平和な世界を目指して


 

世界連邦推進日本協議会 第二回 政策提言


20071217

 

外務大臣 高村 正彦 殿

 

 第二回 世界連邦実現に関する政策提言

 

目  次


1.はじめに

2.国際刑事裁判所ローマ規程への加入を祝し一層の発展への寄与を求める

3.国会決議に対応する日本政府の具体的行動を求める

4.北海道洞爺湖サミットにおいて地球環境回復のための政治的決断を求める

5.むすび 


世界連邦推進日本協議会

 

世界連邦運動協会

世界連邦日本国会委員会

世界連邦宣言自治体全国協議会

世界連邦日本宗教委員会

 

 

 

はじめに

 

 平成17年8月2日に衆議院で採択された「世界連邦実現」に関わる決議に基づき、同18年6月23日に「世界連邦実現に関する政策提言」と題する外務大臣宛の提言書を総合外交政策局長に手渡し説明した。

 その大要は“世界連邦実現への道とは、国際連合体制から世界連邦体制へと移行する道である。国際連合体制とは、国際法に基づく各国家の責任と調整によって平和と秩序を維持する枠組みである。一方、世界連邦体制とは「世界法」に基づく「人間の責任」と「補完性の原則」(国内レベルの問題は国内で、地域レベルの問題は地域で、世界レベルの問題は世界で解決により平和と全世界民の福祉を維持する仕組みである。この世界連邦体制こそが、世界全体の恒久の安全保障を確保し、「持続可能な人類共生の未来」を約束する仕組みである。国連体制から世界連邦体制へ移行する道には、(1)国連改革の積み重ねによって達する道、(2)連邦体制のモデルと見られる地域共同体の流れ(EUAU、東アジア共同体など)の発展と連携によって達する道、(3)現に機能しつつある世界法的な機能(国際刑事裁判所など)を拡充し達する道があり、これらの道が相互に関連しながら構築されていくことが考えられる”として、「1国連改革、2東アジア共同体、3国際刑事裁判所への早期加入」の三点について詳細に提言し、外交政策に十分反映されることを強く要望するものであった。

 これについて同年8月3日に総合外交政策局長より具体的で丁重な回答をいただいのみならず、その後の努力により国際刑事裁判所への早期加入が実現した。これは世界連邦体制への大きい前進の一歩とみられるもので、まことに喜ばしく、ご尽力いただいた各位・各機関に深く感謝と敬意を表する。

 一方、内外の情勢を見ると、テロ、大量破壊兵器、地域紛争などの対暴力安全保障、並びに地球温暖化など対気候安全保障をはじめとする、緊急の危機回避が求められておりうした中で来年7月の北海道洞爺湖サミットにおける議長国日本のリーダーシップへの期待も高まっている。この際、これらの世界的な課題の対応には、全世界の安全を守り共生することを優先する世界連邦体制を見通して当たることが肝要であると考える。そのため、以下の政策を提言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1 国際刑事裁判所ローマ規程への加入を祝し一層の発展への寄与を求める

 

 われわれ世界連邦推進日本協議会は、日本政府が国際刑事裁判所ローマ規程について、本年7月17日に批准書を寄託し、10月1日に加入したことを歓迎する。

 ローマ規程への加入は、わが国として国際社会の最も深刻な罪の不処罰を許さないという決意の表明である。アジアの主要国であるわが国の加入は更に多くの国が加入することを促進し、重大犯罪者に対する国際的な包囲網を広げることに貢献すると考えられる。国際社会における重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のために、日本がローマ規程加入国となってこれを支えていくことには大きな意義がある。

 国際刑事裁判所は、我が国の外交の基本方針である「人間の安全保障」を推進する上でも重要な手がかりになる。また、同裁判所に併設される信託基金は、被害者の救済をも視野に入れた新しい刑事裁判のあり方を模索する上でも参考になるものである。

 われわれは、日本政府が、国際刑事裁判所に加入するにとどまらず、以下に掲げる課題などに取り組むことにより、国際刑事裁判所の一層の発展のために進んで寄与することを求める。

1. いまだに加入国が少ないアジア地域において、積極的に未加入国に働きかけて、アジアの総意をもって国際刑事裁判所を支援し発展させるために、率先して模範を示し、加入国を増やすよう努力すること。

 

2. 裁判官その他有用な人材を提供すること。日本は加入国中最大の分担金を負担することになるが、資金面での貢献のみならず、人材面での貢献も重要である。この点に関し、本年1130日に行われた国際刑事裁判所裁判官補欠選挙において、わが国の斎賀富美子氏が最高得点で当選したことを歓迎する。

 

3. 2009年以降に予定されているローマ規程の見直し会議に向けて、「侵略の罪」に関する具体的な提案も含めて、専門家やNGOの意見を進んで聞き、この面においても優れた貢献ができるように、直ちに準備に取りかかること。

 

4. ローマ規程見直し会合にあたり、核兵器の使用について、ICCの対象であることを明確にすること。ローマ規程第8条戦争犯罪2(b)に核兵器使用を加えることをわれわれは提案する。その前提として、核兵器禁止条約成立に政府は努力するべきである。この点に関し、本年125日、わが国が提案した核軍縮の決議が国連において過去最多の170カ国の賛成を得て採択されたことを高く評価する。

 

5. 国際刑事裁判所関係者らが国内活動で十分な協力を確保することができるように、特権免除協定(APIC)への加入を推進すべきである。

 

6. 被告人の権利について定めるローマ規程67条に基づき、政府は被告人の権利が十分に保障されるように、法整備を行うべきである。これらの措置は、ローマ規程の対象となる事件のみならず、国内における日本人あるいは外国人を被告人とする刑事司法手続きをより適切に行うためにも重要である。

 

 

 

2 国会決議に対応する日本政府の具体的行動を求める

 

 「世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである」と誓約した国会決議は、国民を代表する国会議員が超党派の絶対多数で採択された。その決議案のもとにな世界連邦日本国会委員会が中心になって提出した「国連60周年にあたり国連改革および世界連邦の理想実現に関する決議」()提出議員と日本の全政党から全衆議院議員の三分の二以上の賛成署名議員によるものであった。これらの事実は「世界連邦実現という国是」が偏りない全国民の意志であることを示している。

 また被爆国日本の悲願である核兵器廃絶は、人類の共生に不可欠な事業である。それは各国の軍備不要とする仕組みによってのみ、完全に実現できる。その仕組みを実現するために世界連邦建設の先頭に立つことは、わが国の責任であるばかりでなく、全国民の平和希求応えるものである。

 世界は二極体制であった冷戦が終り、多極化の方向をたどり始めた。ヨーロッパ連合(EU)27ヵ国を統合しアメリカに似た連邦制国家に近づいている。アフリカ連合(AU)も全アフリカ53ヵ国の連合を実現しEUと同じ体制を目指している。東南アジア諸国連合(ASEAN)もその憲章案が成り批准を進める段階に至り、東アジアの貿易協定にも進展がある。大局的には世界全体が統合の方向に進んでいると見られる。その中で日本はどんな大義に基づいてこれからの世界に貢献したらよいかが問われている。

その答えは、先の国会決議による「世界連邦実現」について、国連総会やサミットの場で具体的な提言に取りかかることにある。人類共生の未来に不可欠な世界法治共同体、すなわち世界連邦建設を世界に呼び掛けることによって、日本は名誉ある立場にたてるに違いない。これこそが、日本の主体性を明らかにし、友好国との絆を一層強めながら全方位的な外交戦略で世界に貢献する道である。

 国際貢献の目的は全世界の共生・幸福を公平、迅速、効果的に達成することにある。その方途は究極的に世界連邦実現のほかにはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3 北海道洞爺湖サミットにおいて地球環境回復のための政治的決断を求める

 

 アインシュタインの平和原則「全体的破壊を避けるという目標は他のいかなる目標にも優位しなければならない」は、今や核兵器の廃絶、テロ撲滅や地域紛争などの対暴力安全保障ばかりでなく、地球温暖化等による対気候安全保障についても重要な意味をもつようになった。それらの安全保障には全世界の緊急対応が要るのに、現国連体制では大きな努力にもかかわらず、国益調整の壁に阻まれて進展があまりに遅い。気候温暖化等による災害や水不足・農地劣化・砂漠化による食糧難の危機等々が回復不能に陥るのではないかと多くの人が心配している。その実感は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の四次にわたる報告等によっても裏付けられ、世界を挙げて対応すべきだとの世論が急速に高まっている。人類の共生、地球環境の回復保全を他の目標に優位して取り組みうる世界連邦体制構築の重要性を忘れてはならない。

 人類の生き残りのかかる非常事態とも言えるとき、この課題に勇断をもって取りかかる知恵と指導者をG8サミットに求めたい。その気になれば現実に世界を動かしうる指導者の集いだからである。来年7月の北海道洞爺湖サミットの議長国日本の首相には、世界連邦構築を念頭に一刻も早く地球温暖化停止を実現する公平・迅速・効果的な事業への政治的決断をリードしてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むすび

 

昨年に引き続き外務省を窓口にして政策提言の機会を得たことを感謝する。

平成17年8月2日に衆議院で採択された決議は、政府に世界連邦実現の探究を求めるものである。それに応えて政府が積極的に取り組んでいることを国民は注視している。今回の提言は、その取り組みに資するとともに、世界の情勢から緊急の対応が求められる三つの事項を提言した。世界連邦実現国会決議をもつ日本の政府がその役割を果たすよう切望する。

 

                         

 

世界連邦推進日本協議会

 

 

植木 光教 世界連邦推進日本協議会会長 
         世界連邦運動協会会長

森山 眞弓 世界連邦日本国会委員会会長

四方八洲男 世界連邦宣言自治体全国協議会会長

田中 恆清 世界連邦日本宗教委員会委員長

 

 

世界連邦推進日本協議会 第二回 政策提言への外務省からの回答