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 ティラーソン米国務長官は27日、国務省で会見し、中国が北朝鮮からの労働者を依然受け入れているとし、「中国は(北朝鮮との)共犯関係を終わらせる重要なステップを踏んでいない」と批判した。同省は世界の人身売買をめぐる2017年版の報告書で、中国を北朝鮮やシリアなどと並ぶ最低ランクにした。

 ティラーソン氏は、北朝鮮について「推計で5万~8万人の北朝鮮市民がロシアや中国で強制労働に就かされ、その多くは1日20時間も働かされている」と指摘。海外に派遣した労働者からの送金が数億ドル(数百億円)に上ると語った。米政府はこうした資金が核・ミサイル開発に使われているとみている。

 その上で、ティラーソン氏は「責任ある国家は、こうした強制労働の受け入れを許すべきではない」と述べ、中国を名指しで批判した。報告書は、中国では炭鉱や工場でも強制労働が行われていると指摘し、中国のランクを昨年より1段階引き下げ、最低にした。

 これに対し、中国外務省の陸慷報道局長は28日の定例会見で「米側が毎年このような報告を発表することに反対する」と批判。「相互尊重を基礎として、人身売買の問題で他国と国際的な協力を強めることには賛成」としながらも、「いかなる国も他国の内政問題を口から出任せに批判する権利はない」と主張した。(ワシントン=峯村健司、北京=西村大輔