骨粗鬆症,腱鞘炎,肩こり


骨粗鬆(しょう)症

50才以上の10年間で2cm以上、また、若い頃から4cm以上身長が縮んでいる場合、背骨に圧迫骨折の変形が生じている可能性があり、骨粗鬆症が疑われますので整形外科を受診、骨密度測定を受けましょう。
 
*骨密度の基準
骨密度の正常値は、成人の平均値をもとにしています。
基準の80%以上 :正常
基準の70〜80% :骨量減少(要注意)
基準の70%未満 :骨粗鬆症

予防のために、食事に気をつけ運動をしましょう。
*カルシュウム、ビタミンD、ビタミンKの多い食事を取りましょう。
*片足立ちやスローな膝高上げの足踏みは,転倒予防,強いて言えば骨折予防に効果的です。


狭窄性腱鞘炎

腱鞘(けんしょう)は、腱が通り抜けるトンネルの様な部分で、人間の指先が細かい動きをするのを助けています。そのため腱鞘炎になると,腱鞘が狭窄(狭くなる事)し腱がスムーズに腱鞘を通過できなくなり指や手首(親指側)に痛みが生じる様になります。特に手を酷使する人に多く見られます。

屈筋腱(指を曲げる腱)の腱鞘炎は,初期には、指を曲げる時に腱が擦れる痛みがでます。
増悪すると指を曲げた時に腱が引っかかり、簡単には伸ばせなくなります。頑張って伸ばすと腱がカクンとはずれ、バネの様に動くためバネ指とも称されます(第1指2指3指の多くみられます)。
さらに増悪すると指を、完全に真っ直ぐに伸ばせなくなります(関節拘縮の状態と言い、術後のリハビリが2〜3ヶ月が掛かります)。

伸筋腱(指を伸ばす腱)の代表的な腱鞘炎は,ドケルバンと言い手首の親指側で生じます。出産,育児の時期によくみられます。

痛み止め(内服,外用剤)やリハビリを数ヶ月も続けても良くならない方は、手術が必要かもしれません。リンクの腱鞘炎ノートを参照下さい。
腱鞘炎手術の費用は保険適応ですので,
3割負担の方で¥7,000前後です。
腱鞘炎OP件数
   H17年21件,  H18年20件(内ドケルバン3件),  H19年26件(内ドケルバン3件)
H20年23件(内ドケルバン5件),H21年24件(内ドケルバン5件),H22年18件(内ドケルバン1件)


肩こりから始まる頚に関係する疾患

 頚(くび)から肩にかけての重ダルイ不快な感じや、痛みを「肩こり」といい、整形外科を
受診される方に多くみられます。その大半は、頚・肩の筋肉の疲労が原因です。
 人類が起立歩行するようになって、頭を支えたり、腕を吊り下げる等の頚椎の役割が、
より過大になり筋肉疲労も増大しています。
      それゆえ肩こりは、人類の宿命的な症状といわれるほどです。

 例えば、仕事や読書等での頭がうつむきすぎる頚の不良姿勢、そしてパソコンのキーボード操作、長時間のドライブなどの腕から手にかけて持ち上げた状態での作業や、重いバッグを長時間提げたりすることも、肩こりをひき起こします。また、エアコンの効きすぎも、筋肉の血行障害を悪化させます。 
 
 肩こりの治療では、消炎鎮痛剤や筋肉をほぐす薬剤などの薬物療法、注射、リハビリ等が有効です。
 しかし最も大事なのは、整形外科専門医の丁寧な問診と診察に基づいた肩こりの本当の原因の診断です。そしてそれから導き出される正しい姿勢(仕事中の首の角度や椅子の高さ、PCモニターの高さの調整等)や肩こり体操などの筋トレの指導が重要です。
 
 しかし肩こりが強かったり長期間続いたりするときは、単なる肩こりでなく頚椎疾患の徴候のこともあります。 
 頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症では、飛び出した軟骨や変形した頚椎の骨が、脊髄や神経を圧迫するため、肩の痛みの他、しびれや筋力低下が腕だけでなく脚(あし)まで出現することもあります。時には頚椎に転移したがんが、圧迫の原因となることもあります。
 血管や神経が圧迫される病気もあります。頚と鎖骨の境界で血管と神経を、鎖骨と多くの筋肉が囲む部分があり胸郭出口といいます。この部位で何らかの原因で血管や神経が圧迫されると頚、肩、腕の痛みやしびれが起き、指先が白くなります。これを胸郭出口症候群といいます。

 このように頚肩の痛みの原因は様々であり、強すぎるマッサージが悪化させる場合もあります。くれぐれも自己判断せず整形外科を受診し、適切な診断治療を受けることをお勧めします。