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ある雨の日、死にかけの子猫を見つけた。
まぁ視界に入った以上は無視は出来ない、
とりあえず拾って家に連れ帰る事に・・・・・・
その頃は彼女と同棲中だった為、
次の日、彼女が会社を休んで、
ネコを保健所に連れていく事になりました。
「ただいま~」と夜遅くに私が家に帰ると、
なぜか・・・・まだ家にネコがいる。
なぜだ?
事情を聞くと、
彼女が保健所にネコを連れて行った所、
「ネコはすぐ処分されてしまうよ?」
なんて事を言われたそうなのです。
(それは可哀想だ・・・)
そう思った彼女は、
そのままネコを持ち帰ってしまったそうなのです。
うーん・・・・・・
それは・・・・責めるに責められない。
恥ずかしながら保健所というのは
「新しい飼い主を探してくれる場所」
みたいに誤解しておりました。
・・・いやいや・・・・・
しかし我が家は賃貸マンション
ネコを飼うことは出来ない。
「誰か飼ってくれる人いないかな?」と言う彼女。
なので私は黙って知恵を出すために頭を振ってみる。
うん・・・・・
(ネコの引き取り手のアテは・・ある。)
まぁ実は考えるまでもなく、パッと思い浮かぶ。
そう・・・・あるんだが・・・・・・
それをやるべきかどうか?それが問題なのです。
営業マンだった私のお客様の一人に
「タチバナさん」という女性がいらっしゃいました。
歳は30半ば頃。
小さな雑貨屋さんを経営しておりました。
ある日、二人で世間話をしていると、
タチバナさんが
「ネットを光回線にしたい」とおっしゃった。
ありがたい!
すぐに契約書を取り出して、
記入してもらいました。
しかし・・タチバナさんのペンが
途中でピタッと止まったのです。
(気が変わったのだろうか?)
そしてタチバナさんは恐る恐るコチラを向くと
「これって工事の人が家の近くに来るんですよね?」
と妙な質問をしてくるのです。
「実は・・・うちには犬などのペットがもの凄い数いるんです」
とタチバナさんが話を付け加えます。
(ん?)
最初・・言っている意味がわかりませんでした。
話を聞くと、
実は・・・・タチバナさんは
捨て犬や捨て猫、引き取り手の無い動物を全て
自分の家に引き取っている奇特な方だったのです。
なので・・・・もし人が家に近づこうモノなら・・・・・
・・・とまぁ人が近づくと動物たちが吠え散らかしてしまい、
近所から凄まじいクレームが来るのだそうだ・・・
なるほど・・・・・それでは光回線の工事が出来ない。
そして・・・・その話を聞いてピンッと来ました。
(私はタチバナさんの自宅を知っている・・・・)
この近くに広い敷地を塀と木の板でぐるりと囲まれた、
失礼ながら「物凄い悪臭を放つ家」があるのです。
話を伺うと、やはりそこがタチバナさんのお家でした。
引き取り手のない動物を引き取るのは立派な事ですが・・・
あの悪臭からして、環境はあまりよくないのだろう・・・。
しかし・・・・・それでも私は、
タチバナさんを「凄い人」だと思いました。
やっている事が正しい、
正しくないという話は置いておいて、
出来ますでしょうか?
他の生き物の為に・・・そんな自己犠牲が?
ただ・・タチバナさんの人生の先に待っているのは、
どう考えても「破滅」だけのように思えました。
だってその「信念」を貫いたら、
無限に動物が増え続ける事になるんですよ?
本人も
「結婚も、旅行も、遊びも
何もかも、諦めました」
そのように言っていましたが・・・・
それでも生き方は変えられないのでしょう。
その後、タチバナさんからはたびたび
「引き取り手の無いウサギが3匹いるんだけど・・」
というような、里親探しのメールが
送られてくるようになりました。
モチロン私も協力して探します。
しかし・・・・里親はそう簡単には見つかりません。
そして後日「里親は見つかりましたか?」と連絡すると、
「見つからなかったので、自分で飼う事にしました!」
と恐ろしい事を・・・・サラッと言うのです。
これでタチバナさんは、
また破滅への道を1歩すすんでしまった・・・・。
そこでふと・・昔どこかで見た
サバンナの話を思い出すのです。
野生のライオンの子供が餓死しそうになっている。
しかしTVクルーは助けません。
なぜ?
それが野生の掟だから。
かわいそうですが・・・
人間がむやみに介入してはいけないのです・・・・。
・・・・・みたいな話でも、
タチバナさんがその場にいたら、
問答無用で助けちゃうんだと思います。
「サバンナの掟なんて関係ねぇ!」ってね。
たぶんね・・・・もちろんコレはダメなんですけど、
やっちゃうと思うんです。
タチバナさんは
善悪とか
常識とか
倫理観とか
損得とか
そういうモノを超越した所にいる気がするのです。
これが正しいって話じゃないんですけどね?
ん・・・いや・・どうかなぁ・・・
それは褒め過ぎかもしれませんね。ハハハ・・・。
・・・・・・・話を戻します。
死にかけのネコを拾ってから数日間、
懸命に里親を探しましたが、一向に見つかりませんでした。
忙しい私に変わって、
彼女が時間を作ってネコの世話をしてくれております。
ネコも元気そうです。
しかし、いつまでもこのマンションには置いておけません。
(どうする・・・?)
頭の片隅にタチバナさんの笑顔がチラつきます。
タチバナさんだったら・・・・
きっと笑顔で子猫を引き取ってくれるだろう。
しかし・・・それは
タチバナさんをまた一步破滅へ追いやる事になる・・・
そして・・・そこで飼われている動物たちも・・・
これはもう保健所へ連れていくしか無いのだろうか?
後編につづく
あああああああああああああああああああああムリ