時価総額1位企業の持つ意味
日本の時価総額1位は長らくトヨタ自動車です。
一方、世界の時価総額1位は変動があります。
とはいえ、世界の時価総額1位の企業は今は米国企業がほとんどです。企業は入れ替わっても、企業の母国はほとんど常にアメリカです。果たして、この時価総額1位の座が米国企業でなくなる日がくるのでしょうか。
もし、その日が来るならば、現在の米国中心の世界から、多極化した世界へと変化を遂げていることでしょう。米国が数ある大国のうちの1つ、こういう地位になるということです。
私はそれは向こう40年近くないと思っています。しかし、もしかしたら中国が、もしかしたらインドが、米国に肩を並べるような存在になるのかもしれません。その時にもし中国やインドが株主の権利を守る法整備をしているならば、投資先としての意味はあるでしょう。
ただ、両国の歴史や国民性、政治の在り方をみていると、そういった投資環境の整備には短くない時間がかかると思われます。それでは、2000年代に入ってからの時価総額1位の企業を見てみます。
世界の時価総額1位の移り変わり
年 | 企業 | 国 |
2000年 |
ゼネラル・エレクトリック(GE)
|
アメリカ
|
2001年 | ||
2002年 | マイクロソフト(MSFT) | アメリカ |
2003年 |
ゼネラル・エレクトリック(GE)
|
アメリカ
|
2004年 | ||
2005年 | ||
2006年 | エクソン・モービル(XOM) | アメリカ |
2007年 | ペトロチャイナ | 中国 |
2008年 | エクソン・モービル(XOM) | アメリカ |
2009年 | ペトロチャイナ | 中国 |
2010年 |
エクソン・モービル(XOM)
|
アメリカ
|
2011年 | ||
2012年 |
アップル(APPL)
|
アメリカ
|
2013年 | ||
2014年 | ||
2015年 | ||
2016年 | ||
2017年 |
このようになっています。
まず、21世紀初頭にかけてはゼネラルエレクトリック(GE)が強みを持っていたということです。金融子会社を抱え、自社商品を金融子会社のローンで購入できるビジネスモデルを作り上げていました。
リーマンショック以前は、そのビジネスモデル自体は成功していました。そのため、金融子会社は大きな収益源でした。しかし、リーマンショックで多くの債権焦げ付きを引き起こし、その後GEは金融子会社を売却して本業に集中しています。
マイクロソフトはワイドモートなPC用のOSやワード&エクセルといったビジネスソフトが収益源です。スマホが世界を席巻する前は、マイクロソフトのOSであるWindowsが世界標準OSであり、圧倒的な強みがありました。
1990年代も時価総額1位になっています。今はその座をうかがう勢いはなく、安定的な成熟企業として配当金も出しています。
2006年からはエクソンモービル、ペトロチャイナが圧倒的でした。これは、原油高に伴う、石油企業の好業績を受けたものです。
その後、シェールオイルの採掘技術の向上が見られます。そのため、従前に比べて安価に良質の石油が取れるようになりました。2016年には1975年から実に40年以上かけて禁輸をしていた石油を、輸出解禁します。
こうなると、需給バランスが崩れるということになります。およそ100ドルまで上昇していたWTI原油価格は50ドル近辺まで急落し、その後の反発も弱いものになっています。
シェールオイルの採掘が鈍化しない限り、この流れは変わらないでしょう。そういう意味では、今後も石油は必要とされますが、WTI原油価格の急激な上昇というのは戦争などの特殊要因が加わらない限り、ほとんど無いと言えます。
つまり、エクソンモービル、ペトロチャイナなどの復権は考えにくいということです。
時価総額1位、アップルの時代はいつまで続くのか
※画像は時価総額1位・アップル(APPL)の投資家情報サイトから
2012年からはアップルが継続して時価総額1位の座を占めています。その独特の世界観から派生する魅力ある商品群は、他と一線を画しています。
例えば主力商品であるiphoneは、世界のスマホ利益の100%以上を占めると言われています。例えばアンドロイドOSの他社製品が赤字になれば、マイナスの%になります。そのため、圧倒的な利益率を誇るiphoneが100%を超えるようなシェアになるということです。
販売台数でみると、87.5%がアンドロイド搭載機であり、iphoneのシェアは12%にすぎません。たった12%の販売台数のiphoneが世界のスマホ販売の利益のほとんどを占めるということです。
アップル、利益ベースでスマホ業界制圧 100%以上のシェアを達成 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
これからも、圧倒的なブランド力と付加価値でその地位を守り続けるのか。それともイノベーションにより時価総額1位の座が入れ替わるのか。時価総額1位の企業から見える世界経済があります。
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好調な東証の時価総額です。実感は薄いものの、今は確実に景気拡大期にあります。これが続くわけではないという認識が必要だと私は思っています。