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加藤一二三九段 女子大の客員教授に「大変感激」現役引退会見で報告

現役引退で会見する加藤一二三九段=将棋会館
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 今月20日の対局で62年10カ月のプロ棋士人生を終えた、将棋の加藤一二三九段(77)が20日、東京・将棋会館で引退会見を実施。今月23日に、宮城県の仙台白百合女子大学の客員教授に任命されたことを明かした。

 黒のスーツ姿に、腰の下まで下がったネクタイという、普段通りので登場した加藤九段。万感の思いを込めた表情で「皆様、こんにちは。これから引退の記者会見を行います」と切り出し、現在の心境を「大変スッキリした気持ちです。これからも今まで通りやる気を失わないで、元気よくこれからの人生を歩んでいく気持ちですから」と説明した。

 その上で「23日に白百合女子大学から客員教授の任命を与えられまして、学長から任命書を受け取りました。大変感激しました」と突然の発表。「教育というのは大切ですから、私が得てきた知識とか人生観を、折々に大学を訪れて、女子学生たちに語っていきたいと意欲を燃やしております」と笑顔で話した。

 加藤九段は1954年、14歳7カ月の若狭で四段に昇段し、史上初の中学生棋士に。昨年のデビューから無敗の28連勝を続けている藤井聡太四段(14)に塗り替えられるまで、史上最年少記録だった。デビュー初年度から順位戦で4期連続の昇級を果たし、18歳でA級入りするなど、「神武以来の天才」と称された。

 68年に第7期十段戦で初タイトルを獲得し、82年には名人位も獲得。棋会の頂点に立った。03年には名人経験者として初めて、順位戦B級2組へ陥落したが、その後も将棋への情熱は衰えることがなく、昨年12月には自身の最年少プロ記録を塗り替えた藤井四段のデビュー戦の相手も務めた。

 相手が驚くほどの勢いで駒を打ち付ける、相手の背後に回って盤面を見る、ネクタイは常に腰より下までの長さ…といった、対局中の珍エピソードでも知られる加藤九段。とりわけ、食事へのこだわりは群を抜いており、基本的に対局時の昼食はうな重を貫いた。この日は朝食として、行きつけのカレー店でビーフカレー、チーズ盛り合わせ、コンソメスープを完食。相変わらずの健啖家ぶりを見せた。また、大の甘党としても知られており、「1日に板チョコを8枚食べる」と発言したこともあった。

 独特の言語感覚と奔放な発言で、最近はバラエティー番組などにも引っ張りだこ。「ひふみん」の愛称で、お茶の間の人気者となっている。一方で、敬虔なカトリック教徒でもあり、「パウロ」の洗礼名を持つ。86年にはローマ教皇から「聖シルベストロ教皇騎士団勲章」を授与された。 獲得タイトルは名人1、十段3、王位1、棋王2、王将1の通算8期(歴代9位)。棋戦優勝は23回で、通算成績は対局数2505(歴代最多)、1324勝(歴代3位)、1180敗(歴代最多)、1持将棋。

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