宮山大樹
2017年6月29日15時04分
路地が入り組む通称・三角地帯に代表される昭和の匂いと、小ぎれいな飲食店。東京都世田谷区の三軒茶屋は新旧が混在する、独特の雰囲気の街だ。
「芸能人が出没する」と言われ、「住みたい街」の上位にランクインする「三茶(さんちゃ)」のランドマークは、1996年に完成したキャロットタワー。オフィスや劇場が入る、高さ124メートルの赤茶色のビルの1階に東急世田谷線の駅がある。ホームの壁や床はれんが造りで、屋根は欧州の路面電車駅をイメージしたアーチ状。ここから、2両編成の電車が住宅街に向けて走り出す。
「世田谷線じゃなくて『玉電(たまでん)』と呼んだほうがしっくりくるね」
大塚勝利さん(74)は1962(昭和37)年、18歳で三軒茶屋のそば店に入り、27歳で独立するまで住み込みで働いた。周辺は、出前で隅々まで走った、青春時代の思い出の地だ。
玉電とは、現在の玉川通り(国道246号)を走っていた路面電車の「玉川電気鉄道」のこと。1907(明治40)年に開業し、25年には三軒茶屋と下高井戸を結ぶ支線も開通した。
三軒茶屋は、玉電が分岐する要…
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朝日新聞社会部