シリアが「新たな化学兵器攻撃を準備」と米国 「重い代償」を警告
米政府は26日、シリアが新たな化学兵器攻撃を準備している可能性があると表明し、実施すればシリア政府は「重い代償」を払うことになると警告した。
ホワイトハウスは、4月初めの北西部イドリブ県攻撃の前と同じような行動が確認されたと発表した。米政府などはシリア軍がこの際に化学兵器を使用したと断定している。
米政府は、「アサド政権による新たな化学兵器攻撃」が実施されれば、「民間人が大量に殺害される」と警告。「従来から表明してきたように、米国はイスラム国を排除するためにシリアで活動している。しかしもしアサド氏がまたしても化学兵器を使用して大量虐殺を実施するならば、アサド氏と軍は重い代償を払うことになる」と強調した。
ニッキー・ヘイリー米国連大使は、もしそのような攻撃があれば、アサド政権を支えるロシアとイランも責任を負うと警告。「シリア国民がさらに攻撃されるようなことがあれば、アサドだけでなく、アサドによる自国民殺害を支持するロシアとイランも責められることになる」と大使はツイートした。
米メディアによると、ホワイトハウスの発表を国務省や国防総省の当局者は事前に知らされていなかった様子だという。
4月4日にイドリブ県の反政府勢力地域がサリンガスと思われるもので爆撃された際には、多くの子供を含む多数が死傷。しかし、アサド大統領は政府や軍の関与を「でっちあげ」だと否定した。
その後、米軍は4月7日にトマホーク巡航ミサイル59発で、西部ホムス県のシリア空軍基地をミサイル爆撃。米政府は、このシャイラート飛行場に化学兵器が保管されていたと説明した。
シリアをめぐっては、米軍主導の有志連合がシリア軍機を撃墜するなどの事態を受け、アサド政権を支援するロシアと米国の緊張関係が高まっている。
ロシア政府はこのほど、シリアにおける米軍と有志連合の飛行機は標的と見なすと通達している。
6年に及ぶシリア内戦で、これまでに30万人が死亡し、500万人以上が難民となった。
いわゆる「イスラム国」(IS)など過激派勢力は、内戦に乗じて広範囲にわたる領地を獲得している。
米軍主導有志連合の戦闘機は、ISの重要拠点ラッカへの進攻に備えるアラブ系民兵とクルド人民兵の連合を支援している。
(英語記事 US warns Syria over 'potential' plan for chemical attack)