石川途上国の子に映画で夢を NPOが北陸支部設立 金大卒・金原さん代表
カンボジアで子ども向けの「移動映画館」に取り組むNPO法人「World Theater Project」(東京)が、金沢市に北陸支部を設立した。代表者は、学生時代に国際協力に携わった金沢大卒業生の会社員金原竜生(きんばらたつき)さん(29)=石川県かほく市。「映画で夢を届けたい」と意気込み、活動をPRするための初のイベントを六月に開く。(横井武昭) 団体は二〇一二年に設立。カンボジアの農村部に発電機や上映機材を運び込み、学校や広場、寺院で日本のアニメ映画を上映する。これまでに三万一千人以上の子どもに映画を届けた。 森育ちの少年が音楽家になる「ハルのふえ」や、サッカー選手が努力して試合に勝つ「劇場版ゆうとくんがいく」など、心を育む作品を選ぶ。権利元に上映許可を得て、現地のクメール語に吹き替えて上映する。 内戦後も生活環境が整わず、テレビも映画館もない村では、将来の夢を聞かれても答えられない子が多いという。そんな子どもたちが映画に目を輝かせ、笑ったり涙したりする。金原さんは「映画は食料やワクチンのように緊急に必要なものではない。でも、新しい世界を見せてくれ、人生を切り開く力を与えてくれるかもしれない」と語る。 金原さんは金沢大在学時、石川県ユネスコ協会青年部でカンボジアでの学校建設支援をしたり、東日本大震災の被災地に学生を派遣する事業に関わったりした。「カンボジアのために今できることをしよう」と、同法人に昨年参加し、大阪の関西支部設立にも尽力した。 金原さんが四月に立ち上げた北陸支部は東京、大阪に次ぐ三つ目の国内拠点。「石川県は人口に対する映画スクリーンの数が全国でも多く、かつて金沢の香林坊にシネマストリートもあった。映画が文化として溶け込んでいるこの街で活動を知ってほしい」と話す。 四日には支部の初めての取り組みとして、活動内容を紹介するトークイベントを開く。今後は、さまざまな映画に登場する料理を実際に作って楽しむイベントなどを考えている。 課題は資金繰りだ。個人や法人の会員の寄付が主な収入源だが、上映権を得たり、作品数を増やすには資金が必要となる。金原さんは言う。「活動へのサポーターを増やし、発展途上国の子どもに映画を届けて夢を描いてもらいたい」 PR情報 |
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