こんにちは、生かし屋(@sakihirocl)です。ちょこっと料理コラム。料理をする時、目で見て「焼けたかな?」とか、味見をして「塩をもうちょっと」などと進めていくと思いますが、視覚・味覚以外の五感も使えるようになると、見極めが容易になったり、ワンランク上の料理が出来ます。ちょっとしたコツと共に、料理における聴覚・触覚・嗅覚の使い方を記そうと思います。
聴覚を使う
ここ数年、ASMR-Autonomous Sensory Meridian Responseや音フェチといった調理音を楽しむ料理動画が人気で、「料理の音」に対する関心は高まっていると思いますが、自ら料理するときも、料理の音を聞いてあげることが大切です。
例えば水気を飛ばしていく料理で、アルミホイルなどで蓋をしていて中が見えない場合。水があるうちはグツグツと水泡がおこっては消えていく音が聞こえます。沸騰したかどうか、音である程度わかりますよね。それから水分がなくなっていくにつれ、何を煮ているかによって違いますが、グツグツという音が小さくなってジュー、ジリジリ、チリチリというような音になっていきます。蓋を開けて目視すれば容易いですが、料理によっては蒸気が逃げることでダメになってしまいます。
揚げ物でも、油に入れた直後は種に水分が多く、水蒸気が勢い良くでますので大きな音がします。これが揚げ上がりに近づくと水分が少なくってくるので、チリチリと小さく高い音になってきます。
普段の料理で、調理のはじめとおわりでどんな音の違いがあるか比べてみてください。経験的に「この音になってきたから焼き上がり!」というのが分かると、並行作業をしていても良い状態で料理をあげることができます。
触覚を使う
例えば肉の焼き具合を確かめるのに、触って確認する方法があります。押してみて弾力があれば火が通っています。逆にへこんで戻らないようなら、まだ中は生だということです。野菜に火を通すときも、竹串をさしてかたさをチェックしてあげると、火が通りすぎて崩れたり、逆に食べたらまだかたかったといった失敗を避けられ、理想に沿った火の通り具合を実現できます。小さなものなら指で圧をかけてみて潰れるかどうかなど。料理は味もさることながら食感も重要ですので、その料理における食材の役割を決めた上で火の通し方を考えると、ワンランク上の料理が出来上がります。
食感を揃えることで統一感が出て純粋に味を楽しめたり、逆に少数の食材に食感の違いを与えてあげるとアクセントになります。なんとなくではなく、仕上がりを想像して、明確な意図をもって決めるのが良いですね。
嗅覚を使う
料理を食べる際、僕達が「味」だと思っているもののほとんどが「風味」です。風味というのは味覚+嗅覚です。嫌いなものを鼻を摘んで食べた経験がある方も多いのではないでしょうか。鼻を摘んで食べると、「舌ってなんなん?」ってくらい味が分からなりますよね。それほど料理を味わうのに、嗅覚は大きな役割を果たしています。
味に大いに寄与する嗅覚を使って料理をすることで、仕上がりを理想に近づけることができます。「この匂いが漂ってきたから加熱をやめる」といったことですね。例えば玉ねぎを炒めていると、あるところから甘い匂いが漂いだしますよね。玉ねぎの甘みを生かしたい場合、この匂いが漂うまでは加熱してあげる必要があるということです。
料理をする人なら、「メイラード反応」や「カラメル化」という言葉を聞いたことがあると思います。メイラード反応は糖+アミノ酸、カラメル化は糖がある場合に高温で加熱すると起こり、香ばしさが出て色付きます。この両者は料理を美味しくしてくれる重要な化学反応で、風味を向上させてくれます。風味というからには反応が進むにつれて香りが漂いはじめます。この香りをキャッチすることで、実際に裏返して焼き色を確認せずとも、良いタイミングでひっくり返し、熱源から引き上げることができます。
焦げた匂いが漂ってきた時点でもうダメですので、そうなる手前の匂いに注意することで、ベストなタイミングで加熱をやめられます。
知識と五感をすべて使うこと
それぞれの五感について記してきましたが、知識を持って大切なのは五感すべてを使うことです。いくら良い匂いをもとに加熱をやめても、火力が強すぎたら表面だけ焼けて、中は生のままになってしまいます。揚げ物にしても、それぞれの食材に適した油の温度や大まかな揚げ時間を把握した上で、衣の色付き・泡の出方・浮き上がりを視覚で確認し、香ばしい匂いをキャッチし、音が小さくなるのを聞き取り、箸で衣のサクサク具合を確かめることによって、最適なタイミングで油から引き上げることができます。
また五感をフルに使うと、一層楽しさが増します。あらためて意識するだけで、こんな音がなっていたんだとか、色んな気付きがありますよね~。料理は五感で作る。これです。ぜひ意識してみてくださいね。