[PR]

 北朝鮮にどう向きあうか。その難題をめぐり米国と韓国の首脳がワシントンで会談した。

 米国はタフな外交を強調したい。韓国は制裁を続けつつ平壌との対話も視野に入れたい。

 そんな微妙な立場の違いはあるものの、まずは互いを配慮しあう対話のスタートを切った。

 前大統領弾劾(だんがい)の混乱が続いた韓国は、トランプ米政権との首脳外交が出遅れた。この間、北朝鮮は挑発を重ねてきた。

 北朝鮮が最大の交渉相手と見る米国と、朝鮮半島の一方の当事者である韓国との固い結束は、北朝鮮問題を打開するうえで必須の条件である。

 両首脳は今後も率直な意思疎通を続け、日本もまじえて共に北朝鮮問題に取りくむ信頼関係を強めていくべきである。

 米財務省は会談の直前、北朝鮮の核開発を支援したとして、初めて中国の金融機関などに独自の制裁を科した。トランプ政権として圧力の強化を強調したかたちだ。

 一方の文在寅(ムンジェイン)大統領は訪米前に、韓国・平昌(ピョンチャン)で来年開かれる冬季五輪での南北合同チームの編成を呼びかけるなど、北朝鮮との対話に意欲をみせた。

 会談後の共同声明で「北朝鮮が対話の場に復帰するよう最大の圧力を加える」としたのは、双方の間でバランスをとる表現に落ち着かせたのだろう。

 米韓の間には、迎撃ミサイルシステムの配備をめぐる微妙なやりとりも続いている。反発する中国にどう配慮するかという問題だが、この声明ではあえて言及を避けた。

 両政府がまずは初会談の順調な滑り出しの演出を優先したのは穏当な判断である。

 対話であれ圧力であれ、これまでも米韓の足並みがそろわないと、北朝鮮から前向きな反応を引き出せなかった。現在は圧力を続けることを共通認識とし、いずれは北朝鮮との対話に踏み出すために、綿密な道筋を練っていくことが肝要だろう。

 一方、日本政府は、米国以上に圧力の必要性を強調しており、韓国が融和策を優先させないか警戒している。

 だが、日米韓の連携の乱れを最も望んでいるのは北朝鮮だ。日米韓はそれを常に念頭において調整していく必要がある。

 週末にはドイツでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議を機に、文政権が発足して初めてとなる日米韓首脳会談や日韓首脳会談が予定される。

 日米韓はこれらの機会を使って結束の強化を図るとともに、中国やロシアも巻き込んだ包囲網づくりを急ぐべきだ。

こんなニュースも