好きな女の子ができた。
一目惚れだった。
自分とはクラスも違うし、接点がほとんどない子だったが、友人の協力もあって、マンガを貸し借りをすることになった。
先生に見つからないように数冊ずつ袋に入れて学校へ持っていき、放課後のちょっとした時間だけ手渡しでマンガを渡す。
読み終わったマンガには、たまに手紙が入っていて、学校生活や日常生活の他愛のない話が綴られていた。
マンガの貸し借りが終わるころ、週に1、2度、夜に長電話で会話をするようになっていた。
そうこうしているうちに、月に1度、週末に映画を見る関係になっていた。
自分としてはデートのつもりだったが、奥手だったこともあり、映画を見に行ってファストフード食べて、公園で喋って夕方には帰るという清純なお付き合い。
手を握ったこともなかった。
自分としては「彼女」というつもりだったのだが、自分のことだけを気にしていてほしいという独占欲からか、デートのときに「もう知っていると思うけど、君のことが好きだ。僕と付き合ってほしい」と告白した。
「もちろん」「いいよ」という返事を期待していたが、彼女の口から出たのは、「付き合うってどういうこと?」という言葉だった。
予想していなかった言葉に、「えっ」「いや、あの、電話したり、映画を見たり...」という返ししかできなかった。
「それって今と同じだよね?」と追撃をくらい、撃沈。
いやまてよ、今と同じってことは、それってもう付き合ってるってことだよね?と勝手に解釈をしたのだけど、その数ヶ月後、その子は別の男の子から告白され、彼と付き合うことになった。当然、僕とのやりとりはそこで終了。
「付き合うってどういうこと?」と聞かれたとき、僕はどう答えたら良かったんだろう。
お互いを恋人として認め合うこと。