。
えええ!逆に昔はどうやってシフトチェンジしていたんですか…!?
ブレーキレバーから手を離して、結構操作の難しいシフトチェンジ操作をしていたのよ。
シマノは革命を起こしたんですね……
そう、このイノベーションをきっかけに競合だったサンツアーは次第にシェアを落とし、今、シマノのほぼ唯一の競合であるカンパニョーロも最終的にはシマノと同じデュアルコントロール方式を採用することになったの。他にもVブレーキや、ブレーキレバー自体で変速する仕組みなど、業界の技術的なイノベーションを実現してきたがシマノなのよ。
田舎の中小企業とか言ってしまって…ほんとにすみません。
世界で7割と言われる高い市場シェアを実現し、時価総額1兆円超
中小企業って、ね……そもそも、シマノは時価総額で1兆円を超える、超大企業よ!
い、1兆円!
日本に時価総額1兆円を超える企業がどのぐらいあると思う?
1兆円を超える企業…500社くらいですか…?
随分景気がいいわね…アベノミクスでかなり増えたけれど、それでもたった100社程度よ。つまりシマノは日本にある250万社以上の企業の中で、上位の100社程度に位置するわけね。シマノがこの地位を築いた結果、世界の高価格帯自転車の7割がシマノ製のギアや変速機、クランクなどの部品を使用していると言われていて、国内に限れば8割以上とも言わるほどのシェアを占めるようになっているの。
確かに国内でロードバイクを買おうと思った時も、シマノのパーツで組まれたバイクしか見当たらないです……
自転車業界のインテル、と言われることもあるシマノは、インテルがCPUという消費者にとっては分かりにくい部品に過ぎなかったものを、重要なものとして認知させて自社をブランディングしたのと同様に、コンポーネントを消費者にとって重要なものとして意識させることで、結果的に自転車メーカーにまで大きな影響力を与えられるようになったのよ。
自転車業界のインテル……すごい例えだ……。高いパーツが欲しくなってしまうのは、ネットくらいしかしないのに、やたらと早いCPUを欲しがってしまう心境と似ていますね。
製造業にも関わらず、22%超と極めて高い利益率
消費者に部品を訴求してブランディングしていくという戦略だけじゃなくて、インテルと同様にシマノがすごい点ももう一つあるの。
こ、これ以上、すごい話があるんですか?
利益率よ。インテルは、日本の半導体産業が10%も利益を出せない時期であっても、20%以上の営業利益率を達成していたのは有名よね。
し、知りませんでした…。
シマノの営業利益率も直近で20%を超えていて、円安の影響もあるにしても圧倒的ね。
20%超とは!日本の製造業って一桁台の利益率が当たり前と思ってしまってました。
ところで……利益率って言っているけど、売上高総利益率、営業利益率、経常利益率の違い、あなた本当に意味分かっている?
ギクッ……
知ってた? 私は『利益率』が分からない男なんて、願い下げよ。
ええっ、そんなあ……僕に教えてください! きっと選考にも役立つと思うんです!
コンサル選考対策ワード
「利益率」
売上高総利益率
売上高から売上原価(商品を仕入れるとき、もしくは製造するときにかかる費用)を差し引いたものを売上総利益とした上で、売上高総利益率とは売上高に対する売上総利益の割合を指す。商品にどれほどの利益を上乗せして、商品を売ることができているかを示す売上総利益率(粗利率)は、高ければ高いほど会社が高付加価値の商品を販売していると考えられる。
営業利益率
営業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた利益で、営業利益率は売上高に対する営業利益の割合である。営業利益率は、企業の本業における儲ける力や管理効率を意味している。
経常利益率
経常利益は営業利益に営業外の損益(金融収支、支払利息等)を加味したもので、経常利益率は、企業がどれだけ効率のよい経営を行っているかを意味している。
どう?わかった?
は、はい!!
最後のシマノの今後についても付け加えておくわ。今、世界の年間自転車生産台数は9000万台くらいといわれているけれど、今後、温暖化対策が進む中で、1億3000万台くらいまで市場は拡大していくといわれているし、すでにシマノの海外売上比率は9割近いグローバル企業だということを考えれば…シマノの今後の成長について説明するまでもないわね。
今日で完全にシマノに対する考え方が変わりました……企業を理解するって奥が深いですね。
そうね。自分が全然本当に優良な企業を分かっていない、ってことだけは分かったみたいね、笑。分かったら自転車ばっかり乗っていないで、もっと勉強するのよ!
は、はいっ!
【今夜のカクテル】ロードスター
ジンをベースに、グランマニエ(オレンジキュラソー)とオレンジジュースを加えてシェイクした、みずみずしさが魅力のカクテル。なあに? ロードスターは自転車じゃなくて車だって? そんな細かいこと気にしてたらモテないわよ。
株式会社シマノの基本情報
| 社名 | 株式会社シマノ |
|---|---|
| 企業理念 | こころ躍る製品を |
| 創業 | 1921年2月(大正10年) |
| 本社所在地 | 〒590-8577 堺市堺区老松町3丁77番地 |
| 代表者名 | 島野容三 |
| 資本金 | 356億円 |
| 従業員数 | 1,207人(シマノ本社)12,440人(連結)(2015年12月31日現在) |
| 上場市場 | 東証1部 |
| 時価総額 | 1兆2,767億円(2016年7月8日時点) |
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