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アウディA8でついに自動運転「レベル3」が実用化されるが…

消費者は「半自動運転」で満足なのか?

運転中に仕事や遊びができる

独アウディが来月上旬にお披露目する高級セダン「A8」(2018年発売モデル)で、「レベル3」と呼ばれる中間段階の自動運転技術が実用化される見込みだ。

自動運転は一般に「レベル1(ドライバー支援用の極めて限定的な自動運転)」から「レベル5(ドライバー不要の完全自動運転)」まで5段階に分類される。これまで米テスラや独ダイムラー、BMW、スウェーデンのボルボ、さらには日産自動車などが実用化してきたのは、どれも「レベル2」と呼ばれる段階の技術だ。

レベル2は基本的に「高速道」での利用を前提とし、そこでの車線キープや自動ブレーキなど一部運転を自動化できる。ただし自動運転中でもドライバーはハンドルに軽く手を添え、(急な天候の悪化や道路上のトラブルなど)何か問題が生じたときには必ず自分で運転できる態勢を整えておかねばならない。

日産自動車の「プロパイロットシステム」〔PHOTO〕gettyimages

レベル3では、そこからさらに一歩進め、高速道での「手放し運転」を可能にする。これによりドライバーは自動運転中に、スマホからメールを出したり書類を読んだりすることができる。あるいは気晴らしにビデオ・ゲームなどもできるようになる。

つまりクルマで移動中に仕事や遊びができる、かなり本格的な自動運転へと進化する(ただし各国の交通法などにより、技術的には可能でも実際には禁止されるかもしれない)。

問題は「運転の引継ぎ」

ただし、そこには懸念も存在する。ドライバーがそのように仕事や遊びに集中してしまえば、いざ路上で何らかのトラブルが発生して自分でクルマを運転する必要に迫られたとき、スムーズにその態勢へと移行できない恐れがある。

これは業界関係者の間で「handoff(引き継ぎ)」問題と呼ばれている。「クルマからヒトへと運転の引き継ぎが上手く出来ない(かもしれない)」という問題だ。

 

これについてマン・マシン・インタフェースの専門家らは、事故を起こさないよう安全に運転を引き継ぐためには、最低でもトラブル等が発生する10秒前にはドライバーに警告信号を発し、運転できるような態勢を促すことが必要と見ている。

こうした機能を実現するには、クルマが路上で起きるトラブル等を事前に予想するためのAI(人工知能)技術が必要とされる。今回、アウディが他社に先駆けて「レベル3」の実用化に踏み切ったということは、同社がそうした高度AIの開発に自信を深めていることを示唆している。