福島第一原発の凍土壁 1年3か月余でようやく完成へ

福島第一原発の凍土壁 1年3か月余でようやく完成へ
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東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策の柱で、建屋の周囲の地盤を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土壁」について、原子力規制委員会は28日、安全のため凍らせずに残していた最後の部分の凍結をおおむね了承し、凍土壁は運用開始から1年3か月余りたってようやく完成する見通しとなりました。
福島第一原発では、地下水が建屋に流入して汚染水が増加するのを防ぐため建屋の周りに埋めた「凍結管」と呼ばれるパイプに氷点下30度の液体を流して、およそ1.5キロの氷の壁、凍土壁を作る計画が進められています。

ただ、すべての部分を凍結させた場合、建屋の周りの地下水の水位が急激に下がり、建屋内の汚染水が漏れ出すおそれがあったため、東京電力は山側の幅7メートルほどの部分を凍らせずに残していました。

これについて東京電力は28日の原子力規制委員会の会合で、すべて凍結させても地下水の水位が急激に下がることはなく、仮に下がっても汚染水が漏れ出す前に緊急に移送する体制が整っているなどと説明し、原子力規制委員会もすべての部分の凍結をおおむね了承しました。

東京電力は正式に認可が下りれば速やかに凍結を始めるとしていて、凍土壁は運用を開始してから1年3か月余りたってようやく完成する見通しとなりました。

建屋への地下水の流入量は、凍土壁の運用を始めた当初は1日400トンありましたが現在は100トン余りに減っています。

東京電力は最後の部分を凍らせれば、流入をさらに減らすことができるとしていますが、原子力規制委員会は凍土壁が完成したあとの効果を慎重に見極めることにしています。