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科学的事実と流行する脳科学の違い,
2009/10/23
レビュー対象商品: 脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス) (単行本(ソフトカバー))
脳科学者という人が書いた本は他の本に比べて本物だという気がする。だからそういう本を読んで
大脳の動きを活発にしてよりいい仕事をしたい、より効果的に勉強したいと思ってしまう。
しかし、よく吟味する必要があると反省させてくれるのがこの本である。
この本の最初の部分で批判的されているのが、川島隆太氏の言説である。川島氏の本を読むと簡単な
ドリルをやったり計算を行うと脳の働きが活発になり、きっとトレーニング(鍛えること)になって
いると思ってしまう。しかし、この著者はそこに疑問を呈し厳密な意味で科学的には証明されて
いないことを証明されたかのように信じさせてしまっていると批判する。
また有名な実験、ロンドンのタクシーのベテラン運転手の海馬の組織増大についても普通に言われている
ことと研究成果の全体は少し違うという指摘もある。著者は海馬増大を研究結果を発表した研究者と同室
で研究を行っていたようで、かなり詳しく研究の中身を紹介している。
ブームに流されたくない人はぜひ手にとってみて欲しい本である。
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