2012年6月に相対性理論を離脱した真部脩一と西浦謙助が、女性アイドルオーディション「ミスiD2016」ファイナリストの齋藤里菜をボーカルに迎えて新バンド・集団行動を結成。メジャーデビュー作となる1stアルバム「集団行動」をリリースした。
アルバムの収録曲はすべて、集団行動の首謀者であり、相対性理論の活動初期におけるメインコンポーザーだった真部が作詞・作曲・編曲を担当。いずれの曲も、シュールで独特のワードセンスを持ったどこか感傷的な歌詞を、ペンタトニックスケールを多用したキャッチーなメロディに乗せた、まさに“真部サウンド”そのものと言うべきポップソングだ。
なお集団行動はデビュー後の今もメンバーを一般公募しており、現在の3人編成はまだ不完全な状態だと言う。相対性理論から離れてちょうど5年を迎えたこのタイミングで、新たな一手を仕掛けた真部の狙いはなんなのか。メンバー3人に話を聞いた。
取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 山川哲矢
バンドの組み方を忘れてしまった
──4月にお披露目ライブをやって、2カ月後にメジャーデビューアルバム発売って、すごくハイスピードな印象です。
真部脩一(G) 集団行動は僕が「バンドというものを組んで音楽をやってみたい」って思ったところから始まったんですが、メンバーが集まりきらないままに、ありがたいことにCDのリリースのお話をいただいたんですよ。「こんなにハイスピードなものなのかな?」って自分たちでも思ってたんですが、やっぱりこれ、一般的に見てもハイスピードだったんですね。
──バンドメンバーは以前から探していたんですか?
真部 そうですね。「バンドなのかどうかはフロントマンがいるかどうかだ」っていう持論が僕の中にあって、まずフロントマン探しを始めました。でも全然見つからなくて、3年くらいかけてついに見つけた。もしかしたら疲れきってて判断が鈍ってたのかもしれない(笑)。
西浦謙助(Dr) けっこういろいろ探したんだよね。
真部 最終的には知人の紹介でオーディションに近いことをさせてもらって、自分の中でちょっと感じるところがあって齋藤里菜さんにお願いしました。で、「これからまたメンバー探しの苦労をするのか……」という悩みに苛まれていたところでCDリリースの話をいただいたので、「これは乗っちゃおう」と思って。
──フロントマン探しをしている段階で、西浦さんがメンバーになることは決まっていたんですか?
真部 西浦さんとはもう長いこと友達なんですよ。腐れ縁というか。ドラマーが必要なときに、まず最初に電話をかける人が西浦さん。
西浦 ありがたいのかありがたくないのか。
真部 僕の中では、いわゆる“バンドメンバーの絆”のようなものを一番感じる人物です。
西浦 気が付けば13年くらいの付き合いなので。19歳くらいの頃、進行方向別通行区分に真部くんが入ることになったとき、「すごいサブカルな後輩がいるぞ」って話題になって。会ってみたらちょっとした天才ギター少年だった、というのが真部くんとの出会いです。
真部 そんなことなかったでしょ(笑)。ただ付き合いは長いけど、気が合うのかどうかはいまだにあんまりわかってない。
西浦 わからないですね。
真部 趣味が合うのかもわかんないしね。それなのに関係だけが長く続いてるっていうのが、僕はいいなと思うんです(笑)。
──真部さんが今バンドをやりたいと思ったのはどういう理由ですか?
真部 5年前にバンドから一度退いて「バンドはもういいや」という気持ちになっていたんですが、だんだん1人で仕事ができるようになってきた結果、自分が何かやりたい音楽があったときに1人でできちゃう状態になったんです。だから今度はバンドを組んで、自分以外の要素から生まれる何か別の音楽やりたいなと。
──進行方向別通行区分でもVampilliaでも“いちメンバー”ですし、真部さんが主導してバンドを組むことって珍しいのでは。
真部 そうですね。
西浦 相対性理論の結成は真部くん主導でしたけどね。2006年に真部くんから電話がかかってきたんですよ。「遊びで曲を作ったんですけど、一緒にスタジオ入りませんか?」って。あれが最初の真部くんが組んだバンドで、今回のは10年ぶり2回目。
真部 僕は基本的には裏方の人だから、自分でバンドを始めるのが本当にひさしぶりで、やり方がよくわからないんですよ。「バンドを組む方法を忘れた人が、それを思い出そうとしてる」ってのが今の僕らです。
テイラー・スウィフトと西内まりやしかない
──齋藤さんはもともと真部さんと西浦さんのことを知っていたんですか?
齋藤里菜(Vo) 知らなかった。相対性理論も知らないです。音楽に全然興味なくて、ホントに聴いてなかったから。
真部 初めて会ったときに「家にCDが2枚しかない」って言ってたんです。確かテイラー・スウィフトと西内まりやちゃん。
西浦 歌姫ですね。
齋藤 でも、これをやることになってから真部さんが作った音楽はほとんど聴きました。相対性理論はひと通り聴いたし、ハナエちゃんとかも。面白い歌詞だなって思いました。
西浦 あ、ちゃんと聴いたんだ。
真部 真面目だな。
齋藤 でも、今まで真部さんと一緒にやってきた方々って、私と真逆ですよね。ふんわりした声の人が多いけど、私の声ってすっごい低いし。「本当に私でいいのかな? 真部さん間違えちゃったんじゃないかな?」って思いました。
真部 僕は別にウイスパーボイスにこだわってるわけではないし、声が高いか低いかも重要じゃないんです。僕が好きなのは水みたいな、フラットでなんにでも合わせられる声。あと、ちょっとアホっぽい声が好きなんですよ。ブラックミュージックのボーカリストに、ポップなアホっぽさがあるんだけどちょっと切なく聴こえる、みたいな人がよくいて。例えばリアーナとか。
西浦 ボーカルを探してるときに「フラットな感じ」っていうのはちょいちょい真部と話してました。お互い、あんまり色が付いてない声を好んでるので。
真部 歌い手のパーソナリティやキャラクターが先行しちゃうと、それに乗せる世界観から作り始めないといけないので、その作業をしたくなかったんですよね。プロデューサーの仕事って、その人が持つキャラクターを強化することだと思うんですけど、自分のバンドでは逆に純化させるって言うか、なんの色も付いてないものを目指したい。それができるボーカリストがいいなと思ってたんです。
──齋藤さんは自分がそういうボーカリストだという自覚はありますか?
齋藤 ないです。でもちょっとわかるなと思うのは、私には何も特徴がないです。いい意味でも悪い意味でも。
真部 集団行動を始めてみて楽しくなってきたのは、この人にとっては歌がうまくなるっていうことがボーカリストとしての記名性を獲得するための戦いなんです。でも僕はそれに抗おうとしている。そういう僕たちのぶつかり合いが、1つの成長物語として今後の作品に反映されればいいなと思ってます。
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朝ドラに出たいかどうかで言えば出たい
- 集団行動「集団行動」
- 2017年6月28日発売 / CONNECTONE
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[CD]
2160円 / VICL-64801
- CD収録曲
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- ホーミング・ユー
- ぐるぐる巻き
- 東京ミシュラン24時
- バイ・バイ・ブラックボード
- 土星の環
- AED
- バックシート・フェアウェル
集団行動メンバー募集
- 応募資格
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- 年齢、性別等に制限はございません。
- プロ / アマは問いません。
- 集団行動のできる方に限ります。
- 応募方法
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メール
ct_audition@ve.jvcmusic.co.jp
※件名に「集団行動メンバー募集」と明記ください。
郵送
〒150-0011
東京都渋谷区東1-2-20 渋谷ファーストタワー
ビクターエンタテインメント CONNECTONE制作部
「集団行動 メンバー募集」係 宛 - 応募必要事項
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アーティスト情報
- お名前(所属しているマネージメントやレーベルがある場合は明記ください)
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- その他プロフィール、HPアドレス等
写真
- 全身
- バストアップ(胸より上で顔がわかるもの)
音源
- 演奏または歌唱している音源をCD-RやDVD-Rなどに収録しお送りいただくか、演奏している動画をWEB上にアップしていただき、その動画のURLをお知らせください。
※ご応募頂いた方の中から、選考に通過された方のみにご連絡させていただきます。
- 集団行動の単独公演
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- 2017年9月13日(水)東京都 WWW
OPEN 18:15 / START 19:00
- 2017年9月13日(水)東京都 WWW
- 集団行動(シュウダンコウドウ)
- 相対性理論の元メンバーである真部脩一(G)、西浦謙助(Dr)と、女性アイドルオーディション「ミスiD2016」ファイナリストの齋藤里菜(Vo)によって2017年に結成。同年4月に東京・TSUTAYA O-EASTで行われたイベントにてお披露目ライブを行い、6月にビクターエンタテインメント内のレーベル・CONNECTONEよりメジャーデビューアルバム「集団行動」をリリースした。現在メンバー募集中。