2017年7月3日月曜日

都議選で幸福実現党が6候補中5人最下位の圧倒的強さ

7月2日に投票が行われた東京都議会議員選挙は、本紙が報じた都民ファーストの会の2人のカルト候補が当選し、都民ファーストブームの深刻さを改めて見せつけました。一方で、幸福の科学を母体とする幸福実現党も、6候補が全員落選。うち5名が各選挙区で最下位という圧倒的な力を見せつけて、改選前議席0を堅実に確保しました。創価学会・公明党は候補者23名が全員当選という面白みのない選挙戦を展開しました。

■開票早々に当確の2候補

「最低限の努力で、最大限のウマ味を得る」と口走ったブログを隠蔽して当選した銭ゲバスピリチュアル候補・あかねがくぼ氏(左)と都民ファーストの会代表の小池百合子都知事(右)。あかねがくぼ氏公式サイトより
本紙が6月28日に報じた都民ファーストの会の銭ゲバスピリチュアル候補は、あかねがくぼかよ子氏(茜ケ久保嘉代子、杉並区、新人)とサイエントロジーの広告塔・上田令子氏(江戸川区、現職)です(都議選に経歴隠蔽スピリチュアル候補者=都民ファーストの会参照)。

あかねがくぼ氏は、少なくとも2016年まで狩野理沙の名で「四柱推命をルーツとする中国古来から伝わる術」である「門」の認定アドバイザーを名乗り、ブログに掲載されていたものだけでも税込みで最大10万円以上の占いサービスを提供していました。主に金儲けを目指す人を対象にした占いのようですが、こうした稼業の宣伝をしまくっていたブログは選挙前に削除。経歴隠蔽スピリチュアル候補となりました。

そのあかねがくぼ氏、投票が締め切られて約1時間の午後9時頃、早々に当選確実に。削除した銭ゲバ占い師としてブログにあった言葉通り、「最低限の努力で、最大限のウマ味を得る」ことができたということでしょうか。

サイエントロジー関連団体の宣伝をしておきながらだんまりを決め込んで当選した上田令子氏(左)と都民ファーストの会代表の小池百合子都知事(右)。上田氏の公式サイトより
一方の上田令子氏は投票締め切りの午後8時すぎには当確。上田氏は昨年8月に、サイエントロジーの関連団体である「市民の人権擁護の会」が主催する「発達障害ビジネスから子供たちを守ろう」に参加。FacebookやTwitterでイベントを紹介し、来場を呼びかけていました。当時、ネット上で追求されたもののだんまりを決め込み、素知らぬ顔で当選を決めました。

選挙に勝つ最大の秘訣は「沈黙」であるという教訓でしょうか。

■沈黙できなかった人とできた人

余計なことを口走って自民党大敗に大きく貢献した稲田朋美防衛大臣(稲田氏のブログより)
その「沈黙」ができなかったのが、今回大敗した自民党の稲田朋美防衛大臣。6月27日に板橋区で行った応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言し大炎上。その後、撤回し謝罪したものの、「誤解を招く発言」だったとする稲田氏の言い訳が、報道陣から「誤解を招く余地は全くない。“防衛省、自衛隊、防衛大臣”と言っているじゃないか」と追求され、火に油を注ぐ形に。多いに都議選で自民党の足を引っ張りました。

著書『日本会議の研究』で、安倍政権を取り巻く保守運動と宗教団体「生長の家」人脈の関わりを明らかにした著述家の菅野完氏の解説です。

「いまのところ稲田氏が生長の家の信者だという物証は得ていませんが、教祖・谷口雅春の熱心な信奉者であり、“靖国神社一日見真会”という生長の家原理主義集団とも言えるコアな人々の内輪の集まりで、祖母から受け継いだという戦前版の聖典『生命の実相』を手に講演するなど、ガチガチの信者にしか見えない人物です。一方、都民ファーストにも生長の家系と目される人物がいます。小池百合子知事の特別秘書で都民ファーストの会幹事長の野田数氏です。こちらも信者である物証はありませんが、生長の家人脈の組織である日本教育再生機構の常務理事で、都議時代に大日本帝国憲法復活を求める請願を東京都議会に提出しています」

しかし都議選周辺での野田氏には、自身の思想的背景に直結する露骨な発言はありませんでした。

「稲田氏は余計な発言を我慢することができずに、日本会議の思想を具現化しようとする自民党や安倍政権の足を引っ張りました。一方で、沈黙によって都民ファーストの躍進に貢献したのが野田氏。同じ生長の家、日本会議に連なる人物でありながら、沈黙できるかできないかで大きく明暗が分かれましたね」(菅野氏)

しかし沈黙しないほうが正直とも言えます。稲田氏には今後も正直にぶっとんでいてほしいものです。

「あれほどの失言をした以上、稲田氏はもう死に体。どうせなら開き直って、言いたいことをぜんぶ言ってみたらいい。たとえば(愛国教育で知られる森友学園の前理事長)籠池(泰典)のおっさんと対談してみたらどうでしょう。『生命の実相』などが書棚に並ぶ部屋に2人きりで閉じ込めて対談させたら、すっげえ盛り上がるはず」(菅野氏)

■幸福実現党は圧倒的強さで勢力維持

5位の浦野智美氏(20,106票)をおよそ20分の1という得票数で圧倒し最下位落選(6位)を果たしたしらかし貴子氏(幸福実現党都議選サイトより)
幸福実現党もまた、幸福の科学を母体とする「宗教政党」であることを隠しもせず、「北朝鮮のミサイル発射」への対策として「核シェルターの設置を推進」するなど、ぶっとんだ政策で都議選に挑みました。

結果は6候補者全員が落選。改選前のゼロ議席を確保しました。

うち、しらかし貴子氏(中野区)と上田てつじ氏(町田市)はブービー賞候補と1万票以上の差をつけてダントツの最下位。安原ひろし氏(板橋区)は160票という僅差で、無所属新人の佐上彰浩氏に最下位を奪われたものの、6候補中5名が最下位という圧倒的な強さを見せつけました。

都議選での全員落選は、4年ぶり3度目で、結党の2009年以来3回連続。各候補の得票数と得票率は以下の通り。いずれも有効投票総数の10分の1に達していないため、各300万円(計1800万円)の供託金は東京都へのお布施となります。

なべ島ひさし(港区)686(0.8%)
表なつこ(江東区)1,403(0.6%)
しらかし貴子(中野区)1,118(0.8%)
西野アキラ(荒川区)523(0.6%)
安原ひろし(板橋区)983(0.4%)
上田てつじ(町田市)609(0.3%)

なお、Twitterで党広報アカウントが「共産党はハイエナ」などと発言した創価学会・公明党は、23候補全員が当選。都議選での全員当選は4年ぶり7度目で、1993年から7回連続。

その一方で、公明党から「ハイエナ」呼ばわりされた共産党は2議席増の19議席を獲得しています。民進党が自民vs都民ファーストという保守対決に埋没して5議席(改選前7議席)という惨敗を喫した中での共産党の議席増は大健闘ですが、公明党の死肉を食らうには至りませんでした。

本紙・藤倉善郎総裁のコメントです。

「幸福実現党は、国会の議席こそないものの、いつの間にか14人もの地方議員を誕生させていたため心配していたが、都議選では相変わらずの強さを発揮してくれてホッとした。惜しくも最下位を逃した候補者がいたことは、弊紙の応援が及ばなかったものとして素直に反省し、次回につなげたい」

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2 コメント:

匿名 さんのコメント...

 都民ファーストの当選者はほとんど政治経験のない素人さん・・・。本当にこんな人達で都議会やってられるのか???

匿名 さんのコメント...

野田数氏のような国政狙いで都議選に出馬せず有権者の信任を全く受けていない人物を代表に据える都民ファーストの他の都議は何も思うところはないのだろうか