前編はコチラ。
何とかして子猫の里親を見つけ出さなければいけません。
そうでなければ最悪、保健所で殺処分されてしまうからです。
で・・・・色々考えた結果・・・・
あまり気が進まなかったのですが、
職場で「事情」を話し、子猫の里親を探す事にしました。
上司に許可を得て、みんなの前で話ます。
「子ネコを拾ったので保健所へ連れて行ったら、
処分されると聞いたので、里親を探しています!」
私が職場のみんなにそう伝えると・・・・
大半の人は
「そうか大変だな、私は飼えないけど、
知り合いに飼える人が居ないか探してみるね?」
という模範解答をしてくれました。
・・・・ありがたい。
しかし・・やはり感情的な意見も飛び出しました。
こんな感じで・・・・
「なぜお前はネコが殺処分されるとわかっているのに
保健所へ連れて行こうとするんだ?」
そう言われても飼い主が見つからなければ仕方がない・・・
「その辺に逃がしてやればいいじゃん」
という雑すぎる意見もありました。
「拾ったからには責任持って育てなさい」
という責任を問う無責任な意見も・・・・・。
「飼い主が見つからなければ保健所へ持っていく?」
「そんなヒドイ事は辞めろ!ネコを捨てるな!」
そういう批判をされると、
不思議な気分になりました・・・・・。
まぁ確かにそうなんです・・・・・
死にかけの子猫を救ったハズが・・・・
いつの間には子猫を処分する側に回っていたのです。
なぜこんな事に・・・・・・。
モチロンそんな意見に反対してくれる方もいました。
それはチョットした論争になりました。
しかし・・・・・
肝心の「ネコを飼ってくれる人」は現れません。
私も実家で20数年間、
ネコを飼い続けてきましたから、
ネコを処分したいワケがありません。
思い返すと・・3歳くらいの頃には、
ネコがすでに自宅にいました。
気高いヤツだった。
そして・・・・ネコは増え続け。
多い時で5匹のネコが実家で飼われていました。
ネコだらけの楽しい人生でした。
ネコがいるだけで癒される。
しかし別れは突然訪れる。
ネコが死ぬ度に、
病院でも火葬場でも
私は恥ずかしげもなくワンワン泣きました。
私もネコが好きだ。
処分などしたいハズが無いのです・・・・・
だからこそ、
職場で懸命に里親を探して周りました。
そして・・・
みんなの協力もあり里親が見つかりました!
同僚の顧客で、
小さな会社を経営しているご夫婦です。
奥様が子猫の写真と動画を見て
「かわいい!かわいい!」と
とても気に入ってくださったのです。
ほんの数日間でしたが、
一緒に生活した子ネコともお別れです。
(でも良かった・・・本当に良かった)
ネコを処分しなけばいけないという
罪悪感から開放されたのです。
私は心底ホッとしました。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
しかし・・・・・・数日後、
子猫はまた私の元に戻ってきてしまいました。
ご夫婦が子猫を引き取った後・・・
子猫がけいれんして嘔吐したのです。
病院に連れて行くと・・・・・
検査の結果
子猫は「てんかん」という病気でした。
これは・・・定期的にけいれんを起こし、
嘔吐、失禁などをしてしまうそうなのです。
(ネットで動画等もあるので探して見てみて下さい。)
電話でそれを聞いた時・・・・・・・
何かに裏切られたような気がしました。
何に?何に裏切られたのか?
神様のような?仏様のような?
私たちは善行をしたハズです。
私は死にかけの子猫を助けた。
周りの知人や同僚も引き取り手を探してくれた。
引き取って下さったご夫婦もそう。
偽善と言われるかもしれないが、偽善も善。
子猫を救うためにみんな動いてくれた。
その結果がコレ?
なぜ?だれが子猫をこんな病気にしたのか?
「良いことをしたら良いことがある」
そうじゃないのか?
タチバナさんだってそうだ、
まがりなりにも・・・・・
あれだけ殺処分になるハズの動物を救っているのに
誰かが彼女の善行に報いた事はあるのだろうか?
この世界はどこまでも無情なのです。
連絡を受けた後、
謝罪して、猫を引き取りに伺いました。
それはもちろん同僚の大事な顧客でありましたし、
そんな状態のネコを押し付ける気にもなりませんでした。
「申し訳ありませんでした、
他に引き取って頂けるアテがありますので・・」
なんて事をご夫婦に言いました。
ご夫婦が罪悪感を抱かないように、
出来る限り配慮したのです。
ご夫婦に非はありません。
まだ小さなお子さんがいらっしゃったのです。
糞尿やゲロを撒き散らすネコを
家に置いておけるワケが無いのです。
この子の里親は・・・・もう見つけられない。
「この子はてんかんという病気で、
時折けいれんを起こして糞尿やゲロを撒き散らしますが、
よろしければ引き取って頂けませんか?」
そんな押し付けがましい事は言えない。
言ったとしても誰が引き取ってくれるのだろうか?
確かに私も含めてネコ好きは多い。
子猫であれば里親は探せば見つかるだろう。
しかし大抵のネコ好きの「好きなネコ」というのは
最低限度健康で、可愛くて、
問題のないネコの事になるでしょう。
私もエイズの猫やアレルギーの猫を
飼った事がありますが・・・まぁ大変でした。
ネコとの思い出は楽しい思い出ばかりでは無い。
病気の猫は手がかかる。
時間もかかる。
お金もかかる。
ただ・・・・言い訳をさせて貰えるのなら、
私も自分の生活だけで精一杯だったのです。
これが結末、救いは無い。
保健所へ行こう。
連れて行く前日、
子猫があまりにも不憫で、
彼女と二人でちょっと泣きました。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところが次の日、ご夫婦から連絡がありました。
(まさか!)と思いましたが、
「やっぱり子猫を引き取りたい」
そう言うのです。
お子さんが「どうしても飼いたい!」と
泣いて説得してきたのだとか。
お子さんも数日間、
ネコと過ごすうちに情が沸いたのでしょう。
それに子供にネコが「てんかん」だから飼えない、
という損得勘定は通用しないのでしょう。
自分が薄汚れているように感じました。
あと、このご夫婦が会社を経営しており、
裕福だった事も飼える理由の一つだったと思います。
弱い存在を救うには大きな力が不可欠なのです。
私もこういう人になりたかった・・・・。
いま思うのは、
「もしご夫婦が引き取らなかったら
本当に子猫を保健所へ連れていけただろうか?」
という事です。
保健所へ連れていく前夜、
私の頭の片隅では、
ずっとタチバナさんが笑顔でピースしていました。
わたしは結局・・・・子猫を保健所には連れて行けず、
タチバナさんに責任を押し付けていたかもしれません。
こうやって・・・
タチバナさんの元に動物は集まるのでしょう。
タチバナさんは近所の人に
「お前は動物を飼っているのに無責任なヤツだ!」
とそんな風によく怒られるそうです。
まぁ確かにタチバナランドの動物はよく吠えるし、
悪臭もヒドイ。頭に来るのは当然でしょう。
だから・・
タチバナさんの全てを肯定する事は出来ません。
でもタチバナランドの「ソレ」は・・・・
他の人が「責任」を押し付け続けた結果なんじゃないか?
と私は思います。
でもタチバナさんは誰にも責任を押し付けなかった。
その心構えに関しては、私は敬意を払い続けたいと思います。
おしまい