社会人にとって統計学を一から学んでいくには、良質な書籍本を用い、実践的なノウハウを効率よく獲得していくことが求められます。
「効率」という言葉を持ち出したのは、学生時代と違い、社会人は時間的制約がある中で、目の前の目的を達しなければならないことが一般的だからです。
知識の獲得に向け、思考葛藤に何時間も何日も時間を費やすことが許される学生時代とは違い、社会人になってからの学びは、できるだけ最短距離でざっくりとした知識を獲得し、ともすれば知識を獲得する以上に、その活用術を身に着けることにより重点が置かれていきます。
こうした時間的制約の中で、ビジネス現場で実用的な生きた力を学ぶためには、先に述べたように、良質な本やコンテンツを用いることで、効率よく学びを進めていかなければいけないわけです。
ここでは、「社会人になって効率よく統計学を学ぶ方法」について、私自身が上記の観点から学び進めた手法を、出会った統計学の良書を紹介しながら、その読み進め方と合わせ、まとめていきます。
近年のICT化の加速に伴い、ビッグデータ解析や機械学習に関する統計的手法が求められ困惑されている方から、単純に統計学を学んでみたい方まで、必ずや参考になるポイントがある内容になっているはずです。ぜひ最後まで、お付き合いください。
私が統計学を学ぼうと決意した経緯
私は現在、商品開発系研究職に従事しているのですが、統計学が私自身の仕事に直結した重要な知識かと聞かれると「決してそんなことはありません」と答えます。
では、なぜ統計学を学ぼうと考えるようになったかというと、本業ではなく趣味で始めた当ブログを運営していくうえで、統計学的な視点から日常を見つめてみたいと考えたことがきっかけになります。
統計学の知識がほぼ0な状態で書いた記事「年収を偏差値化した世界」では、コメントを見ていただければ分かるように、統計学知識の無さを多くの方から指摘されています。この経験がきっかけとなり、今年(2017年)の1月後半から統計学の勉強を始めました。
こうして統計学の勉強を始めて分かったことですが、統計学的視点を身に着けることで、本業にも大いに役立つ知識が統計学には多くあり、研究・開発・プレゼン等で恩恵を感じる場面に遭遇することが増えました。
そんなたった半年間の学びではありますが、私自身が読み進めた書籍の中から特に良書だったものを、どういう順番で読み進めていけば最短で学びを深めることができるかを突き詰めながら、以下で紹介していきたいと思います。
統計学を効率よく学ぶために読みたい良書
ここではただ単に良書をヅラヅラと紹介するのではなく、段階的な目標を設定し、読み進めていく順番を大切にしながら、書籍紹介をしています。
統計学知識に乏しい方こそ、ぜひここで紹介する書籍を手に取り、段階的に学び進めていくことをおすすめしたいと思います。
「統計学って楽しそう」と思える1冊
統計学を学ぼうと決意した方に、まず手に取ってほしい1冊こそ、西内先生著書の「統計学が最強の学問である」になります。
シリーズ累計45万部を超え、統計学書籍としては大ベストセラーとなった当書籍こそ、統計学を学び始めるうえで最善の1冊といえます。
なぜこの本が学び始めに適しているかというと、この本には統計学書籍にありがちな難しい数式や概念が出てこないという特徴があるからです。
この本がベストセラーになった理由について、著者の西内先生は
- この本は統計学の「入門の入門」について述べた
- この本は、統計学という学問領域に足を踏み入れるうえでの壮大なイントロダクションを1冊に詰め込んだ
- この本の目的はあくまで統計学と社会のギャップを埋めること
こうした内容が、世の統計学を学び始めようとした社会人に受け入れられた、と同シリーズ〔実践編〕で分析されています。
もともと数学や統計学をある程度学んだ経験がある方ならいざ知らず、そうした知識が乏しいと感じる方にとって、いきなり統計的手法が記された書籍を読み込むことは挫折への一歩であり、時間とお金の無駄につながります。
まずは数式がほぼなく、統計学の必要性や歴史、その学問的楽しさを感じることができるこの書籍を読むことで、学ぶ意欲と意義を明確にしたいところです。
統計学を学ぼうと考えている方は、この本を読むことで、その学びの先に何を求めているのかが明確化されることだと思います。
「データから真実を見抜く重要性」を痛感できる1冊
次に手に取って欲しい良書は、中室先生と津川先生の共同出版になる「原因と結果の経済学」です。
この本も難しい数式や統計学的手法は、ほぼ記述されていません。
書籍タイトルにあるように「原因」と「結果」を結び付ける重要性とそこでの統計学的役割を具体的事例をもとにまとめあげられています。
例えば
- 偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか
- テレビを見せると子供の学力は下がるのか
- 勉強ができる友人と付き合いうと学力は上がるのか
といった原因と結果を分析しています。これらに因果関係はあるのでしょうか。なんだか統計学を学ぼうと考えなくても面白そうなテーマ設定ですよね。
この書籍については、とても面白かったため、別記事でまとめています。
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読むだけで、統計学を仕事に生かしたくなる1冊で、たとえ統計学を学ぼうと考えていなくても、統計学を学びたくなる内容になっています。ぜひ手に取ってみてください。
「物語調」で統計学的手法を学んでいく1冊
ここからは、いよいよ数式が登場してくる書籍になっています。
上で紹介した2冊で統計学の楽しさと重要性を痛感したら、いよいよその手法を学んでいく段階に突入していきます。
統計的手法を学問的側面から学んでいくにあたり、それでもまだゴリゴリの数式には抵抗がある方におすすめの1冊です。
結城先生の「数学ガール」シリーズ。"乱数アルゴリズム編"です。「数学ガール」はシリーズもので、テーマごとに数冊で構成されており、ここで紹介している"乱数アルゴリズム編"はその第4弾で、統計学に視点を置いた回になっています。
高校生の"僕"を主人公に、中高生との対話式で統計学の知識を学び深めていくことができ、読者に「統計学って、萌え~」と感じてもらえることを目指した書籍になっています。
統計学への入門を終えた方が、いよいよ統計学という学問へ足を踏み入れていくその第一歩につながる内容になっています。
統計学を「マンガ」で読み解く1冊
ここから紹介する書籍は、いよいよ統計学的手法を学んでいくことを主たる目的とした内容になっています。
数式も多く登場し、その理解にはそれなりの時間を費やしていくことになります。
それでもできるだけ挫折をしないために紹介したい1冊が、 高橋先生の「マンガでわかる統計学」です。(この本は、図書館で借りて読んだため写真がありません。)
その名の通りマンガで統計学的手法を学び進めていくことができ、比較的読みやすい書籍となっています。 ただ書いてある内容は他の学問書籍と比べて決して引けを取らないレベルになっています。
私自身、後半の統計検定あたりから中々内容が頭に入ってこなくなりました。 そんな私のような方に、この書籍と合わせて利用してほしいツールをここで紹介します。
本を読みながら、息詰まったときに利用したいのが総務省統計局のサイト「なるほど統計学園」です。
こちらも会話形式での展開になっており、ここで紹介している「マンガでわかる統計学」で学び進めていくうえで、合わせて利用するのに相性がいいサイトになっています。書籍ではありませんが、ぜひ有効に活用してみてください。
「図解」を多く取り入れた1冊
マンガに抵抗がある方は、野崎先生著書の「統計・確率の意味がわかる」をおすすめします。
こちらの書籍は数学的立場から統計学を解説しており、統計学の土台となる確率の知識から学ぶことができる1冊になっています。
中を開くと必ず図や表、グラフがでかでかとマイページ挿入されており、視覚的にそれぞれの指標を理解していくことができます。
私はこの本を何度も読み直したのですが、おかげで統計的手法をより実践的に身に着けることができました。
統計学の「飛躍」を明確できる1冊
いよいよここまでくれば、かなり統計学的手法に対する感性が身についてきます。
私が一番直近で読み、感銘を受けた本が小島先生著書の「統計学入門」です。
統計学を学び進めていくと「あれ?なんかモヤモヤするぞ」と思い始める方は、少なくないのではないでしょうか。
人によっては「統計学って、なんかインチキくさい学問だな」とまで感じる方もいるかもしれません。 私がそうでした。
そんなモヤモヤ感を解きほぐしてくれるのが、この本かもしれません。私が言っているモヤモヤ感に覚えがある方はぜひ手に取って読み進めてみてください。
私自身すべて理解できたわけではありませんが、この本を読むことで何となく統計学という学問の全体像が見えてきました。
社会人にとって効率よい学び方法
以上、うえで紹介した6冊が私がおすすめしたい統計学の良書です。
私自身、他にも何冊か統計学の書籍を読み漁ったわけですが、ここで紹介した6冊は別格におもしろかったり、わかりやすかったりした書籍たちでした。
私自身はここで紹介した手順でこの6冊を読み進めたわけではなく、この半年間の勉強を振り返ってみて、もう一度勉強しなおすならこの手順が効率的だな、と振り返りながら本日の記事を作成しました。
社会人にとって初めに述べたように効率的な学習をすすめることこそ重要なポイントです。 統計学に限らずですが、効率的な学習には良書に触れ(インプットし)、良問を解く(アウトプットしていく)ことが効率的な学習方法の答えではないでしょうか。
ここでは私にとっての良書を紹介しましたが、そのあとに必要な「良問を解く」とは、自身のビジネス課題がそれにあたると想定しています。
今後の展望としては、私自身が仕事の場面において、統計学を使いこなし、問題を解決する経験を積み、いつか記事としてご披露できればと考えています。
ここで紹介した書籍から、統計学への学びにつながる一歩を踏み出す方がいてくれたのであればこれほど嬉しいことはありません。
また、おすすめの良書があればぜひ教えてください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。