中国では自動車保有台数が増加しているが、それと同時に都市部では渋滞が深刻化している。空中バス「巴鉄1号(TEB-1)」は中国の交通渋滞を解消する画期的な発明として中国のみならず世界で大きな注目を集めた。

 だが、巴鉄1号をめぐって違法な資金集めが行われていた可能性や投資詐欺の可能性が指摘されたことで、プロジェクトはすっかり頓挫してしまったようで、ここのところはずっと倉庫で埃をかぶっていたが、ついに倉庫から撤去されたようだ。

 中国メディアの今日頭条は30日、交通渋滞を解消するうえでの「神器」として注目を集めた巴鉄1号が倉庫から撤去されたと伝える一方、巴鉄1号のプロジェクト関係者が「巴鉄1号は撤去されるのではない」、「日本に運ばれ、テストが行われる」と述べたと伝えた。

 空中バス「巴鉄1号」は電力を動力源とし、道路の右端と左端にあるレール上を走行するとされていた。バスの大きさは全長22メートル、横幅7.8メートル、高さ4.8メートルで300人が搭乗可能だと報じられ、2016年8月には河北省秦皇島北戴河で試験走行も行っていた。しかし、16年に複数の中国メディアが、空中バスのプロジェクトは投資家から資金を騙し取るための詐欺だったと指摘し始め、なかには投資家から資金を集めていた企業の会長が国外逃亡を計画していると報じるメディアもあった。違法な資金集めが行われていた可能性や投資詐欺の可能性が指摘されたことで、「巴鉄1号」は中国でほぼ忘れられた存在になっていた。

 空中バスはその後、「車庫のなかで人知れず埃を被っている」と報じられていたほか、17年5月には「200メートルのテスト路線のフェンスが撤去された」と伝えられた。そして6月末に巴鉄1号の車両は倉庫から運び出され、倉庫付近にあったフェンスも撤去されたが、今日頭条は30日、プロジェクトの関係者が「中国人は巴鉄1号がもたらす未来を目にすることはできなかったが、決して撤去されるわけではない」、「巴鉄1号は日本の企業に引き渡され、日本でテストが行われる」、「日本以外の世界の複数の国から引き合いがあるのは事実」と述べたことを伝えた。

 日本でも当初は空中バス「巴鉄1号」の画期的なコンセプトに大きな注目が集まったのは事実だが、プロジェクト関係者が語ったという「日本側に引き渡される」という言葉が真実かどうかは不明だ。果たして巴鉄1号は日本で日の目を見ることになるのだろうか。(編集担当:村山健二)(写真は新華網の2016年8月3日付報道の画面キャプチャ)