編集開始:2016-5-31 最初のWEB公開:2016-6-4 更新;2017-5-6
1.本稿の目的
2.マイクロ波可聴に関する研究論文などから
2A.レーダの近くにいると音が聞こえるという現象
2B:Freyの研究―1 1962年の研究
2C:Freyの研究―2 1973年の研究
2CA.Freyの1975年の研究から
2D:Freyの研究―3 1979年の研究
2E:1974年のフォスターの研究
2F.その他の研究から
2G. 1975年のJustesenの論文より
2H.渡辺住明らの1999年の論文から
2I.Watanabeらの2000年研究から
2J.オーストラリアのARPENSAの報告書2002年に見るマイクロ波可聴のメカニズム
2K.2009年アメリカ空軍研究所の報告にみるマイクロ波可聴
2L.2014年Yitzhakらの研究
2M.Stankiewiczの2013年論文「マイクロ波可聴」
3.実験室外の一般的な住環境下で、マイクロ波可聴は聞こえるか?
3A.マイクロ波可聴音ICNIRPガイドラインに見る閾値
3B.一般住環境下でのマイクロ波可聴は可能か?
4.アメリカ等の特許にみるマイクロ波可聴
4A.1989年8月22日に成立した米国特許4858612号(発明者:特許権者 フィリップ・L・ストックリン)
4B.二つのアメリカ空軍の特許
4C.アメリカ1976年遠隔脳波測定に関する特許
4D.東芝の特許2006年遠隔脳波測定
5.各種関連情報
5A.2001年頃にアメリカ空軍によるマイクロ波兵器の開発
5B.Medusa
6.中間の結論
7.ネットに見られる情報の誤りなど
7A.とあるブログから−1
8.参考情報
8A.マイクロ波可聴のことを誤った他の事例:携帯電話基地局からの電磁波でマイクロ波可聴が起こると主張して、裁判で敗訴した事例
8B.2009年アメリカWalbert電磁波被害裁判
9.2016年以降の主として小池誠の論文等
9A.電子情報通信学会マイクロ波研究会2016年4月21日の口演から
9B:電子情報通信学会の技術と社会・倫理研究会(SITE)2016年6月3日の口演から
9C.電子情報通信学会音声研究会2016年10月開催での口演から
9D.小池誠のブログ201702から「電波防護指針値以下でのマイクロ波可聴」の検証
9E.週刊プレイボーイ 2017年5月17日号に登場
巷に「レーダを用いたマイクロ波可聴を利用して、ヒトの脳に直接音声信号を伝送できる」、「レーダを用いたマイクロ波可聴を利用して、誰かが、意図的に、私の脳に直接的に、音声による指示を送ってくる、こうした電磁波攻撃にさらされている。統合失調症と言われる病気の原因は、レーダを用いたマイクロ波可聴である」という説がある。
この説が技術的に、科学的に、実現がほとんど不可能であることを、多くの論証をもって、まとめてみる。
注:マイクロ波可聴以外の、何か、BEMSJのまったく知らない技術で、隣人などに「電磁波などで音声信号などを送信」することがあるかもしれない。そうした領域のことは、本稿の範囲外とする。
参考:2016年10月21日 に「マイクロ波可聴」をキーワードに以下の検索エンジンで検索してみました。 結果は Yahooでは8700件中1位でヒット Googleでは8700件中1位でヒット Gooでは検索件数非表示で、1位でヒット Niftyでは1740件中1位 でヒット しました。 これは非常にうれしいことです。 |
尚、マイクロ波可聴に限定されないかもしれないが、電磁波による攻撃で被害を受けている・・・・で裁判になった事例(で、判決が下り、その内容などが判明した事例に限定して)に関しても、このページで紹介することにする。
「第二次世界大戦中に、戦場でレーダアンテナの近くで、マイクロ波の可聴を観察していましたが、秘密にされていました。
1962年に米国コーネル大学アラン・フレイ教授が、レーダ用送信機を使った実験結果を論文にして、マイクロ波聴覚効果を発表しています。」
という解説が、ネット上に散見される。
課題1:Freyの1962年の研究論文より早い時期に、「レーダの近くで音が聞こえる」ということを報告している公知の書物はあるか?
それとも軍事秘密として、公開されることはなかったのか?
Wikipediaでは、1962年以前にFrey以外による報告の論拠を示していない。
「マイクロ波聴覚効果
マイクロ波聴覚効果あるいはフレイ効果とはパルスマイクロ波あるいは変調マイクロ波によって、クリック音・変調音・単語が誘発される現象である。
これらの音は受信機なしに直接人間の頭の中に生成される。
この効果は最初に第二次世界太戦中にレーダトランスポンダの付近で作業する人によって報告された。
これらの誘発音は近くの他の人には聞こえない。
後に、マイクロ波聴覚効果は、短波長の電磁波で誘導されることが発見された。
冷戦時代に、アメリカ合衆国の神経科学者アランHフレイ(Allan
H. Frey)が、この現象を研究し、マイクロ波聴覚効果の性質に関する情報を最初に公開した[1962年論文]。」とある。
おなじくWikipediaには
「参考文献
1.R.C. Jones,S.S. Stevens,and M.H. Lurie. J. Acoustic. Soc. Am. 12,281,1940
2.H. Burr and A. Mauro. Yale J. Biol and Med 21:455,1949
3.H. von Gierke. Noise Control 2,37,1956
4.J. Zwislocki. J. Noise Control 4: 42,1958」がリストされている。
「H. Burr and A. Mauro. Yale J. Biol and Med 21:455,1949」で検索すると以下の論文がヒットした。
掲載誌:Yale J Biol Med. 1949 Jul; 21(6): 455–462.
タイトル:Electrostatic Fields of the Sciatic Nerve in the
Frog
研究者:H. S. Burr and Alexander Mauro
この論文は、カエルの体内の電界の研究で、マイクロ波可聴とは無関係であった。
「H. von Gierke. Noise Control. 2,37,1956」で検索すると、
1962年のFrey論文で引用している「耳栓の遮蔽効果」の研究結果であった。
「R.C. Jones,S.S. Stevens,and M.H. Lurie. J. Acoustic. Soc. Am. 12,281,1940」も1962年のFrey論文で引用している「耳に電極を入れての、音の研究」論文であった。
1962年のFrey論文には、研究を始めていきさつなどには触れていない。
したがって、Freyが何か公知の情報で、レーダ電波と可聴のことを知ったか・・・・に関しては、情報は得られない。
手元に1990年光文社発行、カッパサイエンス「電磁波が危ない」(吉永良正著)があり、そのP40に以下の記述がある。
『まずは、クリック音について。この異様な聴覚効果が初めて報告されたのは、40年以上もまえの1947年のこと。
マイクロ波のパルスを頭に照射すると、その人にはパルスと同調したクリック音が聞こえるというのである。
しかも、どこか外部から音が聞こえているのではなく、頭の芯のほうから聞こえてくるようだというのだから、これほど気味の悪い話はない。
その後の研究で、ふたつの事実が判明した。
ひとつは、こうした聴覚効果を生じさせるには、マイクロ波のパルスが相当高くなければならないという事実。もうひとつは、・・・・・(略)。』
この吉永の記述によれば、引用元・論拠は示されていないが、マイクロ波可聴は1947年というレーダが実用化された当初に、どこかに、公開された情報として開示されていたことがわかる。
以上のことから、課題1は
『結論1:「レーダの近くで音が聞こえる」ということは、軍事機密などとして秘匿された情報ではなく、レーダの実用化後の、戦後まもなく、1947年には、公知の書物などで公開された情報であった。』となる。
追記 2016−11−1
「レーダの前で音が聞こえる」ということは、以下の、1956年の論文(厳密には、IREという学術誌に、査読付の学術論文としてではなく、Airborne Instruments Laboratoryという研究所の広告として、研究所の活動を示す情報として、書かれたものである。したがって、様々な論文を収録している医学文献DBを検索しても、出てこない。BEMSJはこの広告のページの画像を入手した。)に書かれていることが判明した。
http://irohanihohetochirinuruo.web.fc2.com/microwave-signal.html にあった情報から一部を引用します。
**************************
原典は
Airborne Instruments Laboratory (1956)
AN
OBSERVATION ON THE DETECTION BY THE EAR OF MICROWAVE SIGNALS
Proc. IRE, Vol. 44, p. 2Aから
1947年ぐらいにさかのぼり、私たちAILのいく人かが大きなレーダのアンテナに関して仕事をしていた。
私たちは一般の人々が知らないような興味深い現象に注意を払っていた。
アンテナのホーン(ラッパ状になった部分)の近くに立っている時、レーダのレピティション値(反復値?)を聴くことができる、ということを発見した。
その音は直接的な可聴的入力なしで頭の中で生み出されていると、簡単なテストによりこれが明らかになった。
そのレーダは約1300メガサイクル、ピーク電力は約0.5メガワットで管理されていた。
このパルスの長さは2マイクロ秒で、パルス繰返周波数は600サイクル。
可聴的な反応が得られるのは、5〜6フィート(約150〜180cm)離れたところまで、そしてホーンのまっすぐ正面で。
私たちがこの話を他の研究所へ話した時、懐疑と指摘よりもむしろ私たちの精神的な健康状態を疑われるという反応だった。
このレーダのアンテナは高さ75フィート(約225m)の塔の一番上に取り付けられている。
そのため直接確かめにくるよう誘うことにより、いくつかの批評は簡単に静まった。
私たちは2つの医療研究所の医師も含め、10名またはそれ以上の人々を説得した。
犠牲をはらってもらい、耳の聞こえないひとりの人を除き全員がこの現象が聞こえた。
この人々は骨誘導による聴覚が助けられたが、私たちは耳の聞こえないことがどのように形成されているのか見出すことはできなかった。
***************
*電波の可聴:ヒトは電波を感知できるのだろうか。
300‐3000MHzの電波を使用するレーダアンテナのごく近くにいると、ジッジ、コツコツ、カリカリなどの音が聴こえることがある。
これがマイクロ波パルス電波の可聴と呼ばれている現象である。
はじめは、マイクロ波の脳神経系への直接刺激ではないかと想像されたが、パルス電波が脳内の組織を急激に熱刺激して膨張させる「熱弾性効果」による蝸牛殻への圧力波と説明される。
このマイクロ波可聴は幅が1μ秒パルスで、ピーク電力が60mW/cm2、平均電力では30μW/cm2のパルス電波があれば誰でも聴くことができる。
この可聴は良性のもので、危険なものとは考えられていない。
注:蝸牛殻(かぎゅうかく):耳の内耳の組織で、鼓膜の振動を耳小骨から末端耳神経に伝える液体で満たされた渦巻状のもの。
課題2:蝸牛殻の大きさはどの程度か?
http://contents.acoust.ias.sci.waseda.ac.jp/genron/genron-6_101116.pdf にあった情報から引用する。
伊藤毅著 「音響工学原論」コロナ社 1955年出版
*************** 引用 *************
鼓膜は外耳と内耳との境界に斜に張られた薄くて軽い膜で,縦の直径は0.85cm、横の直径は1.0cm 面積0.65cm2程度のものである。
図6・4
蝸牛殻の横断面は第6・4 図(a)に示すように骨性螺旋板
とREISSNER 膜とで前庭道、蝸牛道、鼓腔道の3部分に分れているが、これを引延して縦断したものは同図(b)に示すように蝸牛殻の最奥部では前庭道と鼓腔道とが連絡している。
したがって、楕円窓は内耳の入口であり、正円窓は内耳の出口となっている。
なお前庭道および鼓道には外淋巴と呼ばれる淋巴液が充満している。
蝸牛道は REISSNER 膜によって前庭道と接し、基底膜によって鼓腔道と接し、その末端は盲襄で終り、その始端は前庭旨襄で終っていて、中には内淋巴と呼ばれる淋巴液が充満している。
音波による振動は鐙骨を介して楕円窓から前庭道の外淋巴液に伝えられ、REISSNER膜を通して内淋巴液に伝わり,基底膜 を振動させる。
*************************
以上の情報から、蝸牛殻は鼓膜の大きさに近く、直径1cm程度のもので、リンパ液で満たされていることがわかる。
原著から、重要と思われる部分を抜粋して、紹介する。
このFreyの1962年論文が、この種の論議の元になっていると思われるので、少し詳しく、研究内容を紹介する。
関心のある方は、原著全文を読んでください。
タイトル:Human auditory system response to Modulated electromagnetic energy.
変調された電磁波エネルギーに対する人間聴覚システムの反応
研究者:ALLAN H Frey
掲載誌:J. Appl. Physiol. 17(4):689-692. 1962-
The intent of this paper is to bring a new phenomenon to the attention of
physiologists.
Using extremely low average power densities of electromagnetic energy, the
perception of sounds was induced in normal and deaf humans.
本論文の目的は、非常に低い平均電力密度の電磁波エネルギーを使って、普通の人だけでなく耳の聞こえない人にも、音の知覚が誘発されたという、新しい現象に生理学者の注意を向けさせることである。
The effect was induced several hundred feet from the antenna the instant the
transmitter was turned on, and is a function of carrier frequency and
modulation.
音の誘発効果は、発信機のスイッチが入れられるや否やアンテナから数百フィート(10m程度)離れていても誘発され、またそれは搬送波と変調によって変化した。
Attempts were made to match the sounds induced by electromagnetic energy and
acoustic energy.
電磁波エネルギーと音響エネルギーによって誘発される音が一致(調和)するかを調査した。
The closest match occurred when the acoustic amplifier was driven by the RF
transmitter's modulator.
最も良い一致(調和)は、音響増幅器が高周波発信機の変調機(注:搬送波を変調する装置)によって駆動されたときに生じた。<注:この文章の意味は?>
Peak power density is a critical factor and, with acoustic noise of
approximately 80db, a peak power density of approximately 275mW/cm2 is needed
to induce the perception at carrier frequencies of 425 mc and 1,310 mc
ピーク電力密度は最も重要な要素であり、約80デシベルの周囲音下では、425メガヘルツと1310メガヘルツの搬送波で知覚を誘発するためには、1平方センチあたりピーク電力密度として、約275マイクロワットが必要であった。
The average power density can be at least as low as 400 μw/cm2.
平均電力密度は少なくとも1平方センチあたり400マイクロワットまで低くすることができる。
The evidence for the various possible sites of electromagnetic energy sensor
are discussed and locations peripheral to the cochlea are ruled out.
電磁波エネルギーを感知できるさまざまな場所に関する確証を議論し、蝸牛殻の周辺部位は除外された。
Some difficulty was experienced when the subjects tried to match the RF sound
to ordinary audio.
They reported that it was not possible to satisfactorily match the RF sound to
a sine wave or white noise.
被験者は、高周波による音と、普通の音響が一致(照合)するかを実験したとき、いくつかの困難さを経験した。
被験者は、高周波を浴びたときに感ずる音と、正弦波あるいはホワイトノイズ(注:電子的に生み出された多くの周波数成分を含むランダムな雑音)とを満足のいく一致(照合)を見ることができなかったと報告した。
<注:この意味は、普通の音響として耳で感ずる音は正弦波であり、ランダムな雑音であるが、これらと高周波電磁波を浴びたときに感知した音とは異なる、ということであろう。>
At one time in our experimentation with deaf subjects, there seemed to be a
clear relationship between the ability to hear audio above 5Kc and the ability
to hear RF sounds. If a subject could hear above 5Kc, either by bone or air
conduction, then he could hear the RF sounds.
難聴者を被験者とした実験において、一時期、5キロヘルツ以上の音を聞く能力と高周波を浴びたときに音を感知できる能力との間に明らかな関連性があるように思えた。もし被験者が骨伝導あるいは空気伝導で5キロヘルツ以上を聞くことができるならば、被験者は高周波を浴びたときに音を感知することができた。
<注:この意味は、高周波電磁波によって脳で感知することができる音声は、5kHz以上の周波数帯域であるということになる。電話で話をする時の音声の周波数は300Hzから3000Hzとされるので、高周波によって一般の「話し声」は聞こえない、ということになる。>
In the experimentation reported in this section, the ordinary noise level was
70-90dB (measured with a General Radio Co. Model 1551-B sound-level meter). In
order to minimize the RF energy used in the experimentation, subjects wore
Flent anti-noise ear stoppers whenever measurements were made.
The Ordinary noise attenuation of the Flents is indicated in Fig. 3.
Although the RF sounds can be heard without the use of Flents, even above an
ambient noise level of 90dB, it appears that the ambient noise to some extent
"masked" the RF sound.
この節で報告した実験において、通常の騒音レベルは70−90テシベルであった(ジェネラル・ラジオ会社製、1551-B型、騒音計で測定)。
実験に使った高周波電磁波エネルギーを最小化するために、被験者は計測される時はいつもフレント社製騒音防止耳栓を着用した。
フレント社製騒音防止耳栓の通常の騒音防止効果を表3に示す<ここでは表3は割愛>。
高周波を浴びたときに感知する音は、フレント社製騒音防止耳栓なしでも、周囲の騒音が90デシベル以上の時でさえ聞こえたので、範囲の騒音は、高周波を浴びたときに感ずる音を、ある程度「マスク」していると思われる。
<注:騒音の少ない静かな環境下で実験を行えば、もっと低いレベルの高周波電磁界の曝露でも音を感知できるかもしれない、という意味。数年後のFreyの研究では、これは誤りであることが判明している。周囲の騒音が低くても、関係はない。>
Table 2 gives the threshold for perception of the RF sounds. It shows fairly
clearly that the critical factor in perception of RF sound is the peak power
density, rather than the average power density.
The field-strength-measuring instruments used in that experiment did not read
high enough to give an accurate reading. The energy from transmitter H was not
perceived, even when the peak power density was as high as 25 W/cm2.
表2<注;この項では割愛>に高周波曝露時に音を知覚する閾値を示す。
高周波曝露時に音を検知することにおける最も重要な要素は、平均電力密度というより、ピーク電力密度であることを明らかに示している。
実験で使われた電磁波強度測定装置は高い精度で正確に測定できる性能はなかった。
高周波発信機H(周波数は8900MHz)からの放射エネルギーがピーク電力密度1平方センチあたり25ワットのときでさえも音は知覚されなかった。
<注:25W/cm2の電力密度でも音を感知していないということは、高周波電磁界の周波数によって異なるということが、わかる。>
As previously noted, the thresholds were obtained in a high ambient noise
environment.
This is an unusual situation as compared to obtaining thresholds of regular
audio sound.
Our recent experimentation leads us to believe that, if the ambient noise level
were not so high, these threshold field strengths would be much lower.
前述のように、閾値は周囲の騒音が高い環境下で得られた。
これは通常可聴音の閾値を得る場合と比較して異例な状態である。
我々の最近の実験は、もし周囲騒音レベルがそれほど高くないならば、これらの閾値電磁界強度はより低いであろうということを信じさせることになる。
Given as a threshold for the RF sound, a peak power density of 275mW/cm2 is
determined in an ambient noise environment of 80dB. Earplugs attenuate the
ambient noise to 30dB.
If 1 mW/cm2 is set equal to 0 dB, then 275mW/cm2 is equal to 24dB.
Then, we can reduce the RF energy 50dB to -26dB as we reduce the noise level
energy from 50dB to 0dB.
We find that -26dB RF energy is an approximately 3 μW/cm2.
Thus in an anechoic room, RF sound could theoretically be induced by a peak
power density of 3μw/cm2 measured in free space.
高周波電磁界曝露時に感知する音の閾値として、1平方センチあたり275ミリワットのピーク電力密度は80デシベルという周囲雑音下で計られた。
騒音防止耳栓はこの周囲雑音を30デシベル減じた。
ここで、1平方センチあたり1マイクロワットを0デシベルと仮定するならば、1平方センチあたり275マイクロワットは24デシベルと等しくなる。
故に、我々は周囲の騒音レベルの大きさを50dBから0dBに減じたときは、高周波電磁波曝露における音の感知レベルは50デシベル減ずることができ、その感知レベルは-26デシベルとなる。
この-26デシベルという高周波曝露量は1平方センチあたり3マイクロワットに近似できることになる。
このように、音響無響室(注:周囲の騒音から完全に隔離された特殊な実験室)おいて実験を行えば、理論上、高周波電磁界曝露量として1平方センチあたり3マイクロワットと計測されるピーク電力密度によって音が感知されることになる。
<注:騒音の少ない静かな環境下で実験を行えば、3μW/cm2という低いレベルの高周波電磁界の曝露でも音を感知できるかもしれない、とFreyはこの論文では「推定」している。
Freyはこの1962年論文では、3μW/cm2で音が検知できることの実験は行っていない。
数年後のFreyの研究では、これは誤りであることが判明している。周囲の騒音が低くても、関係はない。>
図6 最も電磁界に感受性のある個所
On
the other hand, we have obtained other non-auditory effects and found that the
sensitive area for detecting RF sounds is a region over the temporal lobe of
the brain.
One can shield, with a 2-in.sq. piece of fly screen, a portion of the strippled
area shown in Fig. 6 and completely cut off the RF sound.
一方、我々は他に音を感知しない効果を得た。脳の側頭葉の上に位置する辺りに高周波電磁波を照射したときに、音を敏感に感じる個所があることも発見した。
図6に示された点画の部分を2インチ四方のハエ取り用の金網で覆うと、完全にこの高周波電磁界による音を遮断することができた。
<注:2インチ四方=5cm四方の金属を耳の近くに置くだけで、高周波電磁界照射による脳内での音の感知は防げる、ということである。>
フレイの1973年論文を紹介しているサイトがあった。
http://blogs.yahoo.co.jp/patentcom/9018436.html から一部引用
*************************
フレイ論文;サイエンス マイクロ波聴覚刺激による音の大きさ
米国コーネル大学で教授であったアラン・フレイ博士は、コーネル大学より、ペンシルバニア州ウィロー・グローブのランダムライン株式会社に移り、マイクロ波聴覚刺激の研究を継続した。
”Human Perception of Illumination with Pulsed
Ultrahigh-Frequency Electromagnetic Energy"という論文をサイエンス、1973、Vol 181、356~358ページに投稿している。
この論文では、300メガヘルツから3000メガヘルツの電波(UHF)をパルス波形で、人間の頭部に照射して、聴覚を刺激する実験を報告している。
まず、頭部に照射されるピーク電力密度を一定に維持しつつ、パルス幅をマイクロ秒、20マイクロ秒、30マイクロ秒と10マイクロ秒間隔で70マイクロ秒まで増加させた。
パルス幅が増加しても、頭に聞こえる音の大きさは変わらなかった。
頭に聞こえる音の大きさは、パルス幅に依存しないことが分かる。
ちなみに、ピーク電力密度は1平方センチメートル当たり370ミリワットと一定になっている。
次に、頭部に照射される平均電力密度を一定に維持しつつ、頭部に照射されるピーク電力密度を変化させた。
平均電力密度は1平方センチメートル当たり0.32ミリワットと一定にしている。
ピーク電力密度は、1平方センチメートル当たり90〜630ミリワットに変化させた。
頭部に聞こえる音の大きさは、ピーク電力密度に依存するという相関関係が得られた。
実験条件
電波暗室にて、1.245GHzの周波数の電波をパルス変調して、聴覚を刺激している。
ホーンアンテナから電波を照射している。
1秒間に50回、パルスを照射している。
1973年のサイエンスに掲載されたフレイ論文では、ピーク電力密度が大きくなると、頭の中に聞こえる音が大きくなることを示している。
***********************
フレイの1973年論文の原著から
原著は以下の論文である。
********************
掲載誌:Science. 1973 Jul
27;181(4097):356-8.
タイトル:Human perception
of illumination with pulsed ultrahigh-frequency electromagnetic energy
研究者:Frey AH, Messenger
R Jr.
Abstract 概要
A psychophysical study of the
perception of "sound" induced by illumination with pulse-modulated,
ultrahigh-frequency electromagnetic energy indicated that perception was
primarily dependent upon peak power and secondarily dependent upon pulse width.
The average power did not significantly affect perception.
Perceived characteristics of pitch and timbre appeared to be functions of
modulation.
パルス変調されたUHF周波数帯の電磁波の照射によって誘起される音の感知に関する心理物理学的研究で、感知がピーク電力に第1次的に依存し、パルス幅に2次的に依存することが判った。
平均電力は感知に有意な影響を与えなかった。
音の調子と音質は変調によるものとみられた。
*********************
そして、原著には以下のような実験結果が掲載されている。
上記の図からわかるように、ピーク電力が200mW/cm2(=2000W/m2)を超えるような非常に大電力の場合にマイクロ波可聴が聞こえることを示している。
従って、フレイが1962年の論文で「3μW/cm2でもマイクロ波可聴が聞こえるかもしれない」といった推論は、このフレイ自らの1973年研究で、否定している。
記:2017−3−31
以下の研究がある。
掲載誌:Journal of Comparative and Physiological Psychology
1975, Vol. 89, No. 2, 183-188
タイトル:Avoidance by Rats of Illumination with Low Power
Nonionizing Electromagnetic Energy
低電力の非電離電磁波エネルギーを照射した時のネズミの忌避行動
研究者:Allan H. Frey and Sondra R. Feld
概要:
Rats spent more time in the halves of shuttle boxes that were shielded from
illumination by 1.2 GHz microwave energy than in the unshielded.
ネズミは、シールドされていない居室よりも、1.2GHzマイクロ波でエネルギーの照射からシールドされた居室部分でより多くの時間を過ごす。
In Experiment 1, rats avoided the energy when it was presented as 30-micro sec
pulses with a pulse repetition rate of 100 pulses per second (pps).
The average power density was about 0.6mW/cm2, and the peak power density was
about 200mW/cm2.
実験1では、30μ秒のパルスを1秒間に100パルス照射した時、ネズミは忌避した。
この時の平均電力密度は約0.6mW/cm2で、ピーク電力密度は200mW/cm2であった。
In Experiment 2, the energy was presented both continuously and in
pulse-modulated form, i.e., 0.5msec exponentially decaying pulses at a rate of
1,000pps.
The average power density of the continuous energy was 2.4mW/cm2, and the
average power density of the pulse-modulated energy was 0.2mW/cm2.
The peak power density of the modulated energy was 2.1mW/cm2.
実験2では、連続波曝露と、パルス変調(1秒間に1000パルスの繰り返しで、0.5ミリ秒で指数関数的に減衰する)した場合で行った。
この時の電力密度は、連続曝露では平均電力密度2.4mW/cm2である。
パルス変調による曝露では平均の電力密度は0.2mW/cm2で、ピーク電力密度は2.1mW/cm2であった。
The rats avoided the pulsed energy, but not the continuous energy.
ネズミはパルス変調電磁波曝露に関しては忌避行動をとったが、連続波電磁波曝露に関しては忌避行動をとらなかった。
フレイの1979年論文を紹介しているサイトから 一部抜粋して引用
*******************
マイクロ波聴覚効果の生理機構
米国コーネル大学アラン・フレイ教授は、1979年にマイクロ波聴覚効果の生理機構に関する論文をサイエンスに発表しました。
換言すると、パルス変調されたマイクロ波が頭部に照射されたとき、音として認識される現象があるので、その生理機構を探求しています。
電磁波エネルギーが頭骨内で音響エネルギーに変換され、音響エネルギーが頭骨を伝搬するという仮説が提唱されています。
動的時間平均干渉ホログラフィーにより計測したところ、脳組織は予想された動的挙動を示さなかった。
*********************
原著は以下のもの
*******************
掲載誌:Science. 1979 Oct
12;206(4415):232-4.
タイトル:Holographic
assessment of a hypothesized microwave hearing mechanism
研究者:Frey AH, Coren E.
Abstract 概要
Exposure of the head to
pulse-modulated microwaves induces the perception of a sound. It has been
hypothesized that the electromagnetic energy is converted to acoustic energy in
the skull and then conducted through the bone.
Dynamic time-averaged interferometric holography showed that the predicted
motion of head tissue did not occur.
An alternative locus for this hearing effect is suggested.
パルス変調されたマイクロ波への曝露は音の感知を誘発する。
電磁波エネルギーが頭蓋骨で音響エネルギーに変換され、骨に伝導するという仮説がある。
ダイナミック時間平均干渉ホログラフィー (レーザ光線を利用する立体写真術)による研究は、頭部組織における予言された挙動を起こしていないことを示している。
この可聴に関する別の組織の関与が考えられる。
*******************
BEMSJはこの1979年の論文の原著全文はまだ読んでいません。
掲載誌:Science Vol.185 19 July 1974
タイトル:Microwave Hearing: Evidence for Thermo‐acoustic Auditory Stimulation by Pulsed Microwaves.
研究者:K. R. Foster et al;
この論文の中に、
***************
When a person’s head is illuminated with pulsed
micro-wave energy, he can persive “click” in synchrony with the individual microwave pulses.
The pulse must be moderately intense (typically 0.5 to 5.0 watt/cm2 at the
surface of the head).
However, they can be sufficiently brief (50 micro-second or less) that the
maximum increase in tissue temperature after pulse is very small (less than
10-5 degree C).
This is only unequivocal biological effect of microwave radiation that is not
accompanied by or produced by observable tissue heating.
仮訳すると
「ヒトの頭部にパルス性マイクロ波エネルギーが当たると個々のマイクロ波パルスに同調して「クリック音」が感知される。
パルスは中程度の強度、一般的には頭部表面で(0.5から5W/cm2)なければならない。
ただし、各パルスの後の組織温度の最大上昇が極めて小さく(10のマイナス5乗℃以下)になるように、十分短い時間(50μ秒以下)とする。
これは、観察可能な組織加熱を伴わない、または、これによりもたらされないマイクロ波照射の唯一の明確な生物学的作用である。」 とあります。
****************
クリック音が聞こえるとしてフレイの実験に再現成功したこのフォスターの論文には、明確に閾値として0.5−5W/cm2という値が明記されています。
換算すると、500W/m2から5,00W/m2という巨大なピーク電力をもつマイクロ波を照射した時にのみクリック音が聞こえる というものです。
この研究論文には、以下のような実験結果が図示されている。
パルスによって、音波が発生していることを確認している。
Guyの研究では、モールスコードは伝送できた。
Sharpらの研究では、1から10までの数字を音声で送り、この音声を聞くことができた
音声信号のゼロクロスのポイントでパルスをトリガーかけた。
通常の音声を耳で聞くptpの調子とは異なる音として数字を判定できた。
更に時間を長くして音声通信を行うことは10mW/cm2の当時の曝露規定を超えることになるので、実験はできなかった。
様々な研究論文の概要を、今後、補足していきます。
記:2016−6−13
以下の研究に、Guyの研究と、Sharpらの研究が紹介されている。
掲載誌:American Psychologist 1975 March
タイトル:Microwaves and Behavior
研究者:D. R. Justesen
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A. Guy, skilled telegrapher, arranged for his father, a retired railroad'
telegrapher, to operate a key, each closure and opening
of which resulted in radiation of a pulse of microwave energy.
By directing the radiations at his own head, complex messages via the
Continental Morse Code were readily received by Guy.
Guyの研究では、彼の父親が準備した退職した鉄道関係の電信技術者がON・Off した電信機キーに合わせてマイクロ波パルスを発信した。
彼の頭部に向けて照射させた時、Guyは複雑な大陸式モールス符号を受信することができた。
<BEMSJ注:カリ・カリ・カーリ・カリといったモールス符号であれば、頭部で受信できるかもしれない。>
Sharp and Grove found that appropriate modulation of microwave energy can
result in direct "wireless" and "receiverless"
communication of speech.
SharpとGroveは適切なマイクロ波エネルギーの変調は、無線で、受信機の不要な方式で、会話(音声)の通信ができることを見出した。
They recorded by voice on tape each of the single-syllable words for digits
between 1 and 10.
彼らは、1から10までの数字からなるそれぞれの単音節の言葉をテープに録音した。
The electrical sine-wave analogs of each word were then processed so that each
time a sine wave crossed zero reference in the negative direction, a brief
pulse of microwave energy was triggered.
各単語の電子化されたアナログ正弦波は、負の方向に正弦波がゼロクロスになるタイミングで、マイクロ波エネルギーをトリガーするように、信号処理された。
By radiating themselves with these "voice-modulated" microwaves,
Sharp and Grove were readily able to hear, identify, and distinguish among the
9 words.
音声で変調されたマイクロ波を照射することによって、SharpとGroveは9つの単語を聞いて、聞き分けることができた。
The sounds heard were not unlike those emitted by persons with artificial
larynxes.
聞き取れた音声は、人エ工咽頭によって人が発するものとは異なっていた。
Communication of more complex words and of sentences was not attempted because
the averaged densities of energy required to transmit longer messages would
approach the current 10 mW/cm2" limit of safe exposure.
さらに複雑な単語による通信や文章の通信は試みなかった。
なぜならば、より長い文章の通信するために必要な平均電力密度は、10mW/cm2の現行安全基準値にぎりぎりな状態になるからである。
<BEMSJ注:2016年現在のアメリカの一般公衆向けの曝露基準は1mW/cm2である。
このポイントは極めて重要である。会話などの音声を、マイクロ波可聴を利用して送信しようとするならば、曝露基準を超えるような極めて強い電波を発信しなければならない。>
The capability of communicating directly with a human being by
"receiverless radio" has obvious potentialities both within and
without the clinic.
But the hotly debated and unresolved question of how much microwave radiation a
human being can safely be exposed to will probably forestall先んずる applications
within the near future.
受信機の不要なヒトへの直接通信という機能は、臨床の有無を問わずに、明らかな可能性がある。
しかし、どれだけのマイクロ波照射が曝露しても人が安全であるかに関する熱い論議とまだ見えない疑問が、近い将来の応用に先んすることになるだろう。
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記;2016−6−14
以下の研究がある。
掲載誌:日本音響学会講演論文集 1999年 9月-10月
タイトル:パルス変調電磁波により生体組織に発生する熱応力の数値解析
研究者:渡辺住明ら
これまでに人体頭部を球で近似し、マイグロ波が球対象に加熱すると仮定したときの熱応力波形の検討がなされているが、この計算は頭部の球による単純化だけでなく、加熱分布についても単純化しており、実際に生体の頭部に発生する熱応力と大きく異なる可能性がある。
そこで筆者らはFDTD法を用いて解剖学的構造を考慮した計算モデルの電磁波の吸収特性と、それによって発生する熱応力波の数値解析を行った。
その結果から推定される聴覚効果のしきい値とパルス幅依存性が実験結果とよく一致したので報告する。
図3<注:ここでは割愛>に20μSのパルス波を照射したときの人体頭部モデルの蝸牛付近での平均応力の波形を示す。
このときのピ-タ応力は7x10−5Paで約11dBである。
8−10kHzの骨伝導による聴覚効果のしきい値は約60 dBとされているので、熱応力波か知覚されるには、約300mW/cm2の入射電力密度が必要である。
これは文献8(Freyの1973年研究)での実験値と一致する。
図4にパルス幅を変えたときの蝸牛付近でのビ-ク応力と実験<Tyazhelovらの1977年研究>から侍られた相対音圧のグラフを示す。
このブラフから数値計算と測定値のパルス幅依存性はよく一致することがわかる。
関心のある方は、原著全文を読んでください。
記:2016−11−24
掲載誌:IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND
TECHNIQUES, VOL. 48, NO.11, NOVEMBER 2000
タイトル:FDTD Analysis of Microwave Hearing Effect
研究者:Yoshiaki Watanabe et al:
マイクロ波可聴に関して、パルス性のマイクロ波を照射した時の脳内での可聴は発生に関して、FDTD法で解析を行った結果である。
詳細は英文の原著論文を読んでいただくことにして、ここでは、この結果、脳内に発生する音波は以下の様に、8KHzといった高い周波数の音が発生する、となっていることだけを紹介する。
すなわち、パルス性マイクロ波の照射で脳内に音波を発生させるが、その音は、特定の周波数の音である、ということである。
(a)
(b)
Fig.
14: Power spectra of the elastic waves at the cochlea. (a) Model 1. (b) Model 2
解析に用いた人体モデルによって多少異なるが、パルスによって脳内に発生する音声の周波数は、特定の周波数のものとなっている。
以下の情報にわかりやすい資料があった。
http://www.arpansa.gov.au/pubs/rps/aud_perc.pdf
Human auditory perception resulting from exposure to high power pulsed or
modulated microwave radiation — specification of
appropriate safety limits.
Australian Radiation Protection &
Nuclear Safety Agency
9 May 2002
Figure 1: Simulated temperature and
pressure waveforms associated with arbitrary localized SAR waveform
図1:特定の局所的なSAR波形に関連させた温度と発生する圧力波形の推定
赤線はマイクロ波の吸収による瞬間的なSARの変化、黒線は温度の変化、青の点線は発生する圧力波を示す。
この波形でわかるように、マイクロ波可聴効果は、マイクロ波の照射を受けて、頭部に局所的な熱吸収が急激に発生し、温度が急に上昇する。
温度は急上昇後には伝導によって緩やかに下がっていく。
この温度が急激に上昇した時に、体内の組織が急膨張して、圧力波が発生する。
この圧力波を聴覚で音として感じるのである。
記;2016−11−19
マイクロ波可聴に関しては、以下の記述がある。
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筆者:Ronald L. Seaman
タイトル:Review of Literature on High Power Microwave Pulse
Biological Effects
掲載誌:AFRL-RH-BR-TR-2009-0068 ,Air Force Research
Laboratory; August 2009
3.1 Microwave Hearing
Microwave hearing is the auditory sensation resulting from microwave energy
impinging on the head (Chou et al., 1982; Elder & Chou, 2003).
Investigation of microwave hearing began in the late 1950’s and 1960's in the field (e.g., Frey, 1961, 1962, 1967).
More recent studies address exposure to RF pulses experienced in magnetic
resonance imaging (MRI).
An experimental study has been done on auditory perception with exposure by RF
coils used in MRI (Röschmann, 1991).
Theoretical studies of induced acoustic waves with MRI exposure have also been
reported (Wang & Lin, 2005; Lin & Wang, 2006).
Microwave hearing is an undisputed effect of pulse modulated microwaves (Guy et
al., 1975).
The incident energy must be pulse modulated and pulse durations of 3-5000 µs
and 0.5700 µs have been studied in human and animal experiments, respectively
(Elder & Chou, 2003).
Sensation occurs readily with exposure to pulsed microwaves with very small
time-averaged power and energy densities.
A single pulse has been reported being sensed as an auditory click.
With temperature increase caused by each pulse estimated to be only 10-6-10-5℃ at perception threshold (Guy et al., 1975; Chou et al., 1982; Lin,
1978, 1990; Elder & Chou, 2003), the effect is clearly not due to gross
heating of tissue.
Auditory sensations in humans and responses in the auditory systems of animals
in microwave hearing are directly related to characteristics of individual
pulses, and to pulse repetition frequency when it is at auditory
frequencies.
Energy density, the product of incident power density and pulse duration (also
called energy fluence), seems to be a defining pulse characteristic in many of
the studies.
Threshold energy density for human perception is reported as 2.3-40 µJ/cm², depending on the study (Elder & Chou, 2003).
Thresholds for detection by the auditory systems in a variety of animal
preparations are 1.5-1240 µJ/cm² fluence and 0.6180
mJ/kg SA in the head, again depending on the study (Seaman & Lebovitz,
1989; Elder & Chou, 2003).
Amplitude of the pressure transient at microwave hearing threshold has been
estimated in a finite-difference time-domain (FDTD) model of the human head to
be 0.18 Pa for a 20-µs pulse (Watanabe et al., 2000).
According to Lin [1978, 1989, 1990], the peak acoustic pressure is a function
of pulse duration, head size, and, of course, incident power density.
For a 918-MHz, 10-µs pulse with 2.183 W/cm² peak power
density incident on a spherical head model with a radius of 7 cm, the
calculated peak pressure is 0.682 Pa.
The relationship of peak pressure with pulse duration is complex, but, for
durations of 0.1 µs and shorter, an asymptotic peak value of approximately
0.037 Pa is reached.
This is a factor of 18.4 times between pressures for 10-µs pulses and 0.1 µs
and shorter pulses.
The ratio of thresholds for perception is thus expected to be roughly 20.
***********************
一読してわかることであるが、マイクロ波可聴に関して、それまでの研究結果をまとめてあるだけである。
アメリカ空軍がマイクロ波可聴を利用した兵器の開発した・・・・といったことは一切書かれていない。
記;2016−11−27
以下の研究がある。
掲載誌:Medical and Applied Physics (Thursday, February 13,
2014)
タイトル:Numerical Analysis of the Microwave Auditory
Effect
研究者:N. M. Yitzhak, R. Ruppin, R. Hareuveny
概要:
A typical example of the pressure wave which develops in the cochlea is shown
in figure 1.
コヒーラに誘導される音圧波の代表的な例を図1に示す。
This was calculated for a plane wave pulse of frequency 2450 MHz incident from
the back side, with horizontal polarization, pulse width of 70μs and a power density of 1mW/cm2.
The main acoustic frequency is approximately 8 kHz as in a previous analysis.
この例は、2450MHzのパルス電磁界(平面波、頭の後部から照射、水平偏波、パルス幅は70マイクロ秒、電力密度は1mW/cm2)の場合の計算結果である。
過去の解析と同様で、主な音声周波数は約8kHzである。
記:2017−3−31
以下の研究がある。
掲載誌:Acta Technica Jaurinensis Vol. 6. No.1. 2013
タイトル:Microwave-Induced Hearing – its Mechanism and Consequences マイクロ波誘導による可聴:その機序と重要性
研究者:W. Stankiewicz, A. Krawczyk, J. Kieliszek
概要:
This paper describes well-documented effect of electromagnetic field at high
frequency, i.e. the auditory effect.
The history of research in his area is described and some evidences are quoted.
本論では、可聴効果として高周波電磁界のよく知られている効果を記述する。
この領域における研究の歴史を述べ、いくつかの確証を引用する。
The contemporary interpretation of the microwave-induced hearing is discussed
as well as new directions of research are drafted.
新たな研究動向にも触れながら、マイクロ波誘導可聴の現代的な解釈を述べる。
この論文の中から、一部を紹介する。
・マイクロ波可聴効果は1947年の報告から始まる。
・実際の研究は1961年のFreyによるものが始まり。
・The last decade brought also the research connected
with the mobile phone influence on hearing [19].
Statistical analyses of the evoked OAE levels corroborate that mobile phones
use does not cause any alter-effect on hearing in neither a positive nor a
negative manner.
この10年来の研究として、引用19の論文があり、携帯電話の電磁波による可聴に関する研究もある。
誘起したOAEレベルの統計的な解析は、携帯電話の使用が、良い意味でも悪い意味でもどちらでも可聴への影響は起こらないことを確認している。
注:[19]の研究は
研究者Ozturan, O. , et al.:
タイトル:Effects of mobile telephone’s electromagnetic field on hearing,
掲載誌:ACTA-LARYNGOLOGICA (April 2002)
・The majority of researchers (see Arai and others,
2003) who attempt at determination of the EMF influence on hearing examines
Oto-Acoustic Emission and evoked potentials in brain stem as well as their
changes due to EMF emitted by mobile phones.
The majority of researchers find these changes are of inhomogeneous character
and do not link them with the possible EMF hazard.
電磁波の可聴への影響を研究した荒井らの2003年などの多くの研究者は、携帯電話から放射される電磁波で変化するかなどを、耳音響放射(OAE)と脳幹に誘起する電位で調べた。
多くの研究者は、変化は不均質であり、電磁波の障害に結びついていないことを見出した。
注:耳音響放射検査
正常の内耳からは絶えず小さな音が放射されており、これは耳音響放射(OAE: Oto Acoustic
Emissions)と呼ばれています。
聴覚に何らかの異常があるとOAEの出力レベルは減少、または検出されなくなります。
注:耳音響放射
通常、感覚器官とは外界の刺激を受動的に受け取り中枢神経へと伝達するものであるが、蝸牛増幅器の概念はこの見方を覆すものであった。
実際、1978年にイギリスのケンプによって蝸牛が音を受動的に知覚するだけでなく、自ら小さな音をたてていることが明らかとなっていた。
これは何の刺激がないときにも、外部からの刺激への反応としても現れ、耳音響放射 (oto-acoustic
emission, OAE) と呼ばれている。
適切な周波数の違いを持つ2種の純音を重ね合わせた刺激に対しては、それらとは別の周波数に非線形の効果による反応が表れることも明らかになっており、これは特に新生児に対する聴覚検査として臨床上も有用である。
この耳音響放射も蝸牛増幅器の活動によるものであると考えられている。
ICNIRPガイドライン1998年に以下の記述がある。
*************************
パルス及び振幅変調された波形に関する問題
組織における平均エネルギー蓄積率が同じ場合、パルス変調マイクロ波電磁界は連続波に比べて一般的に生物学的応答を生じるのにより効果的であり、とくに閾値のはっきりした影響においてそうである(ICNIRP 1996)。
良く知られている例は、いわゆる“マイクロ波ヒアリング”効果である(Frey 1961;Frey and
Messenger 1973; Lin 1978)。
正常な聴力の人は、約200MHzから6.5GHzの間の周波数のパルス変調電磁界を感知することができる。
この聴覚感覚は電磁界の変調特性によって、ブーブー、ピチピチあるいはポンポンという音としていろいろに記述されている。
マイクロ波ヒアリング効果は、脳の聴覚皮質における熱弾性的相互作用に起因するものとされており、パルス幅30μs未満のパルスで変調された2.45GHzの場合では、感知閾値は約100−400mJ/m2(4から16mJ/kgのSARに相当する)である。
マイクロ波聴覚効果にくり返し又は長時間曝露することはストレスになり、有害である可能性もある。
**********************
マイクロ波ヒアリング効果(可聴音)は閾値があり、100‐400mJ/m2と。
これはこの閾値を超えないと可聴音は聞こえない、という意味である。
Freyの研究では大きなパルス電力の時に可聴音が聞こえることを実験で確認したことを受けて、周囲が静かであれば、微弱なパルス電力でも、可聴音が聞こえるかもしれないと、推定を行ったが、その後の研究の結果、この推定は正しくはなく、閾値があることが、確認されている、と言える。
ジュールはW×S(秒)であるので
100mJ/m2=100mW・S/m2となる。
パルス幅を単純計算の為に10μSとすれば、
100mJ/m2=(100×10の5乗)mW×(10×10のマイナス6乗)S /m2
=(10×1000)W×(10μ秒)/m2 となる。
すなわち、10μ秒の短いパルスの時間に、瞬間的に10kW/m2(1W/cm2)に及ぶ大きな電力を照射したときに、マイクロ可聴音が聞こえる という意味である。
ここまで計算して、ふと気が付きました。
10μ秒の短いパルスでマイクロ波可聴が聞こえる照射電力(曝露電力)は瞬間値で10kW/m2ということは、パルスのDuty比を1000:1とした場合、平均曝露電力は10W/m2 = 1mW/cm2で、一般公衆の曝露基準値にぎりぎりということです。
曝露を受けて、マイクロ波可聴音が聞こえる人の場所では曝露基準ぎりぎりということは、聞こえる人よりマイクロ波の発信アンテナに少しでも近づけば、その地点での電波強度は、曝露基準値を超える、ということです。
パルス幅を10μ秒から20μ秒と2倍に広げれば、平均曝露電力は曝露基準の半分になり、合格となります。
こうしたことを勘案すると、マイクロ波可聴が可能な電波の発信は、一般の生活環許下ではほぼ不可能と言えるかもしれません。
3Aの述べたように、マイクロ波可聴の閾値を100mJ/m2とすると、
ジュールはW×S(秒)であるので
100mJ/m2=100mW・S/m2となる。
パルス幅を単純計算の為に10μSとすれば、
100mJ/m2=(100×10の5乗)mW×(10×10のマイナス6乗)S /m2
=(10×1000)W×(10μ秒)/m2 となる。
すなわち、10μ秒の短いパルスの時間に、瞬間的に10kW/m2に及ぶ大きな電力を照射したときに、マイクロ可聴音が聞こえる という意味である。
「統合失調症とマイクロ波可聴とは関連している」とする説を主張しているサイトを見ると、Freyのマイクロ波可聴の報告の他に様々な研究論文を読んでいるようです。そして少なくとも「マイクロ波可聴には閾値がある」ことを認めているようです。
そこで、マイクロ波可聴で閾値として知られている電力密度を一般住環境下で発生させる為に、どの程度の発信電力を持つ無線機(レーダ)装置が必要かを、距離を変えて考えてみる。
曝露電磁界の電力密度=発信源の等価発信電力(発信電力×指向方向の利得)/(4π×距離の2乗)
であるので
必要な発信源の等価発信電力(発信電力×指向方向の利得)=可聴音が聞こえる閾値の電力密度×(4π×距離の2乗) となる。
すなわち
必要な発信源の等価発信電力(発信電力×指向方向の利得)=10,000W×12×距離の2乗
距離1mでは、発信元の等価発信電力は、10,000×12Wとなり、利得1,000のアンテナを用いれば120Wのピーク電力の発信機があればよい。
この程度であれば、電波暗室などの実験設備内で、マイクロ波可聴の確認実験は可能と思われる。
もし、距離が1kmとなれば発信源の等価発信電力は10,000×12×1,000,000Wとなる。
利得1000というアンテナを用いても必要なピーク(尖頭)電力は120,000,000W=120MWとなる。
120MWのピーク電力となれば、BEMSJは詳細に関しては専門外であるが、軍用レーダのような超大掛かりな装置が必要となるであろう。
仮にピーク電力120MWとし、Duty比1000:1とすれば、平均電力は120kWとなる。
無線電力に転換する能率を、実際は不可能であるが、100%と仮定しても、120kWの電力消費が必要となる。
一般家庭の受電電力は、電圧100Vで、最大50Aと仮定した場合は、受電電力は5kWとなる。
単純に24所帯分の電力消費を伴う。
従って
1km先方にいる人にマイクロ波可聴による障害を発生させることで、その人を統合失調症に陥れるということは、果たして、現実の生活環境の中で、可能か?
また、かりにそうした大電力の無線装置を設置した場合は、詳しくは計算などを行っていないが、無線装置から100m以内とか300m以内は電波防護指針に適合しない領域となるであろう。
100m以内に住居が皆無な場所で、その1km先に住む人にマイクロ波可聴を起こし、統合失調症にさせるということは現実的に困難なのではないだろうか?
フレイのマイクロ波可聴の研究は、私も論文を読んでそれなりに理解しているが、生活環境中にマイクロ波可聴を起こさせるような無線設備を人知れず設置することは不可能ではないだろうか?
もし、こうした巨大な無線発信機があり、特定の方向に向けて巨大なレーダ電波を発信させ、1km遠方にある特定の人の脳にマイクロ波可聴音を感じさせるとすれば、無線機のある方向に向かって、隣家の人も、隣家の隣家の人も、すべからくマイクロ波可聴を感知していなければならない。
レーダは無線装置であり、総務省が「電波防護指針」によって管理されている。
自衛隊のレーダ装置などは「総務省の電波防護指針」の管理外にあるが、自衛隊では「総務省の電波防護指針に準拠した形で、自衛隊が自らの手で、無線装置を管理している」とされるので、自衛隊の無線装置であるから、巨大な電波を発信できるとはいいがたい。
以下はGoogleの特許検索から
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公告番号:US4858612 A
公開タイプ:認定
出願番号:US 06/562,742
公開日:1989年8月22日
出願日:1983年12月19日
優先日:1983年12月19日
手数料のステータス: 失効 <1993年に4年分を支払ったが、その後は支払いがなく、1997年に権利は失効>
発明者:Philip L. Stocklin
出願人:Stocklin Philip L
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この特許は1983年に発明・出願、1989年に権利獲得、1997年に特許料の支払いがなく、失効している。
この特許が真に有効なものであれば、特許手数料を払いつづけ、権利の満了まで持つはずである。
この点からも、この特許の有効性が疑われる。
発明から10年程度経過しても、実用にならなかったので、権利を放棄したのかもしれない。
特許の概要:
Sound
is induced in the head of a person by radiating the head with microwaves in the
range of 100 megahertz to 10,000 megahertz that are modulated with a particular
waveform.
特別な波形で変調された100MHzから10,000MHzの帯域のマイクロ波を頭部に照射された人の頭に音声が誘起される。
The waveform consists of frequency modulated bursts.
波形は周波数変調されたバーストで構成される。
Each burst is made up of 10 to 20 uniformly spaced pulses grouped tightly
together.
それぞれのバーストは、きっちりと一緒に束ねられた10から20の等間隔に並べられたパルスによって構成される。
The burst width is between 500 nanoseconds and 100 microseconds.
バーストの幅は100マイクロ秒から500マイクロ秒の間にある。
The pulse width is in the range of 10 nanoseconds to 1 microsecond.
パルスの幅は10ナノ秒から1マイクロ秒の間にある。
The bursts are frequency modulated by the audio input to create the sensation
of hearing in the person whose head is irradiated.
バーストは照射を受けた人の頭部で可聴が発生するために、音声入力で周波数変調されている。
この特許は補聴器という名称です。
ストックリン特許では、第二次世界大戦中にレーダ施設において、レーダが発射したパルスが頭部に当たったときに音として聞こえる現象が観測されたエピソードを紹介しています。
この音は、音声信号として認識できるものではありませんでした。
そこで、ストックリンはこの現象を応用して、新型補聴器を開発したつもりだったのでしょう。
特許の実務的な説明:
この特許では人が発声した音声を、20程度の周波数帯に分割します。
説明を簡略化するために、ヒトが「あいう」(「100Hzのあ」「400Hz
のい」「1kHzのう」)と発声したとします。
「100Hz のあ」のために、マイクロ波100MHzを搬送波として、パルス変調します。
「400Hz のい」のために、マイクロ波110MHzを搬送波として、パルス変調します。
「1kHzのう」のために、マイクロ波120MHzを搬送波として、パルス変調します。
100MHz、110MHz、120MHzのマイクロ波を相手の頭部に向けて発信します。
受信する人は、100MHz、110MHz、120MHzのパルス変調されたマイクロ波を頭部に受けて、この特許では、「あいう」という音声を脳で感知(可聴)する、というのです。
はい、ここでこの特許の不完全さに気が付いたと思います。
マイクロ波可聴では、100MHzのマイクロ波を受けても、脳で「カリカリ」という音が聞こえ、110MHzのマイクロ波を受けても同じ「カリカリ」という音が、120MHzのマイクロ波を受けても同じ「カリカリ」という音しか聞こえません。
「あいう」という音声信号を送ろうとしても、受信できたのは「カリカリ カリカリ カリカリ」です。
音は聞こえても、目的とした音声信号の伝送は全くできていません。
脳で「あいう」と音声信号を感知するためには、「100MHzで到来したマイクロ波は100Hzのあ」に変換する機能がなければなりません。
「120MHzで到来したマイクロ波は1kHzのう」に変換する機能がなければなりません。
脳にはこうした受信周波数の弁別と復調(もとの音声に変換)の機能はありません。
したがって、この特許は、まったく実現性のない、役に立たない屑特許になります。
これでは、この特許が権利化されても、だれも特許を買ったり、許諾を得て新型補聴器の開発・販売したりしません。
発明者ですら、この新型補聴器の完成はできないでしょう。
発明したからには意地で特許の権利は確定させ、4年分の手数料は支払ったとしても、あとは「捨てる」しかなかったのでしょう。
2002年10月22日に成立した米国特許6470214号(米国空軍の研究結果の特許)
2003年7月1日に成立した米国特許6587729号(米国空軍の研究結果の特許)
1996年12月13日に米国特許出願がされ、この1つの特許出願が、上記2件の米国特許になりました。
2件の米国特許の内容(明細書、図面)は同一であり、特許クレームが異なります。
米国特許6470214号の特許クレームは、通信方法に関します。
一方、米国特許6587729号の特許クレームは、送信機に関します。
以下はGoogleの特許検索から
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公告番号; US6470214 B1
公開タイプ: 認定
出願番号; US 08/766,687
公開日; 2002年10月22日
出願日; 1996年12月13日
優先日; 1996年12月13日
手数料のステータス: 失効 <2005年に4年分を支払い。その後の支払いがなく、2010年特許として失効>
次の番号でも公開 :US6587729, US20020123775
発明者: James P. O'Loughlin, Diana L. Loree
出願人: The United States Of America As Represented By The
Secretary Of The Air Force
公告番号: US6587729 B2
公開タイプ: 認定
出願番号: US 10/131,626
公開日; 2003年7月1日
出願日; 2002年4月24日
優先日; 1996年12月13日
手数料のステータス: 失効 <2006年に4年分支払、その後の支払いなく、2011年に特許としては失効>
次の番号でも公開; US6470214, US20020123775
発明者; James P. O'Loughlin, Diana L. Loree
出願人; The United States Of America As Represented By The
Secretary Of The Air Force
***************
これらの特許は1996年に発明、1996年に特許出願、2002年・2004年に権利獲得、その後の支払いはなく、2010年・2011年に失効している。
この特許が真に有効なものであれば、特許手数料を払い続けるはずである。
特にアメリカ空軍が権利を持つような特許権は軍事的にも重要なはずで、権利が有効な期間内は権利を確保することを必須とするのではないか、権利獲得後に権利を確保せずに、簡単に放棄してしまっているのは大きな疑問である。この点からは、これらの特許の有効性が疑われる。
発明から10年程度経過しても、実用にならなかったので、権利を放棄したのかもしれない。
発明者をネットで検索してみると、
James P. O'Loughlin は
「Air Force Research Laboratory, Washington, D.C.
Engineering Education, Electronic Engineering, Electrical Engineering」とあり、アメリカ空軍研究所の研究員で、これらの特許を含む複数の特許の発明者であり、学会にも数件の論文を発表している。
このことから、これらの発明はアメリカ空軍が研究した結果に関する特許であるといえる。
ただし、空軍の研究所の資金で研究した成果なので、「成果として、おおやけに認めてもらう」ために特許権の取得だけは行ったが、この研究成果は、実際の軍の兵器などには応用できないものだったので、特許の権利者であるアメリカ空軍は、発明後10年程度経過しても実用にならなかったので、それ以降は、不要な技術として、放棄したものと、BEMSJは想像する。
特許の概要
USP
# 6,470,214 (Filing Date: December 13, 1996, Issue Date: October 22, 2002)
Method and Device for Implementing the Radio Frequency Hearing Effect
特許の名称:無線周波数可聴効果を実施するための方法と装置
Abstract
This invention relates to the modulating of signals on carriers, which are
transmitted and the signals intelligibly明確にrecovered,
and more particularly, to the modulation of speech on a carrier and the
intelligible recover of the speech by means of the Radio Frequency Hearing
Effect.
この発明は、送信され、信号が明確に復元される搬送波の信号変調に関するものである。
特に、搬送波を会話で変調するために、また、無線周波数による可聴効果という手段によって会話を明瞭に復元するためである。
The
Radio Frequency ("RF") Hearing Effect was first noticed during World
War II as a subjective "click" produced by a pulsed radar signal when
the transmitted power is above a "threshold" level.
無線周波数可聴効果は、最初に、第2次世界大戦中に、送信電力がある閾値レベルを超えたときに、パルスレーダーによって「クリック」音として、感知されたものである。
Below the threshold level, the click cannot be.
閾値以下ではクリック音は聞こえない。
The discovery of the Radio Frequency Hearing Effect suggested that a pulsed RF
carrier could be encoded with an Amplitude Modulated ("AM") envelope.
無線周波数可聴効果の発見は、パルス性の無線周波数搬送波を振幅変調の包絡線でコード化(暗号化)できることを示唆している。
In one approach to pulsed carrier modulation, it was assumed that the
"click" of the pulsed-carrier was similar to a data sample and could
be used to synthesize both simple and complex tones such as speech.
パルス性搬送波の変調に関する我々の研究方向の一つとして、パルス性搬送波のクリックはデータのサンプルと類似しており、会話のような複雑は音の調子と単純な音の調子に同期させるために用いることができると仮定した。
Although pulsed carrier modulation can induce a subjective sensation for simple
tones, it severely distorts the complex waveforms of speech, as has been
confirmed experimentally.
パルス性搬送波の変調は、単純な音の調子を主観的な感覚として、誘起することはできたが、実験的に確かめたことでは、複雑な会話のような音声信号波形は著しく歪んでしまっている。
The presence of this kind of distortion has prevented the click process for the
encoding of intelligible speech.
この種の歪の存在は、明瞭な会話のコード化(暗号化)のためのクリック方法によって、対処できる。
An example is provided by AM sampled data modulation.
振幅変調されたデータ変調を例に示す。
Upon demodulation the perceived speech signal has some of the envelope
characteristics of an audio signal.
知覚された会話信号の復調は、ある種の音声信号の包絡線の性質を持っている。
Consequently a message can be recognized as speech when a listener is
pre-advised that speech has been sent.
However, if the listener does not know the content of the message, the audio
signal is unintelligible.
結果として、受信者は会話信号が送られたと事前に連絡を受けているときに、送られてきたメッセージが「会話である」とし認識できる。
しかしながら、受信者が送られてきたメッセージの内容を知らないときは、音声信号は不明瞭となる。
<注:あらかじめZZZZZという内容のメッセージを送るとわかっていて、無線電磁波で受信者の脳にマイクロ波可聴効果で信号を送る場合は、その内容を判読できるが、そうでない場合は、判読ができない、という意味であろう。>
The attempt to use the click process to encode speech has been based on the
assumption that if simple tones can be encoded, speech can be encoded as well,
but this is not so.
会話信号をコード化するためにクリック方法を用いる試みは、単純な調子の音声信号がコード化できるのであれば、会話信号も同様にコード化できるという仮定に基づいているとされるが、そうではない。
A simple tone can contain several distortions and still be perceived as a tone
whereas the same degree of distortion applied to speech renders it
unintelligible.
単純な調子の音声信号は幾多の歪を持っているが、会話信号に適用されるある種の歪は音声の伝送を不明瞭にする様な音声の調子として知覚される。
注:この特許の概要はかなり難解です。うまく翻訳はできていません。
この特許の少し詳しい内容など
フィルター41、平方根処理回路42、平衡変調器43が組込まれている送信機が、人間の脳に直接、音声信号で変調した高周波電磁波を送信する。
図4では、音声信号がどのようにして受信者の脳で感知するかの、流れを示しています。
sin(ωct)が搬送波を表現している。搬送波の周波数がωcである。
上図4にある数式では、sin(ωct)の前の部分が音声信号を示す。
「球形復調貴(頭部)」とあるのは、頭部でマイクロ波を復調するという意味でしょう。
復調した音声信号は振動となり、この振動を内耳に伝搬させ、脳で音声信号として感知する、という意味です。
さて、ここで問題にするのは、前述の「新型補聴器」の特許でもBEMSJが指摘した「脳に復調機能はない」ということです。
前述の「新型補聴器」の特許に比べて、音声信号(会話する音声)の明瞭度を上げるための工夫として、フィルター41や平方根処理回路42を設けていますが、ヒトが「あいう」(「100Hzのあ」「400Hz のい」「1kHzのう」)と発声したとし、これらを高周波パルスで送信しても、脳で感知する音は「カリカリ カリカリ カリカリ」です。
音は聞こえても、目的とした音声信号の伝送は全くできていません。
いや、できるはずであると主張したい方は、ぜひ、これらの特許(新型補聴器の特許、アメリカ空軍の特許)に記載されている情報を用いて、装置を組み立てて、実験を行ってください。
特許権は失効しているので、だれでもこれらの特許をまねることはでき、そうした装置を組み立てて販売することもできます。
*始めに
とあるブログに以下の記事があった。
********** 一部 引用 **************
テレパシー装置;米国特許3951134号 part 1
2013/2/17(日) 午前 3:00
心を読む装置は、テレパシー装置とも言いますが、既に製品として開発されており、1976年4月20日に米国特許3951134号が取得されています。
発明の名称は、離れた場所から脳波を計測して、脳波を改変する装置です。
この装置をターゲットに使えば、ターゲットが統合失調症になります。
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以下の特許原文を見れば、「脳波を改変する」ことなど不可能でしょう。
*アメリカ特許を調べてみた。
以下はその特許に記載されている図である。
対象となる人にマイクロ波を照射させると、頭部からの反射電波は脳波で変調されているので、その反射電波から人の脳波を読み取る、という案です。
BEMSJのコメント:
とてもではないが、この案は実用化されているとは思えない。
単なる思い付きを特許申請したのであろう。
脳波の測定では、数多くの電極を頭部に貼り付けて測定している。
頭部に照射した電波は、レーザ光線の様に細くビームを絞って、頭部の局部だけに照射することはできない。
頭全体からの反射電波を受けても、とてもとても、脳波の測定は不可能と思われる。
同じような意見が、とある掲示板でも行われていた。
一部を引用する。
******************
いい加減なもののようなので出来ないと考える方が順当でしょう。
昔のアメリカの特許制度はザルで有名で、「前例がない」ものならば、その正否を一切問わずに認めています。
極論のようですが事実として、それっぽい図とそれっぽい説明さえあれば認められておりました。
調べれば大量にトンデモな特許が大量にあります。
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以下の情報がある。
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脳波計測
東芝が下記の特許出願をしていますが、この装置は、マイクロ波を使って、離れた場所から、ターゲットの脳波(正確には、脳のニューロンの活動電位)を計測できます。
特許出願番号: 特願2006−18634
公開番号: 特開2007−195779
発明の名称: 脳内神経活動検出装置、それを用いた脳機能診断装置及び思考映像表示装置
発明人:阿部和秀ら
特許出願日: 2006年1月27日
出願公開日: 2007年(平成19年)8月9日
東芝が出願している装置は、米国特許3951134号の改良であり、米国特許3951134号の装置も、マイクロ波を使って、離れた場所からターゲットの脳波を計測できます。
******************
この特許があるので、遠隔地から特定のヒトの脳波を計測し、その人の思考を盗聴できるとしています。
この特許はどうなっているか、調べてみました。
出願細項目記事:査定種別(査定無し) 最終処分(放棄) 最終処分日(平22.2.22)
とあり、東芝はこの特許を権利化もしないで、放棄しています。
もしこの特許を利用して東芝が装置を実用化しているのであれば、特許出願から4年程度で権利を放棄するはずはありません。
特許申請は行ったが、「クズアイディア」であったので、権利の放棄を会社として行ったのだと、BEMSJは想像します。
以下は明細書にあった図の一例です。
脳に電波を当てて、その反射で脳波を読み取るというアイディア
脳波を読み取って、ヒトが何を考えているか判定できるというアイディア
電磁波研究会報(電磁波問題市民研究会発行)の第10号 2001年5月20日発行に以下の記事が掲載されています。
「遂にマイクロ波兵器ベールを脱ぐ 射程距離200m 群衆用に 殺さず 焼くような痛み で制圧する」という見出しです。
以下の画像を見てください。
1)最初に
とあるブログで、以下の情報をみました。
******* 引用 ********
米国海軍とMEDUSA;無能力化する電波兵器
2014/1/29(水) 午前 10:05
MEDUSA
米国海軍データベースにアクセスして、 MEDUSAという電波兵器に開発資金を提供した証拠をつかみました。
www.navysbirprogram.com/NavySearch/Summary/summary.aspx?pk=F5B07D68-1B19-4235-B140-950CE2E19D08<リンク切れ>
<BEMSJ注;IEでは開けず。グーグルChromeで試行するも開けず、トップページも開けず。http://www.navysbir.com/が現行のトップ頁、アクセスできた(2016-4-23)が目的の情報は見つからず。現行のサイトは2004年度分以降の情報のみ検索できる。Medusaは2003年開始のものなので、もう削除されたのかもしれない。>
この電波兵器は、マイクロ波を人間に照射して、マイクロ波聴覚効果により人間を無能力化するものです。
下記に英文の説明をコピーしますが、日本語訳は省略します。
(以下 略)
*******************
この情報の元ネタおよび関連情報を探して見ました。
2)アメリカ軍が関与したMEDUSAの開発 第1次検討報告書から
詳細は こちらに
概要を以下に示す。
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Phase I Summary Report 第1次検討の総括報告書
Contact Information 契約状況 会社情報
Firm Information:WaveBand Corporation 17152 Armstrong Avenue, Irvine, California 926145718 United States
Award Details基金の詳細
Contract #: M6785404C1012 契約番号:M6785404C1012
Award Amount: $99,965.00 基金の総額:99,965.00ドル(110円換算で約1100万円)
Start / End Date: 11/19/2003
05/19/2004 FY Reported: 2004 開始と終了時期:2003年11月19日から2004年5月19日 会計年度:2004年
Title: Remote Personnel Incapacitation System タイトル:遠隔操作で人を無能力にするシステム
Summary Information 情報の総括
Objective of Phase Effort 第1次検討の目的
The main goal of the Phase I project wad to design and build a breadboard
prototype of a temporary personnel incapacitation system called MEDUSA (Mob
Excess Deterrent Using Silent Audio).
This nonlethal weapon is based on the well-established microwave auditory
effect (MAE).
MAE results in a strong sound sensation in the human head when it is irradiated
with specifically selected microwave pulses of low energy.
この第1次検討プロジェクトの主目的は、MEDUSAと呼ばれる一時的に人を無能力化するシステムの設計と手作りの1次サンプルを作ることである。
この非殺戮兵器はマイクロ波可聴としてよく知られた効果を利用する。
マイクロ波可聴は、特に選択された低電力のマイクロ波パル電磁界の照射を受けた時に、ヒトの頭部で強烈な音を感知することである。
Summary of Results from the Phase I Effort
第1次検討結果のまとめ
The
major results of the Phase I effort were that an operating frequency was
chosen.
Hardware
requirements were established (commercial magnetron, high voltage pulse former)
Hardware was designed and built.Power measurements were taken and the required pulse
parameters confirmed.
Experimental evidence of MAE was observed
主な結果は、動作周波数を選択したことである。
兵器の機材に関する要求事項をまとめた(市販されているマグネトロン、高圧パルス変成器)。
兵器に関する機材の設計と製造を行った。
電力測定を行い、パルスの条件を確認した。
マイクロ波可聴の実験的な確証は観察された。
情報源:SOURCE: Navy SBIR/STTR Search Database
********************
ということで、この海軍が関与したマイクロ波可聴を利用した兵器の開発は、第1次検討の段階のものであった。
2004年度のこの第1次検討に続いて、その後どうなったか?
アメリカ海軍のデータベースhttp://www.navysbir.com/ で 「MEDUSA」, 「マイクロ波可聴」、「マイクロ波」をキーワードにして検索したが、何も関連する情報はヒットしない。
このことは、このMEDUSAは海軍としては、検討の継続は行わなかった、と推定できる。
3)Wikipediaのマイクロ波可聴(Microwave auditory effect)に関する記事から
一部を引用
*************
Microwave Auditory Effect マイクロ波可聴効果
In 2003–04, the WaveBand Corp. had a contract from the
U.S. Navy for the design of a MAE system they called MEDUSA (Mob Excess
Deterrent Using Silent Audio) intended to remotely, temporarily incapacitate
personnel. The project was cancelled in 2005.
2003年から2004年に、WaveBand社は、遠隔操作で人を一時的に無能力にすることを目的としたMEDUSAと呼ばれるマイクロ波可聴システムの設計に関して、アメリカ海軍と契約を結んだ。この計画は2005年に解除された。
************************
4)WikipediaにあったMEDUSAの解説記事
一部を、仮訳をつけて、以下に引用
***************
MEDUSA (weapon) MEDUSA(兵器)
MEDUSA (Mob Excess Deterrent Using Silent Audio) is a directed-energy
non-lethal weapon designed by WaveBand Corporation in 2003-2004 for temporary
personnel incapacitation.
MEDUSAは一時的に人を無能力にするために、2003−4年に、WaveBand社によって設計された一定の方向に向けた性非殺戮兵器である。
The weapon is based on the microwave auditory effect resulting in a strong
sound sensation in the human head when it is subject to certain kinds of
pulsed/modulated microwave radiation.
この兵器は、人がある特定の種類のパルス化・変調されたマイクロ波電磁波を受けた時に、その人の頭部に強烈な音の感知を誘発する結果になるというマイクロ波可聴効果を利用したものである。
The developers claimed that through the combination of pulse parameters and
pulse power, it is possible to raise the auditory sensation to a “discomfort” level, deterring personnel from entering
a protected perimeter or, if necessary, temporarily incapacitating particular
individuals.
パルス電磁界の電力とパルスの特性の組み合わせによって、保護すべき領域内に侵入しようとする人を阻止するために、「不快」に感ずるレベルの可聴音を発生させることができ、必要ならば、特定の個人を一時的に無能力化すると、開発者は主張している。
In 2005, Sierra Nevada Corporation acquired WaveBand Corporation and ceased all
work on the MEDUSA technology and did not pursue the technology further.
2005年にSierra Nevada社はWaveBand社を吸収合併し、このMEDUSA技術に関するすべての作業は終り、この技術のさらなる進展はない。
*****************
5)New Scientist 3
July 2008の記事から
一部を、仮訳をつけて引用
***************
Microwave ray gun controls crowds with noise マイクロ波電磁波銃は騒音で群衆を制圧
A US company claims it is ready to build a microwave ray gun able to beam
sounds directly into people’s heads.
アメリカの会社は、人々の頭部に直接音のビームを送ることができるマイクロ波電磁波銃を製造する準備ができたと主張している。
The device – dubbed MEDUSA (Mob Excess Deterrent Using
Silent Audio) – exploits the microwave audio effect, in
which short microwave pulses rapidly heat tissue, causing a shockwave inside
the skull that can be detected by the ears. A series of pulses can be
transmitted to produce recognisable sounds.
この機器はMEDUSAと名付けられ、マイクロ波可聴効果を利用する。
マイクロ波可聴効果は、マイクロ波電磁波パルスが急激に体組織の温度を上げ、頭蓋骨の内部にショック波を発生させ、耳で感知されるものである。
連続したパルスは伝送され、認知できる音を発生させる。
The device is aimed for military or crowd control applications, but may have other
uses.
この機器は軍用か群衆制圧のために用いられるが、その他に用途があるかもしれない。
Lev Sadovnik of the Sierra Nevada Corporation in the US is working on the
system, having started work on a US navy research contract.
The navy’s report states that the effect was shown to
be effective.
アメリカのSierra Nevada社のLev
Sadovnik氏は、このシステムに従事し、アメリカ海軍の研究契約に基づく、作業を開始した。
海軍の報告書ではこの効果は効果的であると記述している。
Sierra Nevada says that a demonstration version could be built in a year, with
a transportable system following within 18 months.
They are currently seeking funding for the work from the US Department of
Defence.
Sierra Nevada社は、実演宣伝用の機械は1年以内に製造が可能で、18カ月以内には持ち運びか可能な機械が可能と、述べた。
彼らは、現在、この作業のために、アメリカ国防省から資金の提供を求めている。
*****************
この記事は2008年の記事であり、2005年にはMedusaの開発は終了したとするWikipediaの情報と一致しない。
ネット上で検索したが、2008年以降、この記事にある「さらなる作業のためのアメリカ軍からの基金提供」がなされた・・・・という情報は見つからない。
Sierra Nevada社にメールを入れて、この記事以降の情報は何かあるか・・・と聞いてみたが、数カ月経過するも、音沙汰はない。
6)Medusaの実現性の検討
前述の3Bの項で、以下に述べた。
1km先にいる群衆に向かって、マイクロ波可聴を起こさせるために、発信源のマイクロ波発信電力と、その為に必要とされる電力を計算した。
「もし、距離が1kmとなれば発信源の等価発信電力は10,000×12×1,000,000Wとなる。
利得1000というアンテナを用いても必要なピーク電力は120
000,000W=120MWとなる。
120MWのピーク電力となれば、BEMSJは詳細に関しては専門外であるが、軍用レーダのような超大掛かりな装置が必要となるであろう。
仮にピーク電力120MWとし、Duty比1000:1とすれば、平均電力は120kWとなる。
無線電力に転換する能率を、実際は不可能であるが、100%と仮定しても、120kWの電力消費が必要となる。
120kWもの電力消費する兵器を、持ち運びできる大きさにできるとは思えない。
これだけ大きいと、バッテリーでの動作も困難であろう。
実現性が極めて乏しいと、BEMSJは考える。
この機器から120MWのマイクロ波を群衆の方に絞って発信するが、当然、横方向や機器の横に位置する同僚にも幾分かのマイクロ波が照射される。
横に漏れる量は、厳しく制限されるとして、100万分の1しか横に漏らさないとしても、120Wが漏れる。
1mの至近距離での曝露量は
電力密度で 120/(4π×1mの二乗)=10W/m2=1mW/cm2となる。
ピークでこの値なので、まだ電波曝露基準には抵触しない。
すなわち、指向方向(群衆に向けた方向)以外の横などの方向に電波がほとんど漏れていかないような性能の良いアンテナを準備しなければならなくなる。
アンテナの特性といい、消費電力とその電源確保といい、ハンドマイクのような手でもって歩いて、群衆に向けてマイクロ波を発信して群衆を制圧したり、相手の軍隊に対してマイクロ波を発射したりして、相手の軍人の戦闘威力をなくすことができるような兵器が簡単にできるとは思えない。
また、Freyの1962年論文にあるように、「2インチ四方=5cm四方の金属を耳の近くに置くだけで、高周波電磁界照射による脳内での音の感知は防げる。」ということは、軽い金属片1枚手元にあれば、銀紙で包まれたチョコレートひと箱あれば、簡単にマイクロ波可聴を利用した兵器の攻撃を逃れることができる。
これでは有効な攻撃兵器にはならないでしょう。
まだ結論としてはまとめていませんが、
マイクロ波可聴では、パルス変調されたマイクロ波の曝露を受けて、脳内で音が発生することは事実としても、この音は、「カリ カリ カリ」といった種類の音であり、「あいうえお ・・・・ おはよう 起きろ」といった会話音声信号を復調しているのではない。
レーダからのパルス電波を利用して、「おはよう 起きろ」といった会話・音声信号の伝送は、技術的にも困難であろう。
「カリ カリ カリ」といった『音』が脳で感知できることを、会話などの「もしもし かとうさん・・・」といった『音声』を脳で感知できると、拡大解釈したのが誤りの原因ではないかと、推察する。
記:2016−6−9
2016年6月に見つけたあるブログの内容を、一部引用
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情報処理学会の発表報告
2016/5/26(木)
Frey(1962)は、マイクロ波パルスに起因する音と、空気を伝導する音をマッチングする実験を行っており、マイクロ波パルスに起因する音は5,000Hz以上の周波数に対応すると報告しています(文献1)<BEMSJ注:このページでは文献の紹介は割愛>。
更にマイクロ波パルスを頭部に照射する動物実験では、周波数が918MHzであっても、2450MHzであっても、内耳の蝸牛に発生する活動電位は、同じ音の周波数に対応するという実験結果が得られています(文献2)<BEMSJ注:このページでは文献の紹介は割愛>
Guy(1975)は,周波数が2450メガヘルツ、1秒にパルス3回を照射するという条件で聴覚を刺激したところ,1秒に3回、音が聞こえると報告しています(文献3)。
人間の聴覚の周波数下限は20Hzであり、3Hzの音は聞こえません。
ところで、ピアノでは49番目の鍵盤、即ち、「ラ」の音が440Hzに調律されています。
それでは1秒に3回、「ラ」の鍵盤を叩くと、3Hzの音を出るのでなく、440Hzの音が3回、発生します。
1秒に3回、マイクロ波パルスを人間の頭部に発射したときには、周波数6000〜1万ヘルツの音波が3つ重ねあわされることになります。
ちなみにマイクロ波聴覚効果で聞こえる音の周波数は、脳を媒質として伝搬する音波の周波数であり、この音波の周波数は、基本的には、頭部サイズに依存します。
頭部が大きくなると、音波の周波数は小さくなり、頭部が小さくなると、音波の周波数は高くなります。
*******************
さて、このブログの内容から言えば、
「更にマイクロ波パルスを頭部に照射する動物実験では、周波数が918MHzであっても、2450MHzであっても、内耳の蝸牛に発生する活動電位は、同じ音の周波数に対応するという実験結果が得られています」は、
発信するマイクロ波の周波数を変えても、脳で感知する音は、同じ周波数の音であるとされる。
こうなると、前述の「4A. 1989年8月22日に成立した米国特許4858612号(発明者:特許権者 フィリップ・L・ストックリン)」にあるように、この「ストックトンの特許では、送信する音声信号を、周波数で分割し、音声帯域ごとに異なるマイクロ波の周波数を充てる」というものであったので、この特許では異なる周波数のマイクロ波を充てても、すべて同じ音しか聞こえないので、ダメな・実用にならない特許ということになる。
「頭部が大きくなると、音波の周波数は小さくなり、頭部が小さくなると、音波の周波数は高くなります。」とある。
ということは、外部から、レーダなどで人の脳に向かって 高い音の音声指示を送ろうとした場合、頭の大きい人には送信できない、という難点が生ずる。
送ろうと企む人の頭の大きさによって、低い周波数の声は送ることができなかったり、甲高い声の音声を送ることができなかったり、する。
これでは、会話信号(音声信号)を、マイクロ波を利用して脳に直接送り込むことに、非常に大きい制限がかかることになる。
宮崎県延岡市における携帯電話基地局建設に反対する住民との間で裁判になりました。
この裁判では、原告側(住民側)は、建設された基地局から発信されている電波で、住民に耳鳴りなどが聞こえるようになった。これは、マイクロ波可聴効果によるものであると、主張しました。
結果は、これは誤りであり、住民側は敗訴に終わりました。
1)控訴審における論点 マイクロ波クリック音に関するBEMSJのコメント
記:2014-11-5 WEBへの公開:2014-12-12
延岡での携帯基地局裁判の控訴審は最終段階に入った様です。
マスコミや関連する情報誌にもそうした情報が掲載されています。
どうやら重要な争点として「マイクロ波クリック効果」が挙げられているようです。
1か月前に届いていた電磁波問題市民研究会の会報90号を読んでいます。
この会報には延岡の携帯電話基地局の裁判に関する情報が記載されていました。
********************
マイクロヒアリング効果は1962年にフレイ論文で指摘されました。
一定の強度(ピーク電力)の電磁波を当てるとクリック音と呼ばれる音を感知すること、理論的には3μW/cm2のピーク電力で生じること、と言うものです。
1974年にはフォスターらがフレイ論文を実験などで検証しました。
*********************
さて、上記の記述であいまいな点は、「1974年にはフォスターらがフレイ論文を実験などで検証した」のは3μW/cm2のピーク電力といったかなり低い電力照射で、検証したのか、否かです。
また、黒薮氏のWEBサイトに「Media Kokusho」には、平成26年9月5日付けの原告側弁護士の徳田弁護士の意見陳述書が公開されていました。
この陳述書の中に、
***********************
4 したがって、すべての問題は,本件基地局から放出される1秒間に1200回ものパルス波の強度(電力束密度)が、「ヒアリング効果」の閾値を超えているかどうかの解明にかかっているということになります。
これを解明するうえで、今回、被控訴人(BEMSJ注:被告のKDDI)から提出されたFoster論文(乙第103号証)やICNIRP報告(乙第98号証)は、私たちに決定的な武器を与えてくれたと確信しています。
詳しくは、吉富教授の意見書を精読していただきたいと思いますが、これらの文献によって、本件基地局から放出される電磁波が「ヒアリング効果」の閾値とされる3‐5μW/cm2を大きく超えていることが 明らかになったからです。
5 私たちは,こうしてやっとの思いで答えに辿り着きました。
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この意見書をまとめると
1)被告のKDDIが基地局は3‐5μW/cm2を超える電磁波を放射している。
2)マイクロ波クリック効果の閾値は3‐5μW/cm2である。
3)1)と2)は吉富教授の意見書、もしくは、KDDIが提出した証拠書類であるFoster論文で検証されている。
となります。
私はフレイの1962年論文は全文を入手して読みました。
大きなピーク電力でのクリック音は実験で確認されています。
フレイはこの実験結果から推論で、周囲が静かであればより小さい電力(3‐5μW/cm2といった)でもクリック音が感知できるかもしれないとしています。
「より小さい電力でクリック音は感知できる」はこの1962年の論文を読む限り、大電力時に実験で確認できたことからの、推論であって、フレイは実験で確かめてはいません。
さて、フォスターの論文は、全文はまだ読んでいません。概要だけを読んだだけです。
20ドル程度の出費で論文は入手できるのですが、やっていません。
BEMSJの理解では、このフォスターの論文は、フレイの強いピーク電力時のクリック音の実験の再現には成功しています。
しかし、フォスターはより低いピーク電力でのクリック音の感知までは確認していないと思われます(最終的にフォスターの論文全文を読まなければ何とも言えません)。
被告のKDDIから提出されたフォスター論文に、低い電力でもマイクロ波クリック音が確認できたと、されているのでしょうか?
吉富教授の意見書もBEMSJは見ていません。どこにも公開されていないからです。
この吉富教授の意見書の中で、低い電力でのマイクロ波クリックが吉富教授らの実験で確認できた・・・・と記述されているのでしょうか?
マイクロ波クリック音が、フレイの実験条件より低いピーク電力で検知できることがフォスター等の実験で確認されていれば、ICNIRPだけではなく、厳しい曝露規定を定めていた旧東欧圏の電磁波曝露基準の論拠として採用され、曝露基準は厳しい値に設定されていたと思われます。
現実には、旧東欧件の曝露基準設定の論拠に採用されていないことから、フレイのクリック音は大きなピーク電力では発生するが、小さいピーク電力では発生しないこと確定しているのかもしれません。
従って、延岡の裁判では、フォスターの論文で、フレイ論文で推定した3μW/cm2と言った低いピーク電力でクリック音が関知されることを確認してあるか否かで、判決は決まるかもしれません。
フォスターの論文で、3μW/cm2でもクリック音が検知されたことを確認されているならば、もしくは吉富教授が実験で確認してあり、学術論文などで発表していれば、原告の勝訴。
フォスターの論文で、3μW/cm2でクリック音の検知が確認されていないならば原告の敗訴となるかもしれません。
BEMSJが気になるのは、フォスター論文の提出元です。
乙号証とあるので被告のKDDI側の提出です。
被告側が被告側に不利な論文を証拠として出すとは、思えません。
とすれば、フォスター論文では大きなピーク電力ではクリック音の確認ができたが、3μW/cm2と言った小さな電力ではクリック音の確認を行っていないか、実験したが検知できなかったと、書いてあるのかもしれません。
こうしたことから、この延岡の高裁判決も、原告にとっては厳しい判決になるかもしれません。
控訴審の結審後、マスコミや関連する情報誌などで、「マイクロ波クリック音が証明された、原告の住民に有利」という風潮の記事が見えますが、かなり詰が甘いというか、きちんと確認が取れていないように感じます。
2)高裁判決文の中にあったフレイ論文の再現に関する情報
記:2014−12−17
マイクロ波クリック音に関するフレイ論文にあった実験と、フレイの考察というか実験結果からの推定で3μW/cm2でもクリック音が聞こえることに関する再現実験が行われているかが、この高裁裁判の鍵を握っていた。
高裁判決文の中で、以下の下りがある。
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控訴人(原告の住民ら)の補充主張
(略)
(2)マイクロ波ヒアリング効果(BEMSJ注:マイクロ波可聴音、マイクロ波クリック音のこと)について
(略)
マイクロ波ヒアリング効果は、Freyによりその閾値が理論的に明確にされ(無響室内では3μW/cm2)、その後の追試を経て、科学的にその存在及び機序などが解明され、WHO及びICNIRPによっても承認されたものとなっている。
(略)
第3 当裁判所の判断
(略)
(6)マイクロ波ヒアリング効果について
(略)
証人吉富は、上記Frey論文について再現実験が行われたかについて知らない旨(証人吉富59頁、60頁)述べている。
(略)
************************
「Freyによりその閾値が理論的に明確にされ(無響室内では3μW/cm2)、その後の追試を経て、科学的にその存在及び機序などが解明され」たのであればと、「吉富は、上記Frey論文について再現実験が行われたかについて知らない」とは言えないはずである。
「Freyによりその閾値が理論的に明確にされ(無響室内では3μW/cm2)、その後の追試を経て、科学的にその存在及び機序などが解明され」たのは、「Freyの3μW/cm2の閾値も含めて、Freyの論文については再現実験も行われ、そうしたFrey以外の研究者によって3μW/cm2が閾値である旨の再現実験に成功したので、マイクロ波ヒアリング効果は、科学的にその存在および機序などが解明された」のである旨を、証人の吉富邦明教授がきちんと述べることができていれば、原告(住民)らは勝訴したであろう。
原告側の主張の「その後の追試を経て、科学的にその存在及び機序などが解明された」という記述は、如何なる論拠によるものなのであろうか?
もし、きちんとした論拠なしに、「その後の追試を経て、科学的にその存在及び機序などが解明された」と主張したのであれば、この高裁判決で、原告(住民ら)の敗訴になって、当然と言えるかもしれない。
追記:2015-3-17
3)フレイの研究に関する2015年の吉富邦明教授の講演内容から
2015年2月14日 東京で開催された「携帯基地周辺の電磁波と健康被害」に関する講演が行われた。
この講演にBEMSJは聴講しなかったが、レジメを入手した。
このレジメにあるフレイ効果に関して、検証を行う。
ここに述べているフレイの1962年研究に関しては、既にこの頁でも紹介した。
「3μW/cm2のピーク電力密度のマイクロ波でも、周囲が静かで、雑音が皆無な状態では、マイクロ波聴覚効果があると、予測している」ことは、確かである。
ここで注意すべきは、以上のことは、あくまでも「予測」であることである。
また、ここで注目すべきは、2インチ四方(5cm四方)の金属防虫網で、マイクロ波可聴音が聞こえなくなった、という実験結果である。
「電磁波が脳内の神経細胞に直接届き、振動場を作る *1
*1 フレイ1962 デヴラ・デヴィス 携帯電話・隠された真実 PP158-163」
とあるが、1962年のフレイの研究は、既に紹介済の情報であり、
デヴィス著も当該の頁を読んでみたが、格別に低電力密度パルスでも発生することを論証はしていない。
「フレイ 1979 マイクロ波聴覚機構仮説のホログラフィック評価」とあるが、この論文を見ると、「ホログラフィック評価を行ったが、仮説は証明できず、他のメカニズムによる・・・」となっている。
当日の講演で、どのように説明したかは定かではないが、少なくともレジメを見た限りでは、3μW/cm2程度のマイクロ波電波で、可聴音が聞こえることを、論証はしていない。
問題点3として、耳鳴りの対策例が示されている。
ここで注目すべきは「大貫町 段ボール箱にアルミホイルを貼り付けその中に顔を入れて寝ている人もいる: 耳鳴りを避けるために」とある箇所である。
吉富講演レジメでは、この段ボール箱に頭を入れて寝た場合に、耳鳴りが止んだのか否か、不明である。当日の講演でどのように話をしたのかも不明である。
そこで、BEMSJは、直接、大貫町の関係者に聞いてみました。2015年4月に、
質問:問題点3にある様な、アルミホイルを貼った段ボール箱に頭を入れて寝たら、耳鳴りが止んだのか? 効果があったのか?
返答:大きな段ボール箱に家庭用のアルミホイルを3重、4重に貼り付けた。携帯電話の受話器はアンテナ3本だったのか、減ったので、電波は低くなっている。この箱の中に、頭だけではなく、胸から上を入れて、布団も入れて、寝たが、耳鳴りは止まなかった。
このことから、
Freyの1962年研究によれば、耳の近くに5cm四方の金属網を置いて、電波を遮っただけで、マイクロ波可聴音は聞こえなくなっている。
大貫町の住民の耳鳴りがマイクロ波可聴音効果によるものとすれば、アルミホイルを貼った段ボール箱の中に胸から上を入れた場合、耳鳴りは止まなければならない。
この段ボールでの効果がないことから、大貫町の住民の耳鳴りは「携帯電話基地局からの電波によるマイクロ波可聴効果によるものではない」と、言える。
住民らの耳鳴りは、何か別に原因があり、吉富教授の論は、誤りとなる。
こうしたFrey効果の解釈の誤りから、誤りであることに気が付かずに、「これが証拠だ」と住民側が主張したことが原因・遠因となって、住民側は敗訴になったと、BEMSJは考える。
記;2017−6−13
*以下の記事がWiredニュースのサイトにあった。
http://wired.jp/2009/07/ 06/
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2009.07.06 MON 22:00
「脳への電磁的攻撃」:禁止判決と対策サービスも
「精神に作用する電磁放射の攻撃を受けている」として訴えた裁判で、「電子ハラスメント」を禁じる命令が出された。
また、対策サービスを提供する企業も出てきている。
James Walbert氏は2008年の年末、以前の仕事仲間から、精神に作用する電磁放射の攻撃を受けているとして、これをやめさせるための裁判を起こした。
Walbert氏は、カンザス州セジウィック郡の陪審員団に対し、Jeremiah Redford氏と取引をめぐって食違いが生じた。
その結果、Redford氏から「放射注入」をするぞという脅しを受けたと説明した。
Walbert氏によるとその後、電気ショックの感覚、電子的に作られた音、耳の中ではじける音や鳴り響く音を感じるようになったという。
12月30日(米国時間)、裁判所はWalbert氏側に有利な判決を下し、Redford氏が「電子的な方法」による嫌がらせをWalbert氏に行うことを禁じるという、画期的な保護命令を出した。
これはまじめな話だ。
(略)
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Walbert氏が2008年11月25日に提訴し、2008年12月30日に判決が下りた、という情報があるが、判決文や、詳しい情報は見つからない。
原告のJames Walbert氏の写真は判決を勝ち取った例として、公開されている。
原告のJames Walbert氏
様々な学会で、マイクロ波可聴に関連する口演を行っている。
全文を読むことができた範囲で、以降に概要と、欠点を紹介する。
記:2016−4−22
以下の口演が行われ、BEMSJも聴講した。
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タイトル:マイクロ波聴覚効果
発表者:小池 誠
概要
音は聞こえるが,電波は聞こえないとされている。
しかしながら,マイクロ波はパルス波形のときに聴覚を刺激するという実験結果が多数,報告されている。
そこで,本稿はパルス変調されたマイクロ波が音として聞こえる現象,即ち,マイクロ波聴覚効果について紹介する。
マイクロ波パルスが聴覚を刺激する生理機構としては,頭部が音響トランスデューサとして機能してマイクロ波を音響波に変換し,内耳の蝸牛がこの音響波をインパルスに変換し,更に聴神経がこのインパルスを聴覚野に伝える。
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*口演内容の中から
・小池は弁理士であり、アメリカの特許の中にテレパシーに関する特許があることを知り、まぜこうしたことが可能か調べ始めたのが、このテーマに入るきっかけである。
・1947年50万Wのレーダアンテナの前で音が聞こえたということが判ったが、この情報が公表されたのは1956年と、9年後である。これは何か、秘密として公表を妨げていたのではないかと、小池は思っている。
*口演後の質疑応答
Q:口演で使用された技術用語に誤りもある、今後の発表では注意すべき。
A:周波数の高い・低いを「小さいとかにしてしまいました」
Q:マイクロ波可聴が聞こえたとする研究の、実験距離(発信機と被験者の距離)は?
A:多くの研究は室内・電波暗室で行われており、距離は1mとか3mと思われる。
Q:マイクロ波可聴を報告している研究では、マイクロ波パルスは1秒に3回といった条件とのこと、これでは音声周波数としては3Hzとなり、ヒトの可聴周波数(20Hz―10KHz)から外れ、聞こえないのではないか? どのような音が感知されているのか?
A:感知された音は、コンとかコリコリと言った音とされる。
Q:このテーマは医学界向けのものと思われる。医学界で発表された?
A:日本の医学界に何度か口演の応募を行ったが、全て、拒絶された。
Q(座長:京都大学 石川容平 纏めとして)この発表は、この研究会の目的・趣旨などと一致していない。今後は適切な他の研究会を探し、そこで行うことを薦める。
*BEMSJの感想:
この口演を聴きましたが、他の研究者の報告の引用、他の特許の紹介という程度で、本人の独自の実験結果などが全く含まれていなく、かつその内容も、私が知っている範囲のことであったので、おもしろくない口演でした。
口演者は、こうした情報を多くのマイクロ波研究者に知って欲しいという願望から、この研究会での発表を試みたのかもしれませんが、かなり多くの方が、マイクロ波可聴を知っていると思います。
こうしたことから、口演後の質疑応答があり、最後に座長が「この口演内容は、本研究会の目的などにマッチしていない、他の研究会などでの発表を試みられた方が良い」という趣旨の発言があったことは、的をえた、うまい表現であったと感心しました。
以下の口演が行われた。
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タイトル:秘密保護法と通信技術
発表者:小池誠
抄録:
従来,国家公務員法,地方公務員法,自衛隊法は,それぞれ,国家公務員,地方公務員,並びに,防衛省の職員及び自衛官に守秘義務を規定する一方,故意に守秘義務に違反する行為を処罰した。
ところが,2013年12月に制定され,2014年12月に施行された特定秘密保護法は守秘義務違反を処罰するだけでなく,更に特定秘密を不正に取得する行為も処罰するものである。
このような観点から特定秘密保護法は戦後で最初のスパイ防止法という側面がある。
しかしながら,特定秘密保護法は研究者が研究したり,学会発表する行為までをも取り締まるものではなく,これらの行為に対して特定秘密保護法の刑罰規定が及ぶものではない。
憲法に定める学問の自由の重要性を強調するとともに,学問の自由は刑法35条に規定する正当業務行為の解釈に反映されるべきである。
キーワード: マイクロ波可聴効果 以下略
******************
この口演にはキーワードとして「マイクロ波可聴効果」があり、口演者は軍事秘密に指定されているかもしれないマイクロ波可聴効果を利用した機器に関する研究を行っても、特定秘密法に触れない・・・・ということを言いたいのかもしれない。
記:2016−11−14
*口演の概要
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タイトル:マイクロ波聴覚効果をインタフェースに応用した音声対話システム
発表者:小池 誠
あらまし:
音声対話システムは,入力されたメッセージを変換して,メッセージを出力するオートマトンであるが,本稿はメッセージの出力インタフェースにマイクロ波聴覚効果を応用した無線通信を応用することを提案する。
斬新な出力インタフェースが,何も知らないユーザーに対して強烈な心理的効果を発揮する。音声対話システム及び無線通信に関する要素は多岐な学問領域に還元できるが,いずれの要素も第二次世界大戦中の軍事技術に起源がある。
軍事技術は永年に渡って秘匿される傾向にあることに鑑みて,本稿の出力インタフェースを組み込んだ音声対話システムが既に軍情報部の秘密作戦に利用され,統合失調症のような精神病質を秘密裡に誘発しているという仮説を提唱する。
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*この論文を読んでみつけた大きな問題点
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4.6.パルス変調
第4段階として,パルス変調する。パルス波形のときにマイクロ波聴覚効果が発生するからである。
4.7. スペクトル拡散
この米国特許はスペクトル拡散にもウルトラワイドバンド通信にも言及していないが,この無線通信には直接拡散スペクトル拡散,インパルス・ラジオ方式のウルトラワイドバンド通信が応用されている。
これに伴って,
送信機から照射される電磁波エネルギーが極めて広い周波数帯域に分散し,スペクトル・アナライザーのノイズフロアに埋もれることになる。
従って,対話システムに組み込まれた送信機から照射するマイクロ波は,乱数又は疑似乱数を取得しない限り,検出することができない。
******************
赤字の箇所が疑問点である。
「スペクトル拡散方式を用いているので、通常の電波測定器では測定が不可能である。よって、人に知られることなく、電波を測定しても測定できない状況にしている」というのはわかるが、
「そうした技術を利用して、ヒトにマイクロ波可聴効果が発生するマイクロ波を照射している」としても、ヒトの脳に「乱数又は疑似乱数」に関する機能がなければ、ヒトの脳は照射をうけたマイクロ波を解読することができない ことになる。
ヒトの脳には、こうした「乱数又は疑似乱数」に関する機能はないので、小池誠の説く仮説は意味がない ということになる。
もう一つの欠陥は、マイクロ波可聴は、ノイズレベルをはるかに超えた、非常に強い電波強度でのみ可聴が可能である、ということで、スペクトラム拡散でノイズレベル以下の弱いマイクロ波強度にしてしまえば、マイクロ波可聴効果は発揮しえない。
こうした意味で、マイクロ波可聴が現実の瀬克環境下で起こり得るという説の為に、ノイズレベル以下・・・・というスペクトラム拡散技術の話を持ち出しても、だめなのである。
以下は小池誠のブログにあった内容
http://blogs.yahoo.co.jp/patentcom/14818819.html#14818819
********一部引用************************
論文執筆中
2017/2/2(木) 午後 8:15 学会 工学
2017年1月21日、土曜日に東京大学本郷キャンパス工学部2号館で開催された電子情報通信学会音声研究会で、ブレイン・マシン・インタフェースに関して発表したのだが、この際、ブレイン・マシン・インタフェースの一種という観点で、マイクロ波聴覚効果を応用したマイクロ波通信に言及した。
すると、この1月の音声研究会で、マイクロ波聴覚効果を応用したマイクロ波通信の安全性について質問があった。
これに対して、電波安全基準を満たしていても、マイクロ波聴覚効果は観察される旨を答えた。
(略)
ところで、携帯電話は耳元で1ワット近いマイクロ波を発射している。
マイクロ波出力の半分近くが頭部に照射される一方、半分以上が頭部のない空間に照射されることになる。
携帯電話を使用しているときには、控えめに推定しても、0.1ワット以上のマイクロ波が頭部に照射されているのは確実である。
そして、日常生活で携帯電話を使っているが、この程度のマイクロ波照射で健康被害は生じていない。
さて、携帯電話と同じレベルのマイクロ波照射であっても、マイクロ波聴覚効果を応用したマイクロ波通信は十分に可能である。
このように文章で可能だと書いて、その通りと納得してくれるとよいのだが、それほど単純でないのが学者の世界。
そこで、最近は電波安全基準を満たしても、マイクロ波聴覚効果を応用したマイクロ波通信が可能であるという趣旨の論文を執筆している。
電子情報通信学会ヘルスケア・医療情報通信研究会は2017年5月11日、5月12日に機械振興会館(東京都港区芝公園、東京タワー隣)で開催される。
この研究会の日時、場所などは下記の公式サイトで確認できる。
http://www.ieice.org/~mict/
この5月の研究会で、電波安全基準を満たしたマイクロ波通信について発表する予定である。
ヘルスケア・医療情報通信研究会には、ヘルスケア、医療に関する通信の専門家が集結している。
例えば、脈拍とか、呼吸とか、会話中の口の動きに関する信号を通信する方式などである。
赤ちゃんのおむつが濡れたら、おむつから携帯電話などに信号を送信するという通信の研究開発をしている研究者もいる。
しかしながら、人間の頭部に電波、マイクロ波を照射して、音声を伝えるという通信の研究者は私だけである。
音声対話システムのインタフェースとして音声研究会で発表することも検討したのだが、通信方式の詳細に触れることになるので、今回は、通信の専門家が集合する研究会にしました。
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さて、「これに対して、電波安全基準を満たしていても、マイクロ波聴覚効果は観察される旨を答えた。」に関する検証を行ってみる。
3A.マイクロ波可聴音ICNIRPガイドラインに見る閾値 で述べたように、
確かにマイクロ波可聴の受信者の電波曝露状態では、日本の曝露基準以下であっても、可聴音は感知できるだろう。
日本の電波曝露帰陣では、マイクロ波に関しては平均電力でしか規制していないので、平均値を低くし、瞬間値をできるだけ大きくすれば、マイクロ波可聴音は検知できるだろう。
しかし、一つの課題があります。
マイクロ波の受信者と、マイクロ波発信機の間の空間での電波強度である。
受信者の場所では電波防護指針値以下でも、マイクロ波発信機に近づけば、近づくほどに曝露基準値を超えることになる。
すなわち、受信者と発信機の間には、誰も立ち入ることができないという極めて限定した条件を設定しなければならない。
学術的な研究会・論文ではこういう条件に関しても論及する必要がある。
そして。上記のような条件下では、マイクロ波可聴を感知する被験者の位置では電波防護指針値以下の曝露であることしか言えないので、それ以上のことは何も言えないので、学術研究の場で発表するような事柄ではないと、考える。
「携帯電話と同じレベルのマイクロ波照射であっても、マイクロ波聴覚効果を応用したマイクロ波通信は十分に可能である。」に関する検証行なう。
携帯電話の電波出力を仮に0.1Wとする。
マイクロ波可聴が聞こえるのは、パルス幅を10μ秒の短いパルスの時間とした時、瞬間的に10kW/m2(1W/cm2)に及ぶ大きな電力を照射しなければならないので、
携帯電話の電波出力は通常360度全方向に発信されているが、これを1p平方の平面積にだけ集中して発信させることができる特殊なアンテナを用いたとしても、0.1W/cm2であり、マイクロ波可聴は検知されない。
1.7mm四方、面積3mm2の狭い範囲に電波を集中できるアンテナがあって初めてマイクロ波可聴が可能となる。
果たして、どのようなアンテナで可能であろうか?
実現不可能ではないかとBEMSJは考える。
2頁にわたった記事が掲載。
その一部を以下に転載、
この記事によれば、2017年3月18日に開催された情報処理学会で、テレパシーは実用化されているという説を発表した。
小池誠のこの発表を聴講した参加者は、取材の為に参加した週刊プレイボーイの記者を含めて、10人ほどであったとある。
40人も入れる会場に、10人程度とは寂しい限りであろう。
この記事の中で小池誠は
1.マイクロ波可聴効果で音声を脳で直接認識できる、と。
2.無線と違って、傍受さえずに通信が可能なテレパシー
と言っている。
マイクロ波可聴効果のマイクロ波は、無線通信技術である。
こうしたことに、矛盾がある。
関心のある方は週刊誌を読んでいただくとしても、BEMSJが読んだ限りでは、全く面白くない記事である。