【インサイト】都議選が揺さぶる円相場と安倍首相の経済政策
東京都議選は7月2日に投票・開票される。公明党の選挙協力を得た都民ファーストの攻勢を受け、逆風の吹く自民党が、全127議席のうち現有57議席をどの程度維持できるかが焦点だ。政治的リスクは安倍首相が2012年に政権に返り咲いて以来、最も高まっている。自民党が都政で大敗した際の国政への影響は未知数だが、安倍首相の政策遂行能力、改憲論議の進捗(しんちょく)に影響が出るようであれば、追加財政刺激策を伴った円高から円安への2段階の動きに注意したい。
• 1989年と2009年に自民党が都議選で大敗した際は、その直後の国政選挙で大幅に減らす結果となった。
• 安倍首相が衆議院の解散を決断しない限り、次の国政選挙は18年12月とまだ先だ。しかし、19年10月の消費税増税を控えるタイミングということもあり、都議選の結果によっては、国の財政政策や為替相場に影響を与える可能性がある。
• ここで注目したいのが、安倍首相が昨年8月に28兆円の経済政策パッケージを公表した際の内閣支持率の動向だ。景気刺激策の公表を境に、安保法制後低迷していた内閣支持率の報道各社の平均値が50%を上回ることになった。
• 仮に都議選で自民党が大敗し、内閣支持率の低下に歯止めがかからなければ、秋にも改憲論議を国会で深めたい中、追加財政政策、もしくは消費税率引き上げの3度目の延期などが安倍首相の選択肢に入る可能性がある。
• 従って、都議選で自民党が大敗する場合には、2段階の動きを考慮する必要があろう。直後の市場の反応は、政治リスクの高まりによる株安から円高への動き。その後、国政レベルでの追加財政政策が策定されれば、逆に株高から円安につながるとブルームバーグ・インテリジェンスでは想定している
• 一方、自民党が若干議席を減らす程度か、それよりよい結果となれば、6月に公表となった骨太方針からの大きな逸脱はないとみられ、マクロ経済への影響は限定的となる可能性が高い。
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JAPAN PREVIEW: Tokyo Election Could Sway Yen, Abe’s LeaderShip