こんにちは。
あと2日に迫った東京都議選。最近は安倍首相の森友・加計疑惑だけではなく、その他議員や閣僚のあんな問題、こんな問題なども含めて与党への不満が募っており、その傲慢ぶりに対して一矢報いてやろう!みたいな感情で都議選への関心も非情に高まっているそうな。
これらの体たらくぶりに、さすがに都民も頭にきたのか「投票に行く」との回答が9割。
まぁ、それはそれで結構なことなんだけど、こういった権力への怒りに任せた形の投票率アップというのは正直なところ、感心できません。逆にこういった傾向というのは、この国の人たちが本当の意味で選挙の大切さを理解できているとは言えないと僕は考えているためです。この国の選挙への無関心さでもっともらしく言われているのが「誰に入れたらいいか分からないから」という理由だけど、実のところ根源的な理由はやはり選挙の重要さを分かっていないからであり、なんで僕らが選挙の重要性を理解できていないのだろうかっていうとそれはおそらく「政治を変えたという成功体験」がないからなのでしょう。
ここで僕がいう「政治を変えた」というのは嘗ての政権交代を成し遂げたことをいっているのではありません。実際に票を投じて、自分の意見や将来にビジョンに近い人が政治家となった結果、その意見がきちんと政治に反映されたんだ!という実感をもつ事ができたのかどうか?という経験に乏しいっていう話です。
メディアで注目を集めがちなのは衆議院や参議院などの国税選挙や、都道府県の首長を決める知事選など大規模なものがほとんどですが、都道府県や各区市町村の議員を決める「地方選挙」というものはある意味、国政選挙よりも大事なものです。地方選で選ばれる議員は僕らの「衣食住」の拠点になる「街」をどう作っていくべきかについてのデザインを担っているからです。中学で公民の授業を受けている人にはあらためていうまでもないことですけど。
今回の都議選も「与党」「野党」の代理戦争みたいな図式で語られているために、人々の興味が集まるのは「与党」「野党」対決の勝敗に偏っています。だけど、本来政治はどっちが勝利してどっちが負けたかの二元論ではなく、その選挙を経て僕らの生活がどう変わるか、どう変わったかを問うことこそが本質であるべき。それを身近に実感できるのは「国」という大きな共同体でなく、自分を含めた周囲の顔が見える「僕らのまち」という共同体の選挙だと思うのです。地域の住民が自分達の暮らすコミュニティのグランドデザインを考え、それに近い考えを持つ人材を議員として選び、意見や政策を吟味しながら街をつくっていく。その経験を経て人々は政治参加へのメソッドを学び、選挙民が政治家と連携して生活を変えたという実感、成功体験を積むことで「国」づくりへつなげていく。従ってこの都議選も「僕ら都民の生活をどうより良くしていくか」ということがまず第一なのです。もちろん「与党」に対してノーをつきつけるという意味も大事だけど。
英国の政治家ジェームズ・ブライス(1832~1922)はこういった考えから地方自治を「民主主義の学校」と呼びました。ただ、現在の日本では都市機能の集中化のせいで生活拠点と日中の活動拠点が二分化されているため、生活拠点であるまちは飯を食って寝るだけの拠点となっている。そのため街で活動する機会を殆どもてず、コミュニティーという概念が崩壊しかけている「町」という共同体では、地方選挙が国政選挙以上に興味を持てないものになっている人も多くいるのだろうと思えるのです。
上記のブログ記事で紹介した漫画の「クニミツの政」ではフィクションの自治体において実施される市長選が舞台でした。漫画はドラマティックなフィクションで、現実じゃない。僕たちはそう思い込んでいるけど本当にそうなのか?ひょっとしたら僕の町にも、読者であるあなたの街にも主人公の武藤国光のような一本気な人材が、街頭で熱意を込めた政策を語るパンフレットを僕らに手渡しているのかもしれない。僕らが無意識に捨てているパンフレットには、街の生活を魅力あるものに変化させる可能性のあるアイディアが詰まっているかもしれない。
「政治を熟成させていくためには地方自治など小さい規模から地道に、時間をかけて「市民」「国民」が街や国のあり方を考えていく以外ない」からこそ、僕はこの国で多くの人たちに選挙に関心をもってもらうため、まずなによりも各政党は「地方選挙」に重きを置いてもらいたい。そして僕らもそれに応えるところから、この国の民主主義はやり直さなきゃいけないんじゃないか?と考えています。
ってか、僕も選挙に出馬できたらいつかやってみたいな。周囲の無所属議員たち「日本野鳥の会」をもじった「日本野党の会」を結成して、双眼鏡片手に、呑気に居眠りぶっこいている議員を野鳥みたく数えて国民にその数を公開するという公約を掲げてやろう。
![]() 地方選挙実践マニュアル -改訂版ー [ 三浦博史 ]
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※この本を参考にして、選挙に当選できた!って人がいたら情報下さい。