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イロハのイが分かっていない

2017/6/30付
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 お粗末というしかない。行政の政治的中立性を逸脱した稲田朋美防衛相の発言である。東京都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と述べ、撤回する事態に追い込まれたものだ。

 野党が罷免を要求、安倍晋三首相の任命責任を問うための臨時国会の召集も求め、拒否する政府・与党との対立が続いている。

 憲法15条は「すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定めている。自衛隊法61条は選挙権の行使を除いて自衛隊員の政治的行為を制限している。公職選挙法136条の2は公務員の地位を利用した選挙運動を禁じている。

 防衛相は「地元の皆さんに自衛隊、防衛省に対する感謝の気持ちを伝える一環として、そうした言葉を使った」と釈明しているが、稲田氏は弁護士出身ではなかったか。司法試験に合格して法律を扱う仕事をしてきた人が、いったいどうしたことだろう。

 防衛省・自衛隊のトップとして「イロハのイ」が分かっていないといわざるを得ない。閣僚として失格のそしりを免れない。取り沙汰される今夏の内閣改造・自民党役員人事で、首相がよもや続投させるなどということはあるまい。

 もうひとつお粗末というしかないのは、自民党に離党届を出した豊田真由子衆院議員の秘書への暴言・暴行だ。聞くに堪えない罵声に顔を背けた人も多かろう。

 豊田氏は有数の進学校を経て東大法学部を卒業、旧厚生省に入り米ハーバード大で修士号を得た。自民党の公募で衆院埼玉4区から出馬、当選2回の若手議員だが、はき違えたエリート意識によるものといわざるを得ない。

 人を人とも思わない言動は国会議員として失格のそしりを免れない。よもや次の衆院選に出馬するなどということはあるまい。

 7月2日の東京都議選を前にして問題発言が相次ぎ、安倍自民党が大敗した2007年の参院選をほうふつとさせる政治の風景が繰りひろげられている。

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