転職というのは成功する人もいれば、同じ数だけ失敗する人もいます。
例えば全年代の転職による年収増減率は「増加4割」「変わらない2割」「減少4割」と概ね【4:2:4】の比率になっています。年収の増減は転職成否に大きく影響することから、転職して良かった割合・しない方が良かった割合もおおまかに40%ずついることが推測できます。
つまり、転職する人の40%は「転職しない方が良かった・してはいけなかった」という後悔の結果に終わっている事実があります。あまりに多いですね。
この40%の人とはどんな人たちでしょうか?
今回はそんな、転職してはいけない人・しない方がいい人の特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
言うまでもなく、日本において転職は人生のうち数回だけ(有効に)使える貴重なカードです。安易な考えで無駄に使ってしまうのは残念ですよね。
【特徴1】自己評価と他者評価にズレがある

「正当な評価をしてもらえない」と嘆いて転職する人に多いタイプです。アメリカの研究によると、人の自己評価は他者評価と約20%のズレがあるそうです。つまり、自分が思っている実力より20%減したものが本来の実力と言えます。
- 「これだけ働いているのに給料が少なすぎる!」
- 「こんなに頑張っているのに評価してもらえない!」
といった類の不満を蓄積している人は、自己評価を高く見積もりすぎていないか注意が必要です。
人事評価と自己評価がズレる要因は2つあります。
一つは、評価基準は「頑張り」や「労働量」で決まるものではなく結果が全てということ。頑張りや勤務時間をアピールしようとする人ほど自己評価がズレていきがちになります。
もう一つは、人事評価は絶対評価ではなく相対評価であるということ。個人のパフォーマンスがいかに優れていても、組織で働く以上は周囲とのバランスや会社の意向というものがあります。「上(幹部)が詰まっているから」とか「ここは若手にやらせたい」とかです。
こうした要因を分かっておらず、「正当な評価が貰えない」という理由から転職してしまう人は、転職先にも実力不相応なレベルをついつい望んでしまい、結果として転職失敗して年収を落とすことになります。
自己評価を高く見積もりすぎている人は、とく大企業出身者に多い傾向にあります。会社の看板の力をどうしても自分の実力と思い込んでしまう人が多く、自己評価と他者評価に大きなギャップが生まれやすくなります。
そんな傾向もあり、転職市場において「大企業出身」というステータスは、大企業出身者が期待しているほど評価されないので注意が必要です。
ちなみに転職市場の調査によると、実際の仕事内容と年収に最も乖離がある、つまり最も分不相応で実力に見合っていない給料を貰っているのは「部長」のポジションの人らしいです。
なので、いま部長ポジションの人は自己評価と実際の市場価値がかけ離れている可能性が高いかもしれません。
【特徴2】他責グセがある

「他責」とは、現状の不満を自分以外のせいにしようとすることです。つまり「自分は悪くない」系の人。就職面接では一番嫌われるタイプがこれです。
前述の「正当な評価が貰えない系」の人も、この他責の一部ですね。
- 正当な評価をしない上司ガー
- 社長の経営方針ガー
- 会社の将来性ガー
- 業界全体ガー
- 国ガー
「自分がこんなにツラいのは職場が合っていないからだ。チャンスさえあれば自分はもっとできるはずだ」と考えていませんか?
特に面接でこの他責傾向が顕著に現れるのが、退職理由を聞かれたときです。言っている本人は「自分は悪くない」と必死に主張したがるのですが、聞いている方からするとただの愚痴にしか聞こえません。無論、印象は最悪です。
転職エージェントの人に聞くと、こうした他責グセのある人はエージェントに相談にきた際もずっと職場の愚痴に終始するそうです。自分がどうしたいか、どう在りたいかではなく、ただ愚痴を吐くだけ。
もちろん、内情としては人が転職する本当の理由なんて「人間関係」「低賃金」「長時間労働」など外部要因がほとんどです。しかし、面接や面談というのは愚痴を吐く場所ではありません。
【特徴3】転職を3回以上/短期離職を2回以上している人

日本では転職において、「年齢」と「転職回数」の数字は低いほど有利になります。今でこそ終身雇用前提の時代に比べてかなり転職に寛容になりましたが、それでもまだ転職3回以上しているとマイナスに働く可能性があります。企業によっては転職回数で足切りフィルターを持っているところもあります。
下記は転職サービス
DODA(デューダ)
による「転職回数と成功率」の関係を示したデータです。

https://doda.jp/guide/ranking/070.html
見ての通り、基本的に転職は繰り返すほどキャリアダウンしていく傾向にあるのがわかります。
転職回数3回以上になると書類審査の通過率からして激減します。必然的に「妥協の転職」になる確率が高まるのでよく考えた方がいいでしょう。
また、短期離職(3年以内の退職)については2回以上経験があると厳しくみられる傾向にあります。こちらも書類すら通らないという厳しさになる可能性が高いので、覚悟が必要です。
ただこうした不安要素は一律にボツにされるわけではありません。実際は個々の事情やケースにもよるので、一度転職エージェントに相談に行って「現実的にどうなのか?」を聞いてみた方がいいですね。
リクルートエージェント
【特徴4】35歳以上で特別文句のない待遇にいる

日本の転職市場では「35歳限界説」がよく言われますが、事実、35歳を超えると転職の門はグッと狭くなります。同スペックの28歳と35歳が同じ求人に応募しても、書類通過率は10倍くらい違うでしょう。当然、企業はできるだけ若い人材を欲しています。
『30歳で今の職場にキャリアアップ転職した。今の職場でも待遇に特に不満はないけど、40歳を目前にした今もう一歩上を目指してキャリアアップ転職したい』
……という流れで転職活動を始めたとします。5年前は10社だせば5社は面接に通ったのに、今は10社だしても1社も通らない現実に愕然とするはずです。それくらい、日本の転職市場では「年齢」の持つパワーは絶大なのです。
これには理由があります。
まずは求人数の問題です。転職市場の主役は25歳〜34歳なので当然このゾーンを対象にした椅子が最も多く市場に出ています。しかし、35歳以上になると「課長」や「部長」などの役職ポストが募集対象となるため椅子の数が一気に激減します。日本は年功序列のピラミッド組織なので、上のセグメントに行くほど人口は減っていくのは当たり前です。
数少ないパイを多数の求職者で取り合うようになるため、必然的に競争率が格段に上がるのです。一般的な求人でさえ一つの枠に約30人が集まると言われていますから、35歳以上のエグゼクティブポストになると競争率はその比ではないでしょう。
もう一つは、本人の問題。35歳以上になると子供の一人二人を抱えて一家の大黒柱になる人が急増します。教育費に住宅ローンも抱えたりして「お金の問題」がかなり現実的な重荷になってくる年頃です。
そうなると、転職において年収面が妥協できなくなります。
ただでさえパイが少なくなる上に、年収面まで妥協できなくなると、理想の企業に転職できる可能性は限りなく低くなります。
なので、35歳を超えていて今の会社の待遇に特別不満がないのであれば、さらなる贅沢を望んで転職しようとしても失敗(逆にキャリアダウン)する可能性が高いです。
ただこちらも一概に全員に言えるわけでなく、あくまで個々のケースにもよります。転職エージェントで実際に求人をいくつか見せてもらって「現実」を知った上で、改めて転職を検討してみましょう。
リクルートエージェント
【特徴5】40歳以上で転職経験がない

新卒で入った大企業に20年勤め続けて、40代になってから転職を考える人もいます。出世レースに乗れなかった、業績が急に傾き始めた、あるいは会社から早期退職募集を打診されたことで将来性がないことを悟り……などなど理由はあります。
しかし、一般論としては転職はかなり厳しいです。
「35歳限界説」がある上で40代という年齢もさることながら、何より40代にして転職経験がない(一社のみしか経験がない)というのが厳しいです。
一社のみに長いこと勤務にしていると、その社の企業文化にどっぷり染まり、仕事の仕方や考え方などが完全に凝り固まっています。特に歴史のある大企業ほど独自の文化が強いので、転職先の社風に順応しにくい傾向にあります。
そしてただでさえ40代社員は20代の若者より思考が固く、上から目線になりがちなので、40代以上でさらに転職経験もないとなると「最も扱いにくい人材」と敬遠します。
柔軟性という意味で、転職回数は多すぎてもダメですが、少なすぎるのもまたマイナスなのです。
【特徴6】転職すれば全てが解決すると思っている

今の職場に不満があって転職するのはごく普通のことですが、転職すれば全ての不満が解決するはずと期待しているのなら転職しない方がいいでしょう。なぜなら、不満が一切ない完全ホワイトな会社なんてどこにもないからです。
日本全国どこの会社にも、ウザい上司はいるし、多少のサービス残業はあるし、人間関係のいざこざはあります。100%理想のユートピアみたいな職場なんて存在しません。
こういうタイプの人は結局どこに行っても「あれが気になる……この点が不満……」と、どこかしらに欠点を見つけて再び転職します。そうして存在しないユートピアを探して転職を繰り返すうちにジョブホッパーとなり、転職市場では相手にされない人材になってしまうのがオチです。
短期離職を複数回繰り返している人は、何かしら自分の中にも原因があるケースがほとんどです。そんな人はいくら職場を変えても本質的な解決には至りません。
まずは環境の条件ではなく、自分がどう在りたいのか、どんなことを優先し、どんなことは捨てられないのかという自分の軸のようなものを掘り下げて、明確にした方がいいでしょう。
まとめ
アメリカでは1人の平均転職回数は10回らしいです。しかし解雇規制の強い日本では、1回入社すればクビになりにくい代わりに、転職カードも最大3回程度しか切れないのが一般的です。しかも一度キャリアダウンすると這い上がりにくい性質なので、なかなか失敗が許されない人生の一大イベントです。
そんな大事なカードを「なんとなく」や「勢い」で安易に切ってしまうのはおすすめしません。転職というのは、”約40%近くが後悔している”という事実を孕んでいます。その点をしっかり理解し、転職エージェントなどで専門家の意見も聞いた上で、深く考えましょう。