2017年06月24日(土)

今回は金額も見せるよ

テーマ:音楽著作権

昨日は音楽著作権印税の分配日だった。


自分の頑張りが足りないため、今までで一番少ないであろう分配額。

 

それでも、年に4回のおめでたい日でもあるので、妻への土産にと、いつもよりちょっと良いアイスクリームを買って仕事から帰る。

 

3月、6月、9月、12月の25日が分配日だけど、今月は24日、25日が土日で金融機関休業日ということもあり、前倒し日程で23日に銀行口座へ送金されている。

 

僕らのように個人で信託している著作者は、年に4回、どこで何に使われたのか?という詳細が郵便で届くと同時に、銀行口座への入金が確認できる。


ここ数年では、利便性も急速に高くなりはじめ、郵便で送られる紙資料のほかに、インターネット経由でデジタルデータとしても詳細を閲覧することができるようになっている。
 

それが、個人の信託ではなく、音楽事務所、レコード会社とJASRACとの間に信託契約があり、そこの所属するアーティストの場合は、この日の分配は無く、今までにいろんな人から聞いて知り得た話だと、多くの会社では半年~年に1回、その会社が決めた既定の日に送金されるようだ。

また、どこで?誰が?何に?楽曲を利用したのか?というのも、所属事務所やレコード会社を経て印税をもらっている場合には、アーティスト個人までには詳細が示されない場合が多い。

この手続き上の影響が、アーティスト本人によって「どこで使われているのか分からない」なんていう声があがってしまう原因にもなっている。

これはJASRACのせいだとか、誰が良いとか悪いの問題でもなく、所属事務所、レコード会社の方針。それだけ。

 
会社の著作権事務担当の人に聞けば普通に教えてもらえると思う。
 

また、それぞれの契約にもよると思うけど、所属事務所、レコード会社を経て印税を得る場合の契約により、アーティストが手にすることができる割合が決められている。

 

契約の形は様々なので一概には言えないが、今まで実際に見聞きして知り得た中で、最も厳しいなと思えた割合状況は、会社85%アーティスト15%という契約の現実を知っている。(厳しいな、とは言ってみたものの、特におかしな契約だとも思えない)

 

例えばアーティストの自分たちの持ち曲を、自分たちのライブで演奏したところで、そもそも著作権料なんてものは「行って来い」の状態だけであり、しかも所属事務所やレコード会社が9割近くも持って行ってしまうのなら、アーティストのもとに分配される金額なんて所得税や振り込み手数料を引くと、限りなくゼロになってしまうことは、珍しいことでも何でもない。

 
この契約スタイルにより、アーティスト本人により「ちゃんと分配されていない」なんていう不満の声にもつながっているが、アーティスト本人がこういった契約を正しく認識していない可能性が高いので、決してJASRACのせいではないのだ。
 

ところで、なんで所属事務所やレコード会社がそんなにガッポリ持って行くのか?

 

こんなことも当たり前の話なんだけど、所属事務所、レコード会社というのは、アーティストの育成、プロモーションに莫大な時間と労力、そして費用をかけてるからの他ならない。

 

所属事務所もレコード会社も、ここで儲けさせてもらわないと、他にまともな財源がないと言っても良いぐらいなのだから。

 

そして、僕らのような個人信託者の場合は、それらと同じプロモーションやら創作にまつわる経費などが、全て個人の持ち出しによるもの。

 

個人著作者は個人経営零細企業、自営業者と同じであり、仕事上の著作権処理業務、利用許諾そして料金収受をJASRACにお願いして代行してもらっているだけに過ぎない。

 

今回はいくら貰ったのか?手数料をいくら払ったのか?という実際の金額を見せてしまおうと思う。

 

まずは、いつものように廊下に明細書を拡げてみよう。

いつか忘れたけど、以前のブログにも同様の写真は何度か載せたことがあるので覚えている人もいるとは思うが、今回のは書類の量が少ない(10ページ分しかなかった)ので、距離が「短い」のだ。

 

長坂憲道という作曲家・アコーディオン奏者のことを知っている人は、全国でもそんなに多いとは思わないが、これでもテレビやラジオの放送では、それなりに使われている方だとも思う。

実際の金額部分にクローズアップしてみよう。



僕らのような作曲家+実演家(いわゆるシンガーソングライター状態)の場合、自作曲を頻繁にライブパフォーマンスで演奏しているのだから、この明細上の「演奏」という部分に、ライブで演奏した際の著作権料が示されるべきところだけど、僕の今回の明細書ではゼロ円。
 

ライブで自分の曲を演奏しているのにゼロか?!?と反射的に騒ぎ立てようとする人、ちょっと待て!

これには大きく2つの原因がある。

1つ目の原因として今回の明細は、実際に使われた時期は、テレビラジオ放送のタイミングとしては昨年の秋~冬にかけての時期のもの。

ライブ演奏も、これと同じ時期の計算のものだとするなら、実は僕はその時期に全くライブをやってない。

だからゼロで当然なのだ。

 

2つ目の原因として、実は包括契約のライブハウス、バー・・・音楽営業のあるお店に、日々の演奏曲目の提出をお願いしているものの、それぞれのお店も日々の業務に追われ、なかなか曲目リストの収集~提出が実現していない。

実はこっちの要因の方が大きいのだ!

 

このせいで自作曲をライブハウスで演奏しているのに分配されないなんて声が上がったりもするんだけど、実はアーティスト、著作者から「楽曲利用報告」を提出できる仕組みがあることを知らない人が多い。

このブログを見たJASRAC信託のアーティスト諸君!これを機に著作者本人が提出できる「楽曲利用報告」という制度があることを知っておいてくれ。

そして以下のことを忘れるな。

 

SNSでポロッと愚痴る前に、先にJASRACに問い合わせろ!大人として、仕事として、そっちが先だぞ!

 

自分はアーティストだから!と言って著作者としての立場だけだと思うなよ。

 

自分自身が利用者の立場にもなり得ることを理解し、誰が作った作品であっても平等にリスペクトし、そして正しく音楽作品を利用することが信託契約の大前提だ。

それより何より、ライブで何度か自作曲を演奏したぐらいで、まともな額の印税を得られると思ったら大間違い。

 

甘いんだよ。

 

印税が無いとか少ないとか、文句を言ってる暇があったら、自分の楽曲が広く使われ、広く愛され、人く親しまれるような工夫をして、著作物利用開発の努力をしないとね。(僕も含めて)

包括ライブ店での自作曲演奏~その分配を得たところで、子どものお小遣いぐらいの額にしかならない。

だって、包括契約ってのは利用者にとってお得な「激安聴き放題システム」なんだから、そもそもリ利用者からはさほど多額には頂いてないのよね。

それを1年分の演奏曲数で割ってみたら簡単に分かるでしょう。

 

 


ちなみに、明細上のBGM収入もゼロ円。


僕のCDをBGMにしてるよ!と言ってくれるお店は、全国にいくつかあることを知っている。


けどね、単純な皆さん、ここも一文だけ読んで騒がないでよね。

 

まず、それらのお店が、JASRACのBGM包括契約利用店かどうかは今のところ知らない。

 

正規BGM利用店としての包括契約が結ばれてないのなら、著作者に分配のされようがないもんね。

 

この件は、昨今いろいろと物議をかもす分野だと思うので、僕自身は近々実証確認をしてみようと目論んでいるところ。

この項目にゼロじゃない数字が入るようにすることは、僕は不可能だとは思ってない。

BGM代をあちこちから巻き上げてるのにゼロはおかしいだろうと、くだらない文句をSNSで言ってる暇があるのなら、じゃあどうすればいいのか?JASRACに直接聞いてみればいいだけの話でしょうに。

それと、例えば実際に知り合いの店を実験に活用させてもらい、例えば「最初の1年は僕がJASRACの使用料を払うから正規のBGM契約をしてみない?」とお願いしてみればハッキリとわかるはず。

僕が利用料を払うのだから、できるだけ高い頻度、できれば100%僕のCDをかけてね!と頼んでおいて、楽曲利用状況としては「当店では長坂憲道のCDを店でヘヴィーローテーションしてるぜ!」とJASRACの営業マンにも報告してもらうとどうなるのか?

ちょっと試してみればいいだけですもんね。

結果も今から想像は付いているのですが、決して納得が行かないような状況にはならないと思う。

 

べつに疑う理由がないんだもん。

 

 


最後に手数料のことを。

 

JASRACへの手数料を支払っているのは、私たち著作者自身です。

 

今期の分配は、実は今までの中で、最も低い金額。

本当は曝したくない恥ずかしい金額でもあるが、これが実際。

今回は敢えて自分自身への戒めのために。


こんな額では生活もできないことは一目瞭然。

なので高校でも非常勤講師をやり、音楽教室に3つも勤めて、自分とこでも音楽教室を運営して、なんとか食いつないでるのよね。
 

こうして生活のために忙しくて、新曲を作る~レコーディング~世に出す暇もなかなか取れず、またライブを頻繁にすることもできない今日この頃。

 

でも、そんなことを言い訳にしてばかりいると、こんな分配額にしかならないんだぞ、という例です。


このブログの一番最初にも書いたけど、印税額が少ないのはJASRACのせいではなく、まずは自分自身のせい。

それと音楽利用者がタダもしくは激安を好む時代背景も原因。

デジタル配信?ストリーミング?そんなものは以前に紹介したけど、どれだけ聴いてもらっても二束三文。

利用者にとってタダ同然で楽しめるサービスは、著作者にとってもタダ同然なのだから。

 

 

 

ちなみに、こうして少ない金額の印税分配の場合には、当然ながら手数料も少ない、それがこの項の本題だった。

 

写真のピントがよろしくないので、今一度テキストとしても起こしてみよう。

今期の印税分配が¥41,517で、そこに消費税8%を加算してくれて¥44,834が僕の手取り額となる。

この順番で明細が書かれているところがミソであり、それが大事。

まずは利用された分は僕らに全て分配されているのが大前提。

その中から、10%の手数料を支払ったんだぞ、ということを明確にするスタイルの明細。

決して天引きされてしまったのではなく、僕らの意思で手数料を収めたんだということを理解しなければならない。

たった10%の金額・・・今回ならたった¥4,481の手数料で、全国の放送局、各音楽配信業者、YouTube、その他すべての楽曲利用者を相手に、利用許諾、利用料集金、楽曲利用状況の集計、公平な評価をやって分配してくれるだから、何の文句もつけようが無い。

自分では全国対象で、これだけの相手に、著作権処理業務なんて、到底できるわけがない。


そう、僕らのような個人著作者はJASRACには純粋に感謝している。
 

どう考えても手数料は激安なんだよ。


今期の僕のような状態なら、こんなヘッポコ著作者のために、ごく僅かな利用料収入のために激安手数料でJASRACスタッフをコキ使い、汗水たらして仕事をさせてしまったことが、本当に申し訳なく感じてしまう。

新規契約のための営業活動でも、毎日のようにデマを信じたアンチに怒鳴られたり詰られたりして追い帰されてるんだから。
 

巷で言われているように、必要以上にJASRACが持って行ってしまうなんていうことも一切ないぞ

その後、社会人として、そして日本国民として、正しく所得税を納める。

 

この所得税も引かれてしまったではなく、正しく納税しただけのこと。

このほか、この下で写真には写ってませんが、僕は「正会員」なので、信託者とは違い年会費を別途納入しますので、そのが減算された式も載っていますが、こんなものは僕が好きで払っているもの。

そのかわり、会費を納めた正会員として、その会費分に匹敵するような特典がありますし、それと同時に議決権などの責任と権利も伴うわけですが。



音楽をやってて、しかも自分らの作品がJASRACの信託であるなら、これぐらいのことを知らないのは恥ずかしいことだ。

正しく分かってないのなら、まずは自分で調べろ。

調べる前に浅い考えで愚痴愚痴と言うな。

 

自分の無知を棚に上げてるだけの恥さらしとなるだけだからね。

良い意味で、もっと自分たちの影響力を認識しておかなきゃね。

音楽著作権に何の関係の無い人も、正しく理解できないのなら黙っていてくれないか。

 

 

 

 

[mixi]JASRACは僕らの町役場

http://mixi.jp/view_community.pl?id=6287023
音楽著作権、JASRACについて、正しく知りたいという人、既に正しくご存知の皆様は、常識人であることの証、コンプライアンスの証として、是非ご参加ください。

 

そもそも僕がこのような話題を取り上げ始めたのは、僕が勤める高校で"DTM表現"という授業を担当していて、その授業の中で「わが教え子たちを犯罪者にしてしまわないために!」というテーマを単元とした授業で、音楽著作権にまつわる常識・非常識を教えるために、こういったネット上での事実誤認情報拡散を訂正するためのネタ集めからです。

知らないままでは本当に恥ずかしいこともありますし、知らないまま犯罪者になってしまっても困りますよね。

これってホント?っていう音楽著作権にまつわる都市伝説、逸話の真偽を確認したい人は、遠慮なくコメントをくださいね。

もちろん、僕自身も真偽を知らないことがありますので、そういう場合はその都度JASRACに問い合わせをしますので。

 

 

 

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