こんにちは!エディターのkeoです。
「Goodpatchメンバーに聞いた!デザインを理解するためのおすすめ本6選」で、デザインの多面性に触れた私ですが、今回は「UIデザインってなに?」という疑問を社内のデザイナーにぶつけ、おすすめ本を教えてもらいました!
目的別にピックアップしたので、参考にしてみてくださいね。
今回の記事は、次のような人に特におすすめです!
- UIデザイナーになったばかりの人
- もっとUIデザインについて学びたい人
- アプリ開発に携わるエンジニア・ディレクターの人
▶︎ 導入編
1. 誰のためのデザイン?
ものづくりに関わる人は必ず読んだ方がいい!と紹介されたのが、この本です。
作り手の都合や機械のための設計ではなく、人間中心の設計をせよ、と初めてユーザビリティに重きを置いた提唱をしたD.A.ノーマンの著書です。
「デザイナーは、起こり得るエラーが実際に起こることを想定した上で、そのエラーが起こる確率と、エラーが起こった時の影響が最小になるようにデザインしなければならない…」
この発想こそ、現代ヒューマンインタフェースの根底にあるユーザー中心のデザイン原理であり、本書はこのデザイン原理について一般を対象に初めて語られた代表的著作である。
この説明からも、本来デザイナーとは見た目の良いものを作る職業ではなく、使い手(ユーザー)を思いやった設計をする職業なのだということを教えてくれる本なのだと分かりますね!
内容を分かりやすくまとめたスライドがあったので、チェックしてみてください。
2. 失敗から学ぶ ユーザインターフェース
この本は、「洗面所のユーザインターフェース」「エレベーターのユーザインターフェース」など、身近でよく見かける使いにくいUIを、写真と共に紹介しています。
さまざまな身近にあるBAD UIから、「使いにくさの原因は何なのか・どうすれば使いやすくできるのか」まで解説してくれるので、UIデザイナーになりたての人にとっては、特に読む価値のある本ではないでしょうか。
私もUIデザイナーに貸してもらって読み始めましたが、写真や図解も多く、読みやすい文体なので、勉強を始める導入にぴったりだと感じます!
プロローグに「BAD UIの世界入場申請書」が載っていたのでご紹介します。
記入に困ってしまうポイントがたくさん見つかり、思わず笑ってしまいました。これから読み進めるのが楽しみです。
▶︎ 実践編
3. デザイニング・インターフェース
たくさん小説を読むと語彙が増えることと同じように、この本を読むことでUIについて理解がしやすくなり、アイデアを出しやすくなるそうです。
- 開発中のソフトウェアのUIを自分でデザインする必要があるソフトウェア開発者
- 新人のインターフェースデザイナおよびユーザビリティスペシャリスト
- 優れたインターフェースデザインの本質を理解したいと考えるマネージャ
このような人が、「本書の読者層」として序章で挙げられています。
初心者なら持っておくことで、辞書のような使い方もできそうですね。
41ページにわたるサンプルが公開されているので、未読の人は内容を確認してみてください!
ftp://ftp.oreilly.co.jp/download/di_sample.pdf
4. ヒューメイン・インタフェース
ヒューメイン・インタフェース−人に優しいシステムへの新たな指針
著者のジェフ・ラスキンは、Appleの“Macintosh”の名付け親でもあるコンピューター技術者です。
この本では、ユーザーインターフェイスではなく、ヒューメイン・インターフェイスという表現が用いられています。
後述しますが、Appleが提唱するデザインガイドライン「Human Interface Guidelines」とも通ずる内容となっているそうで、UIデザインに関わる人は必読と言えますね。
5. IAシンキング
情報アーキテクチャ=IAは、UXという言葉が普及する前から使われていた言葉だそうです。
情報アーキテクチャ(Information Architecture)は、いわゆるWeb屋用語としては、知識やデータの組織化を意味し、「情報をわかりやすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」ための表現技術といった意味である。ウェブデザインの発展に伴い、従来のグラフィックデザイン(平面デザイン)に加え、編集・ビジュアルコミュニケーション・テクノロジーを融合したデザインが要求されるようになった。情報アーキテクチャはこれらの要素技術を組み合わせた、わかりやすさのためのデザインである。ウェブ技術の発達に伴いその重要性が認識されているが、情報アーキテクチャの考え方自体は、紙面デザインの頃から変わらない。
Wikipedia – 情報アーキテクチャ
幅広い領域を指す言葉のようですが、この本ではwebサイト設計におけるIAについて学ぶことができます。
教科書のような構成なので、「最初は斜め読みして、気になった単語を調べていく使い方でもいいと思う!」とのことです。
演習問題も入っているようなので、読んでいて退屈しないのでは、と思います!
6. IA 100
IA100 —ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計
こちらもIAについて、体系的にまとめられている本です。
情報設計に必要な要素を細かく分解し、100の要素として紹介しています。
「IAの情報構築プロセスは、webだけではなくアプリにも活用できるところがある」 と、UIデザイナーが話していたことから、本質的なデザインをするために読んでおきたい本だと感じます。
UXについても触れられているようなので、現代のデザイナーに求められる能力を考える手がかりになりそうです。
▶︎ ユーザー心理を学ぶ
7. UIデザインの心理学
「基本的な知識がある人は、この本で基礎を活かすと良いと思う!」と紹介していただきました。
webサイトの分かりにくいフォームの図を使って、どこが悪い点でどうすれば良くなるかを、人間の心理の観点でレビューしているため、より実用的に使えるそうです。
8. インタフェースデザインの心理学
インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
複数名のデザイナーから名前が挙がったのがこちらの本でした。
チームの共通知識として持っておきたい内容が詰まっているとのことで、何度も読み返すことができるのではないでしょうか。
数々の参考文献をまとめた本なので、論文を引いたり、参照元から内容を深掘りできる点も重宝されているようでした!
続・インタフェースデザインの心理学 ─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす+100の指針
こちらには続編も存在します。
ベストセラー書『インタフェースデザインの心理学』の続編。本書では、デザイナーが心に留めておくべき指針を、最新の研究で明らかになった事実とともに紹介します。
とのことで、より時代背景が反映された内容になっているのでしょうか。2冊合わせて読んでみたいですね!
9. 行動分析学入門
難しそうな本だな…と感じましたが、「アプリやwebを作ることは、人の心の動きを設計することに近い。だからUIデザインをするなら、行動科学などの理解も大切!」という言葉を貰い、なぜ読むべきなのか納得できました。
この本の紹介に、以下のような文章を見つけました。
失敗行動や犯罪の原因は、“心”に求められることが多い。「あいつはやる気がない」「過去のトラウマだ」等々。しかし、これでは評価にこそなりえても、問題解決にはつながらない。
つまり、予測できないような人の行動を分析して、原因を特定し、予測や制御を可能にするという問題解決のアプローチを図る本なのですね。
行動分析学と聞き、デザインとはやや離れた分野に感じましたが、実は非常にデザイナー的な視点だと分かり、興味が湧きました!
▶︎ プロダクトの作り方を学ぶ
10. デザイン思考の道具箱
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)出身のデザイナーからは、こちらの本を紹介していただきました!
著者の奥出直人さんはKMDの教授であり、デザイン思考をプロセスとして実践する研究を続けています。
iPodなどの革新的なプロダクトの事例から、デザイン思考について理解することができる内容です。
デザイナーとして、本質的なモノづくりを目指すなら、読んでおきたい一冊だと思いました。
11. リーン・スタートアップ
事業の立ち上げにおいて、仮説の構築、実装、検証・改善を高速で繰り返す、無駄を削ぎ落とした手法をリーンスタートアップと呼びます。
デザイナーや開発者として、長く愛されるモノに憧れるなら、イノベーションがどのように生まれるのか、この本を通して考えてみると良いかもしれません。
▶︎ UIデザインのバイブル:デザインガイドライン
12. Human Interface Guidelines
新しい価値を生み出し続けるAppleには、根幹とも言える、デザインガイドラインが存在します。
User Interfaceではなく、Human Interfaceという言葉を使う点から、Appleが人間の感情や心理をデザインの中心に据えていることが分かりますね。
HIGの今昔について詳しく知るなら、弊社のiOS Developerがまとめた記事もおすすめです!
Macintosh から iPhone へ受け継がれるデザイン原則
HIGは日本語で書籍化もされているので、ユーザー中心の一歩先を行く人間中心のデザインをじっくり学んでみませんか。
Human Interface Guidelines:The Apple Desktop Interface(日本語版)
Google – Material design
Androidにも同様に、デザインガイドラインが存在します。
得意不得意があれど、UIデザイナーはiOSとAndroidのどちらも設計できなくてはなりません。
iPhoneとAndroidは、少し触っただけでも操作感が全く違うことが分かりますよね。
デザイナーやエンジニアが、iOSとAndroidの違いをガイドラインで理解することは、非常に重要だと感じました。
こちらは書籍化されていませんが、ぜひ上記のリンクから読んでみてくださいね。
▶︎ インスピレーションを得る
13. UI GRAPHICS
UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン
スマートフォンが登場してからのインターフェイスについて、様々なアプリやwebの事例で振り返ることができます。
海外の事例も多く登場するので、色遣いなどのインスピレーションを得られるのではないでしょうか。
Goodpatchの月間まとめ
トレンドを追うためには、本でまとまるのを待つだけではなく、日頃からキャッチアップを行うことが大切だと私は思います。
Goodpatch Blogでは、社内で話題になったアプリ、サービス、デザインのまとめ記事を発信しています。
新しいもの好きなメンバーが、最新のトレンドを毎月お届けするので、チェックしてみると情報通になれちゃうかもしれません。
今までのまとめは、こちらからご覧ください!
さいごに
いかがでしたか?マインドセットの形成に役立ちそうな本から、実務向きの本まで、13冊のおすすめ本が挙がりました。
私はUIデザインに対して、「アプリ上の目で見える枠組みを作る」というイメージを持っていました。
しかし、その枠組みが作られる過程には、人間の心の動きなど、抽象的な事象が密接に関わっていることを知りました。
いつも使っているアプリやwebサービスも、感情や行動を分析・設計した結果だと思うと、操作する時も新鮮に感じます。
感性などの目に見えない部分を的確に捉え、分かりやすく設計すること。UIデザインってそんな感じなのかな、と今は考えています!