2017年7月1日00時00分
■特派員リポート 牧野愛博(ソウル支局長)
5月、ノルウェーの首都、オスロ。米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表は、北朝鮮外務省の崔善姫(チェソンヒ)米州局長と向かい合っていた。案件は、北朝鮮に抑留された米国市民4人の解放問題だった。
複数の関係筋によると、米国務省は少々焦っていたという。昨年7月、北朝鮮が米国との外交関係断絶を宣言し、両国の間で話し合いがもたれる機運が全く見られていなかったからだ。話し合いの機会を奪われた外交当局など、羽をもがれた鳥に等しい。
しかし、今年2月になって、トランプ米大統領が、北朝鮮やイランなどで抑留されている米市民の救出に全力を挙げるよう指示。ティラーソン国務長官も「人道問題に関しては話し合ってよろしい」という許可を出したという。その結果がノルウェーでの秘密接触だった。
同筋によれば、崔局長はこの場では大変冷静だった。ユン氏が「何とか4人を解放してほしい」と要請するのに対し、崔氏は、なぜ4人を抑留することに至ったのか、その理由を朗々と述べ、最後は「本国に照会してみよう」という結論で切り上げたという。
ところが。その1カ月後、米国…
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朝日新聞国際報道部