高齢者の住まい探し支援 入居拒否解消へ 千葉 船橋

高齢者の住まい探し支援 入居拒否解消へ 千葉 船橋
1人暮らしの高齢者が賃貸住宅への入居を拒否されるケースが問題となる中、千葉県船橋市は家主側が不安に感じる緊急時の連絡体制を整備するなどして、高齢者の住まい探しを支援するサービスを始めました。
このサービスは船橋市や関係団体などで作る協議会が始めたもので、市の社会福祉協議会に3日から高齢者からの相談に応じる専用の窓口が開設されました。

1人暮らしの高齢者などが賃貸住宅への入居を拒否される「貸し渋り」の問題をめぐっては、家主側が孤独死や緊急連絡先となる親族がいないことなどを不安に感じていることが背景として指摘されています。このため、サービスでは室内に緊急通報装置を設置したり、センサーによる24時間の見守りを行ったりして、緊急時には警備員による駆けつけや救急車の出動要請を行う体制を整備しています。

また、亡くなった場合に遺族への連絡や必要な手続きも行うということで、いずれのサービスも有料で行い、入居者の経済状況などに応じて助成も用意しているということです。

船橋市住宅政策課の木村智課長は「家主側の不安を払拭(ふっしょく)することで、1人暮らしの高齢者が少しでも住宅を借りやすくなるよう取り組みたい」と話しています。

不動産会社「貸し手の不安取り除かれれば」

船橋市に本社がある不動産会社「京葉エステート」では、賃貸住宅に入居したいと相談のあった1人暮らしの高齢者のおよそ半数は、家主の意向などで入居を断らざるをえない状況になっているということです。家主側から1人暮らしの高齢者の入居を渋る理由として、多く挙げられるのが孤独死の問題です。

この会社が管理する船橋市内のアパートでは、ことし3月1人暮らしの70代の男性が部屋の和室の布団の上で亡くなっているのが見つかりました。部屋のリフォームの費用負担について、親族との話し合いが必要になり、次の入居者の募集は、まだできていないということです。

この不動産会社では家主側に働きかけたり、入居を希望する高齢者側にも希望の条件を見直してもらったりして、住居探しを行っていますが、中には住宅が見つかるまでに半年ほどかかった高齢者もいたということです。

京葉エステートの高橋弘明社長は「自分の会社で所有する物件については、高齢者が入居できるようにしていますが、大家がいる物件は断らざるをえないケースがある。一方で、借り手が見つからない賃貸住宅も少なくないので、市の支援で、貸し手側の不安が取り除かれれば、高齢者の入居が進むのではないか」と話しています。