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 警視庁の捜査員が証人出廷した窃盗事件の公判で、GPS(全地球測位システム)端末を使った捜査が表面化しないように虚偽の証言をしていた。同庁が27日、偽証容疑で捜査していることを明らかにした。

 刑事総務課によると、この捜査員は捜査3課の30代の男性巡査部長。2014年に群馬県内で空き巣に入ったなどとして4件の窃盗罪などで起訴された被告の裁判で、東京地裁に出廷。弁護人にGPS端末を捜査で使用したのかを問われ、「使っていない」と答えた。地裁は昨年11月28日、被告に懲役3年の実刑判決を言い渡した。

 ところが、今年5月25日に開かれた控訴審の公判後、東京高検から同庁にGPS端末を使っていないか問い合わせがあり、上司が巡査部長に確認したところ、虚偽証言が発覚した。刑事総務課は「巡査部長は(捜査手法の)保秘徹底の範疇(はんちゅう)と思って誤った証言をしたと思われる。上司から(偽証の)指示はなかった」と説明している。

 GPS捜査については警察庁が06年、都道府県警に出した運用要領で、GPS端末の存在を捜査書類に書かない、取り調べでも明らかにしない、などと指示していた。