アルマ望遠鏡がとらえたベテルギウス
【2017年6月30日 ヨーロッパ南天天文台】
オリオン座のベテルギウスは地球から約600光年の距離にある赤色超巨星である。現在知られている最大級の恒星のうちの一つで、半径は太陽の1400倍(ミリメートル波長で観測した場合)にも達する。
ベテルギウスの年齢はほんの約800万歳だが(太陽は46億歳)、すでに一生の終末期に差し掛かっており、天文学的な時間スケールで言えば間もなく超新星爆発を起こすと考えられている。ひとたび爆発が起これば、その姿は昼夜を問わず地球から見えるようになるだろう。
これまでにベテルギウスは可視光線や赤外線、紫外線など様々な波長で観測されてきた。ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡による観測では、星の表面から噴出したガスが太陽系とほぼ同サイズにまで広がっていることや、星の表面の巨大な泡構造も発見されている。これらの発見から、ガスと塵がどれほど激しく大量に星から放出されているかを調べることができる。
アイルランド・ダブリン高等研究所のE. O'Gormanさんたちは今回、ベテルギウスをアルマ望遠鏡で観測した。アルマが恒星の表面を観測したのは初めてのことで、非常に高解像度でとらえられている。
アルマによるサブミリ波の観測では、ベテルギウスの大気中の彩層のうち下層にある高温のガスがとらえられている。ガスによって局所的に温度が上昇しており、それを反映しているためベテルギウスの像は非対称な形になっているのだ。
〈参照〉
- ヨーロッパ南天天文台:Betelgeuse captured by ALMA
- Astronomy and Astrophysics:The inhomogeneous sub-millimeter atmosphere of Betelgeuse 論文
〈関連リンク〉
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