【社説】韓国政府は原発工事を中断する前に脱原発を再考せよ

 原発の新規建設が中断されれば、技術の継承がストップし関連産業は一瞬にして崩壊するし、大学での技術者育成も当然進まなくなる。技術面で世界から後れを取れば、5年後に次の政権が発足した時に原発再開を目指したとしても、これを実現させるのは非常に難しくなるだろう。

 原発政策はエネルギー安全保障、環境、気候変動、未来における産業競争力などさまざまな側面から徹底して検討を積み重ねていかねばならない。これこそまさに「国家百年の計」であり、任期がわずか5年の大統領やそのわずかなスタッフの個人的な考えだけで決めるべきことではない。しかも韓国は周辺国と電力を融通し合える欧州諸国とは異なり、エネルギーという観点からは完全に孤立した島国で、電力調達に支障が出れば、国の経済全体が直ちにストップしてしまう。そのためこのような重大問題は専門家による議論や検討を何度も重ねた上で慎重に決めなければならず、たとえ多くの情報を提供したとしても、専門的な知識も経験もない「市民陪審員」に決めさせてはならない。エネルギー問題は裁判員制度のように市民に判断を任せるような問題ではない。政府はこの重大な問題を見栄えだけのパフォーマンスで取り扱う愚かな行為を直ちにやめるべきだ。

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