人の職業を笑うな

you can (not) find a vocation

地下アイドルのライブに連れていってもらった【全力少女R】

 

皆さんは全力少女Rという地下アイドルを、ご存じだろうか。

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全力少女R(ぜんりょくしょうじょアール Full Power Girls R)は、芸能プロダクション・シャイニングウィル所属の日本の女性アイドルグループ。Ru:Rian流星群少女が合体してできたアイドルグループである

by wikipedia

 

 

僕も、友人のYから話を聞くまでは、その存在を知らなかった。

なんなら、「地下アイドル」という言葉を聞くだけでちょっとした居心地の悪さを覚えていたくらいだ。

 

でも、Yは言った。

 

「いいんだ、それで。でも、一度見てやってくれないか? 俺たちは、ひとりでも多くの人に伝えたいんだ。全力少女Rや地下アイドルの存在をじゃない。俺たちがどれだけ情熱を注いでいるかを、だ」 

 

既に、ちょっと気持ち悪かった。

でも、タダで連れて行ってくれるというのなら、社会勉強のひとつとして十分たのしめそうじゃないか。そう思った僕は、Yの誘いに乗ることにしたのだった。

 

 

専門用語のおさらい

ということで、これから地下アイドル「全力少女R」のライブレポを書くのだが、事前情報がないと面白くもないので、地下アイドルについてYからいろいろと教えてもらったことを先に話す。まずは、専門用語のおさらいからだ。特筆すべき3項目だけ紹介する。

 

 

Y「これから出てくるいくつかの専門用語は、覚えておいてほしい」

 

僕「わかった」

 

Y「まず、“DD”はわかるか?」

 

僕「わからない。“ダメ・童貞”とかか?」

 

Y「違う。”誰でも大スキ”だ」

 

僕「なんだそれ。どういう意味だ」

 

Y「特定のアイドルを好きになるのではなく、複数のアイドルのファンを掛け持ちでやっているようなヤツのことを指す」

 

僕「いいじゃねえか、好きにしてやれば」

 

Y「おれはDDでも許容するが、人によってはダメだ。一途にひとつのアイドルを愛するやつもいる」

 

僕「いろんな人がいて、いろんなことを言うんだな」

 

 

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Y「”チェルノ”はわかるか?」

 

僕「飲み物のチェリオなら知っている」

 

Y「違う。チェルノブイリから来ている、チェルノだ」

 

僕「急に原発の話か? 物騒だな」

 

Y「違う。サイリウムってあるだろう?」

 

僕「あの、折ったら光るやつか」

 

Y「そうだ。アレを、勢いよく折り過ぎると、中身の液体が飛び出すんだ」

 

僕「何故そんなに勢いをつける必要が……?」

 

Y「いいから。とにかく、飛び出したらそれは、”チェルノした”と言うんだ。おれたちの間では、よく起きるんだ」

 

僕「異世界の話であることはわかってきた」

 

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Y「最後に、バルログだ」

 

 

僕「バルログ?」

 

Y「ストⅡはやったことがあるな?」

 

僕「あたりまえだ。アラサーなら誰でも通ってる」

 

Y「アレと同じだ。サイリウムを、指と指の間に1本ずつ挟んだ状況を指す」

 

僕「どんな人生を送ったらその状況が必要になるんだ」

 

Y「いいから。行けばわかる。覚えておいてくれ」

 

僕「だんだん怖くなってきた」

 

 

 

 

地下アイドル「全力少女R」とYの歴史

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僕「全力少女Rのファンは、みんなバルログみたいな感じなのか?」

 

Y「いや、全員がそうではない。全力少女Rのファンは、3つの派閥に別れている」

 

僕「3つの派閥……?」

 

Y「全力少女Rは、元々ふたつのユニットだったんだ。お前にも解るように言うなら、マキシマムザホルモンミスチルがくっついたと考えてくれ。だから、ファン層もそれぞれの古参と、くっついてからファンになった新参者の三者がいる」

 

僕「聞いてるだけで容易に厄介だな」

 

Y「ちなみにおれたちは新参モノだ。おれがモノノフを経て、でんぱ組の追っかけを4年ほどやっていたことは知っているな?」

 

僕「知らないが、続けてくれ」

 

Y「でんぱ組はライブ活動をしばらく休むことになったんだ。そこで俺はヲタクを辞めることになると思ったんだが、次の魂の拠り所が見つかってしまった。それが、全力少女Rだ」
 

僕「いよいよ地下にまで手を出したのが、そのタイミングか。なんで次を探したんだ」

 

Y「辞められるんだったらとっくに辞めてる」

 

僕「辞めたいと思っているのか、ごめん」

 

Y「辞めようと思った。何度も辞めようとした。でもできなかった。今も週3ペースでライブに足を運んでる。給与のほとんどは貢いできた。抜け出せない。抜け出せないんだよ」

 

 

僕「なんかほんとごめん」

 

 

 

 

地下アイドルの楽しみ方

最後に、地下アイドルのライブの楽しみ方を聞いた。

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僕「地下アイドルのライブは初めてなんだが、どういったノリなんだ?」

 

Y「基本的には、参加型だ。合いの手を入れないと、おれたちオタクは死んでしまう」

 

僕「泳いでないと死ぬマグロみたいなものか」

 

Y「ヲタ芸というのがあってな、アイドルの曲は大体『型』が決まっているから、それに合わせた踊りや合いの手を入れることで、ライブは完成されるんだ」

 

僕「そんなにパターン化されているものなのか?」

 

Y「意外かもしれないが、ヲタ芸が最もハマる曲は、おれが知る限りでは嵐の『Love So Sweet』だ。あれでBPMがもう少し早ければ完璧だった。実に惜しかったんだ」

 

僕「ジャニーズファンから火炎瓶でも投げ込まれそうな発言だな」

Y「さらに言うと、ヲタ芸の歴史は藤本美貴から始まっていると俺は踏んでいる。『ロマモ』は勿論知っているよな?」

 

僕「すまん、知らない」

 

Y「『ロマンティック浮かれモード』のことだよ。習っただろ。アレの『美貴さま美貴さまお仕置きキボンヌ』は、まさにヲタ芸のはしりだ。そういう意味で、藤本美貴は本当に偉大なんだ」

 

僕「覚えておくようにするよ」

 

 

こうして事前講義は終わった。

僕たちは全力少女R、二度目のワンマンライブとなる「全力少女R 1周年
R魂〜空前絶後のワンマンライブ〜」を見るため、鶯谷へと向かった。

 

 

 

 

いよいよ始まるワンマンライブ

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4月23日 夕刻。

全力少女Rワンマンライブの日がとうとう訪れた。

 

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会場は、東京キネマ倶楽部

地下アイドル界ではそこそこ有名らしい。キャパは300人程度だとか。

 

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すでに大量のファンが待ち構えている。

 

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Yはこの日、自作のメンバー顔写真コラージュTシャツを作ってきていた。あくまでも個人で楽しむらしいが、度が過ぎてる。

 

 

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これまで撮りためたチェキも見せてくれた。ファイルにしっかり保存されているところが気持ち悪い。

 

 

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「お前も一個ぐらいグッズを持て」と、タオルを貸してくれた。ヲタクは優しい。

 

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ちなみにファンの中にはめっちゃ美人なお姉さんたちもいた。オシャレな人も多くて、結構びっくりする。「一番強いやつは、儲かってる個人事業主。あいつらは金もあるし時間もあるから、ほぼすべてのライブに参戦してる」とのこと。「一番強い」って言い方に笑った。

 

 

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チケットを持って、いざゆかん。

 

 

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場内に入ると、ステージには誰もいないのに、既に異様な熱気に包まれていた。ちょっと怖いくらいである。

 

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ステージ正面の一番奥。いかにも騒ぎそうな顔をした集団のさらに真ん中に行くと、Yが友人と一緒に、段ボールを展開し始める。

 

僕「なにこれ?」

 

Y「サイリウムだよ。メンバーカラー50本ずつ用意した」

 

僕「なんで、こんなにいっぱい?」

 

Y「あいつらが喜ぶからだよ」

 

僕「あいつら?」

 

Y「メンバーに決まってんだろ」

 

僕「お、おう……そうか……」

 

 彼等の使命感はすごい。

 

 

 

そして始まる、伝説のライブ

ここからは(なんと)オフィシャルからいただけた当日のライブ写真と、僕が撮ったヲタクたちの写真を添えて、ライブ所感を箇条書きでお届けする。

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・登場SEにディープ・パープルの『BURN』が爆音で流れると、野太い声が一斉に湧き起こり、会場を震わせた。戦でも始まるのかと思った。

 

 

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・ヲタクたちは4倍速にしたVHSみたいな動きを見せた。

・華麗に操るサイリウム捌きは、スターウォーズヨーダを彷彿とさせた。

 

全力少女R!!!!!!!!』

『閃光ライダー』

『時空を超えても君が好き』

『一発逆転下剋上

と、立て続けに4曲やってMC。

 

・一年前のこの日この場所でデビューした彼女たちが、ワンマンライブというかたちで同じ場所に戻ってこれたことに感激していると言う。

・親心のような気分を持って見守る。

・「これまで、よく頑張ったね」と思う。

 

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リーダーの百川晴香。赤。可愛い。

 

・そのあともバラードが中盤まで1曲くらいしかない。

・めちゃくちゃ踊る。

・ヲタクたちも、めちゃくちゃ踊る。

・ヲタクたちジャンプ力めちゃくちゃ高い。

・すげー跳ぶ。

桜木花道かってくらい跳ぶ。

 

 

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山下はるひ。ピンク。かわいい。

 

・6曲目を終えたくらいから、徐々に彼女たちの汗を拭いたタオルが欲しくなってくる。

・MCのたびにめっちゃ感謝される。

 

 

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・ヲタクがヲタクを肩車したと思ったら、ステージ最前まで突進する光景を見かける。

・これがめちゃ盛り上がっている。

進撃の巨人と命名する。

・ヲタクは自分たちのヲタ芸に忙しすぎて、あまり彼女たちのことをちゃんと見る余裕がなさそうだ。

 

 

・7曲目を過ぎたくらいで、僕の推しが赤(リーダーの百川さん)に決まる。全力少女Rは全員色で別けられている。決してモモクロのパクりではない。と信じたい。

・8曲目くらいから百川さんとたくさん目が合い始める(気がする)。

・ヲタク、MCになるとひたすら水を飲みながら静かに話を聞く。

・めっちゃ静かに聞く。野次とかはいれない。

 

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江室里香。青色。かわいい。

 

・青の子に「ツイてないと思ったら、迷わずここにおいで」と言われてリピを決める。

・緑の子に「わたしはいま高校3年なんですけど」と言われて一瞬現実に戻る。

・メンバー泣き始めて僕も泣く。
・ヲタの「泣かないでー!」に涙をひっこめる僕。

 

・MC中に担架で運ばれるヲタ一名。

・知らないヲタの人に「楽しんでる?」って言われる。

・「楽しんでます!」と答える。

・オレンジの子が喋ってるとき、オレンジのペンライトを持ったヲタクが泣きながら「泣かないでー!」って叫んでて、お前がなって。

・オレンジ「2年目はもっと、目標である東京ドームに近づきたいし、みなさんがいなきゃできないこともあるから、これからも、わたしたちと夢を叶えてください!」に、リピを誓う。

 

 

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・MC後の曲でサイン入りのカラーボールが投げられる。

・無尽蔵に飛び上がるオタクたち。

・後半からキラーチューン連発。

 ・唯一事前に予習していた『ウ・ナ・ギ・ノ・ボ・リ』をやってテンション爆アゲ。

・4倍速のVHSみたく踊る僕。

 

 

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佐藤絵里香。黄色。かわいい。

 

 

・本編ラストってところでフルアルバム発売決定のお知らせ! 

・やったー! ぜったい買う!!

・最後尾で小さくピースサインを送るヲタクを見かける。

・「それ、届くの?」と聞いたら「届くまで、送るんだよ」と笑顔で言われる。

 

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・エンディングの挨拶がキラキラしすぎてて直視すらできない。

・お辞儀が深い。

・赤「全力少女って言ったら、アールって言ってね!!?」

・ヲタ「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーる!!!」

・指をめちゃ振りながら「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーる!!!!」

 

・やっぱりお辞儀ふかーーい!!!

 

 

 

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これにて本編が終了。

 

・メンバーがはけたタイミングで、例の大量のサイリウムが配られ始める。

・「3曲目で折ってください」と言われる。

・なんでわかってんねんって思う。

 

 

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舞花。緑。かわいい。

 

・そして待望のアンコールスタート。

 

・『たまゆら青春days』で背景にメンバーの結成当時の映像などが流れてきた。

・初見なのに「なつかしい」と思いながらちょっと泣く。

・彼女らは、普通の青春を捨ててんだよな。だからこそ、この曲が泣けるよな。

 

 

・そして予言どおり3曲目『嗚呼、踊れ花吹雪』で、サイリウム折りまくり。何人かチェルノしまくり。

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 最後まで全力を見せつけられた。

 

 

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廣川かのん。オレンジ。かわいい。

 

こうしてアンコールも終わりを迎える。

 

・赤「楽しかったですかー!!
・ヲタ「うおおおおおおお!!!」

・僕「うおおおおおおおおお!!!!!」

 

大団円。会場がひとつになっていくのを肌で感じた。

こうして全力少女Rのワンマンが終わりを迎えたのだった。

 

 

握手会

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岡崎絵理菜。白。かわいい。

 

・ここからは握手会とチェキの撮影会が始まる。

・メンバーの準備が整うと、7人それぞれに長蛇の列ができる。

 

・これが結構残酷で、人気がハッキリと列の長さでわかる。

・そして、列が短いと、同じファンが何度も何度も握手券を買っては、ほかの列が終わるまで延々と話をし続ける。

・その努力(もしかしたらただ話したいだけ)に、なんかまた泣ける。みんな売れてほしいって思う。

 

 

  

・握手会前に、私服に着替えているヲタがいた。「せっかく作ったTシャツ着ていたのにどうして?」と聞いたら、「汗で不潔なの、彼女たちは嫌でしょ」って。イケメンか。

・女性ファンが男性ファンにロクシタンのハンドクリームをちょっとずつ配ってて、ヲタたちみんな「ありがてえええ!」って叫んでる。いい意味で頭悪い空間が広がっててイイ。

 


・僕は、推しとなった赤・百川さんの列に並んだ。

・21歳の若きリーダーに、「てか年齢いくつですか?」と聞かれ、「30です」と答えたら「同い年くらいに見えた! 若いよね!?」と褒められ、「よく言われます、若作りで」と完全にでれでれになりながら答えた。

 

・が、チェキに映っていた自分の顔があまりにもオッサンすぎて死んだ。

 

 

 

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以上で、人生で初めて参戦した地下アイドルのライブ記録を終える。

 

友人のY曰く、全力少女Rだからこういうライブであり、

ほかの地下アイドルもそれぞれで楽しみ方があるのだと言う。

 

先にも書いたが、全力少女Rは8月にアルバムをリリースする。

と同時に、残念ながら7月2日を以て、山下はるひさんの卒業が決まってしまっている。

 

山下さんが推しメンだった友人のYは「病んだ」と言っていた。

 

いろいろと難しいこともあるのだろうが、頑張って走り続けてほしい。

 

30歳のおっさんの僕だが、元気を貰えたし、元気をあげたくなった彼女たちのことをこれからも応援したいと思った。

 

 

最後に、Yの友人であり、さまざまな質問にも気軽に答えてくれたファンの皆さん(たぶん20人くらいの集団だった)、ありがとうございました。また行きます。

 

 

おしまい

 

 

 

(参考)セットリスト

M1全力少女R!!!!!!!!

M2閃光ライダー

M3時空を超えても君が好き

M4一発逆転下剋上

M5ときめきのHappy Beat(伴奏えむろん)

M6RASPBERRY POP

M7チャンスの神様

M8生まれたてのラブソング

M9ギリギリ勝負のトラディション

M10喰らえ魂の一杯

M11プログラムハレーション

M12大胆無敵にGO MY WAY

M13バイブスサマーソウル

M14放課後!胸キュン☆スター☆

M15Yes, I Can!!

M16ウ・ナ・ギ・ノ・ボ・リ

EN1boon boon全力号

EN2たまゆら青春Days

EN3嗚呼!! 踊れ花吹雪

 

 

 

 

↑最近こんな仕事しました。