最近、部活問題だとか民営化しろだとか、教員の多忙だとか、いろいろ話題になっているから、一教員として書いてみる。
教員には、原則残業手当、休日出勤手当とかはつきません。すべてサビ残、サビ出勤。
教員の仕事は、家で教材研究したり、研修会に出たり、突然放課後生徒対応したりと、残業ってくくりで測れないからってのが理由。
そのかわり教職調整額ってのが付くけど、残業代にしたら一日当たり20分足らずの額。
まずここ押さえてくださいね。
で、当然時間外勤務は義務じゃない、サービスだから、「やらなくても良い」、もっというと「やりたい人が勝手に好きでやってる」という扱い。
土日祝日などの休日の仕事も、勤務時間外の仕事も、すべて「その教員がやりたいから勝手にやってる」という扱いで、当然残業手当も休日出勤手当もつかない。
(一応土日の部活は、特別勤務手当って名前で、4時間以上やれば4000円くらいもらえるようになってる。4時間未満だとゼロ。4時間以上なら8時間でも12時間でも4000円程度。交通費だけで足が出るから、時給換算するとコンビニでバイトしてた方がマシw)
人によるし、学校による。
今学生の人はわかると思うけど、先生たちが朝職員室で打ち合わせしてるでしょ?
はい、ここでまず一つ目の矛盾。勤務開始時間は8時15分とか8時半とかなのに、多くの教員はその前に出勤して登校立ち番とか補習とか朝練の部活とかやってる。
これらは全て、「勤務時間外にその教員が、好きで勝手にやってること」という扱い。
当然お金は発生しない。
ある人は、「生徒のため」と使命感に燃えて、ある人は「みんなやってるから」と同町圧力に負け、ある人は「やって当たり前」と何の疑問も抱かず、今日も搾取されています。うへぇ。資本主義の原則を身をもって教えてるんですね。さすが先生!
8時15分に朝の打ち合わせが始まる学校は、16時45分には勤務終了です。
当然そう思いますね。
あれは全て、「教員が勤務時間外に好きで勝手にやってる」という扱いです。
だって好きで勝手に学校設備借りてやってるんだもん。まぁ可哀そうだから、事故とか怪我があったら学校の保険適用内にはしてあげるよ、程度。
大抵の公立中学、公立高校の運動部は18時程度までは部活をやると思います。それは全て、教員のサービス残業によるものですので、あしからず。勤務時間より後、教員は部活をやる義務はありません。「その教員が好きで勝手にやってる」という扱いなんです。
これを読んでる公立学校の中高生、顧問の先生は勤務時間後はボランティアで付き合ってくれてるわけで、練習日を増やせとか、練習時間延ばせってのが、いかにわがままな要求か自覚しましょうね。
で、放課後部活があるせいで、授業の準備とか、担任だったらクラスの事務作業とかは、部活が終わってからになる。
勤務時間がとっくに終わってから、ようやく仕事開始って、ナニコレ。
「先生なんてそんな仕事あんのかよ。」って声が聞こえてきそうですが、近年どんどん増えてます。保護者にプリント一枚配るのでも、お役所的な書類作って、「これこれこういうプリントをいついつに出します」ってのを回覧して、許可とらなきゃいけない。
要はお偉方が責任取らないで済むように、何をやるにしても「事前に報告がきちんとなされていました」という事実を作るために、公務員っぽい書類を作らなきゃいけない。
学校によっては、授業一つやるにしても、その授業の案とか出さないといけないんだぜ?
正直、これら書類を勤務時間内に全部終わらせようとしたら、忙しくて授業なんてやってる暇がないってのが、教員のブラックジョーク。
さらに、まじめで頑張る先生ほど、授業の準備とか、教材の準備とか、自分のクラスのこととかに時間をかける。
当然サビ残です。
で、冒頭に「人によるし学校による」と書いたのは、人によっては「部活顧問なし」「授業準備一切しない(すべて去年使ったプリントをそのまま配るだけ。テストも去年使ったのをそのまま)」「担任してても自分のクラスのために勤務時間外に時間使わない」って教員もいるし、それで成り立ってる学校もあるから。
てか、教員が定時出勤定時退勤しようと本気で思ったら、このくらいしないと無理。
でも、ほとんどの先生はある程度の情熱を持って教員になってるので、人によりけりだけど、頑張っちゃう。だから多忙。勤務時間外になってようやく授業準備したり、テストの採点したり、家に持ち帰って頑張っちゃう。
大体、定期テスト終わってその日に部活あって、いつ採点すんだよ。土日も部活で、家に持って帰ってやるしかねーわ、ってのが多くの教員の現状。
それが嫌なら、全部○×問題とかで、速攻で採点できるテストにするしかない。
教員は民間経験者少ないから、世間知らずが多いってのは、本当。
だから上記のような状況でも「それが当たり前」だと思ってる。
ブラック度合いにかけては自信があるIT土方からの転職だけど、それ以上にブラックよ?
なにより問題なのは、「頑張っても頑張らなくても給与は一緒」ってとこ。
ブラック企業に勤めてた頃は、一応歩合なり、成果報酬があった。
土日返上で働いて案件仕上げて、納品数多くすれば、その分歩合でお金貰えた。
公立学校教員は、基本的にクビにならない。それでいて、基本的に勤続年数に応じて給与が上がる。
だから、事件になるような問題起こさなければ、どんなに仕事サボってても、やる気なくても、給与が上がっていく。
逆に、どんなに頑張ってても、やる気で休日返上で仕事してても、同期と給与一緒。
「生徒のため」を理由に労働力搾取されちゃう人は、無限に搾取されちゃうシステム。いやー、夢持って教員になっちゃったせいで、俺も順当に搾取されてますわ。
土日休みたいよ?
でも、生徒から「部活もっとやりたいっす」「全国いきたいっす」とか言われたら「よーし、頑張るか」とかなっちゃうタイプ。
「受験近いんです」「先生の教え方がわかりやすいから、教えてください」とか言われたら、「よーし、放課後と土日、補講やるか」とかなっちゃうタイプ。
予備校行けない生徒、家庭環境が悪くて家で勉強できない生徒のために、長期休業中も学校開放して自習&補習やる。
部活で全国まであとちょっとの連中のために、やりたいだけ練習やる。
あれ、気付いたら俺、去年10日しか休んでないよ? 365日中だぜ?
なのに、土日祝日すべて休んで有給休暇全て消化した人と、同じ給料だぜ?
うーん、他に類を見ない、素敵な職業ですね。
教員の給与が高いってんなら、法外な時間外労働をなくすのと引き換えに、基本給引き下げもやむなし。
でもさ、「教育」って数値で出る結果だけが目標じゃないじゃん。
指導要領でも、教育の目的って「人格の形成」とかいう、わけわかんないのが目的にされちゃってるわけで。
大学進学率だとか、就職率だとか、そんなんじゃ教育が成功したかどうかなんて測れねーのよ。
いやさ、じゃぁどうやって測るかって言われたら、そりゃ無理なんだけど。
というわけで、色んな奴が色んなように(人様に迷惑をかけない範囲内で)生きているのが面白い社会なんだから、そういう「色んな奴」を育むために「色んな教員」がいていいと思うし(いわゆる老害教員含め)、そういう「色んな大人がいる」ってのを身近に見られるってのが、学校教育の良いところの一つなんじゃないですかね、ええ。
だから民営化して成果主義効率主義とかにならないためにも、公教育ってのは必要なんじゃないかなー、と。
ただまぁ、生徒たちに「働き方」を見せる大人として、「サビ残当たり前」「滅私奉公」ってのを植え付けるのは、ちょっとなーと思うわけです。
教育にすべてをささげる熱血先生もいてもいいし、そういう人を必要としてる生徒もいると思うけど、のらりくらりの浮雲先生もまたどこかで必要とされてるんじゃないか、そういう人がほとんどいなくなっちゃったのは、物凄い損失なんじゃないか、と。