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記者の眼

「できない理由を完璧に言える」技術者は迷惑だ

木村 岳史=日経コンピュータ 2017/06/28 日経コンピュータ

 「ビジネスにイノベーションを起こすうえで必須の条件は何か」。こう聞かれたら、読者の皆さんは何と答えるだろうか。ITproの読者だから、ITを使った新規ビジネスやビジネスのデジタル化といった取り組みを想定して考えてほしい。もちろんイノベーションの条件といっても色々あるが、「これだけは絶対に必要」という、まさに必須の条件とは何だろうか……。

 実は、これ簡単。私は自信を持って答えられる。その条件とは「ロジカルに検討すると不可能との結論しかでない事に取り組む」である。市場調査をきちんと行い、そのデータを分析・検討した結果、ビジネスとして勝算ありと判断できるような取り組みなら、既にどこかの企業が実現しているだろう。そんなわけで「実現できたらすごい。でも、絶対にムリ」というものの中にしか、イノベーションは潜んでいないのだ。

 そう言えば、最新のITを活用することで金融にイノベーションをもたらすFinTechに関わる話題として、興味深い分析レポートがあった。日本銀行が2017年6月20日に発表した「モバイル決済の現状と課題」である。スマートフォンなどを用いるモバイル決済はFinTechの主戦場の一つだが、店頭でモバイル決済を利用する人は40歳代の16%が最高で、30歳代は14%、20歳代は12%にすぎない。

 日本は世界有数の現金決済社会であり、クレジットカードや電子マネーなどのカード決済比率もようやく2割に達した程度。現金使用率が2%にまで下がり、銀行のATMがどんどん撤去されているスウェーデンをはじめ、アリペイやウィーチャットペイが普及しモバイル決済の先進国となった中国などと比べると、“現金信仰”の強い日本はキャッシュレス決済で大幅に後れを取っている。

 この「モバイル決済の現状と課題」を読みながら、私は「これじゃ、日本のリテール決済分野でFinTechは成長できないかもしれないな」とうかつにも思った。「中国などでは現金を使わない若者が急増しているのに、日本の若者がこれじゃ……」というわけだ。だが、これこそ「ロジカルに検討すると不可能との結論しかでない」の最たるものである。それに有名な「アフリカに靴を売りに行ったセールスマン」の話そのものではないか。

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