特集
2017年6月30日
教育用ロボットといわれてどんなものを想像するだろう?
勉強している子供の横にいて、その子が問題をまちがえると即座に電撃でおしおきするロボットだろうか。それとも子供の脳をICチップにおきかえて賢くしてくれる外科手術ロボットだろうか。すぐにそういうディストピア的な発想におちいるのは筆者の人間性に問題があるのだろうか。 世の中にはそういうのもあるかもしれないが、今回ご紹介するのは違う。子供にロボットを教えるための、教材としてのロボットである。これが今、世の中的に熱いみたいなのだ。 前の記事:「ヘボコン、ふたたびアメリカへ〜ヘボコン・ベイエリア2017レポート」 人気記事:「チーズ across ハンバーグ」 > 個人サイト nomoonwalk 教育系ITの展示会なんでそれが熱いのかはすぐ後でわかる。最初にロボットの例をまずはいくつか紹介していこう。いずれも5月にあった教育ITソリューションEXPOという展示会で取材したものだ。まずはオーソドックスなのから。
段ボールがかわいい
これはソビーゴというロボットで、段ボール製。ペーパークラフトを組み立てるところから自分で作れるロボットだ。
紙なので工作してデザインを変えられる。人はせっかくロボットを手に入れてもすぐに人間っぽくしてしまうので不思議である
このロボットはタイヤで前進・後退・方向転換ができるほか、手を振ることもできる。どうやって操作するかというと、
キーボードとモニタがついているのだ
このキーボードを使って、文字でプログラムを入力するとロボットを動かせる。BASICという、子供でも分かるくらいシンプルなプログラム言語を使っている。
それからもうひとつ、 操作しなくても自分で線の上をなぞっている
こちらはMakeBlockという中国の会社のロボット。これもプログラミングでコントロールできるのだけど、こっちは
画面の真ん中に注目
黒い画面に英数字を打ち込むのではなく、画面上のブロック(「進む、とか「くりかえす」みたいな指示が書いてある)をマウスで組み立てると、プログラムが書ける。直観的だ。
どちらのロボットも改造すれば追加機能を付けることができる。 特にMakeBlockはブロックというだけあって、部品のバリエーションも豊富。棒とか板みたいな構造材から、各種センサーやモーターまで、70種類くらいあるらしい。上で紹介した線をなぞって進むロボットも、色を調べるセンサをつけてあるからそんなことができるのだ。 形だけでもこんなバリエーションが作れる
実は過去の記事でも、ライターの斎藤さんがこのキットを使って靴下を乾かすマシンを作っている。(メーカーの人に見せたら苦笑していた)
とりあえず2つのロボットを紹介したけど、共通しているのは「プログラムで動かせる」という点。実は2020年から義務教育の内容にプログラミングが入ることが決まっていて、ただいまプログラミングが学べる教材の注目度がうなぎのぼり、という状況であるらしい。 だから、いま、「教育用ロボットが熱い」のだ。 プログラムで何ができるのかもちろん、ロボットを前に進めたり方向転換させるのだけがプログラミングではない。会場にはいろんな作例が展示されていたのだけど、特に興味深かったのはこれだ。
アークテックという会社の、プログラミングできるロボット用ブロック
これもさっきのMakeBlockと似ていて、ブロックを組み立てて、いろんな機能のロボットを作ることができる(こっちのほうがプラスチック製で、いわゆる「ブロック」っぽい)。もちろんその動作はプログラミング可能。
たとえば、ペンギン(歩く!)とか
芋虫とか
まあここまではまあありそうな作例なんだけど、僕がぐっと来たのはこれである。
これなんだと思います?
なんと、ウォシュレット付きトイレなのである。
解説付きでどうぞ
人が来ると自動で便座がオープン、ボタンを押すと、人がちゃんと座っているかどうか(座面に重みがかかっているかどうか)を確認。座ってる場合だけ、水を出す(実際に水は出ないけど中が光る)。
プログラミング教育に、便器。唐突な教材で僕は笑ってしまったんだけど、よく考えてみるとこれ、日常の中にもちゃんとプログラムが潜んでいるのだよ、という示唆としてはバッチリなのである。
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