あなたが誰かをだましたりすると、その人は悲しむ。

 だまされたことで何か損を受けたから、
 その人は悲しんでいるのではない。

 その人がもうあなたを信じ続けられないということが、
 その人を深く悲しませているのだ。

 今までのようにあなたをずっと信じていたかったからこそ、
 悲しみはより深くなるのだ。   


 (『善悪の彼岸』より)