【平均貯蓄1800万】東京や神奈川ではない意外な「おいしい」県がお金持ち
6月に夏のボーナスが出る方も多いと思いますが、金額の多寡はともかくとして、ボーナスが出ること自体うれしいものです。ボーナスの使い道は貯蓄や住宅ローンの返済のほか、夏休みの旅行の費用に充てるという方もいらっしゃるでしょう。
さて、今回は総務省統計局の「平成26年全国消費実態調査」から、各都道府県の貯蓄と負債の実態について見てみました。データを見ると「え? 自分の地元はこんなに貯蓄が多いのか! なんで都会に出てきたのだろう」と驚かれるかもしれません。
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貯蓄の多い都道府県は?
初めに「貯蓄」について定義をしておきます。ここでは2人以上の世帯における1世帯当りの貯蓄現在高の平均値を使用しています。また、貯蓄には預貯金(普通預金・定期預金など)のほか、有価証券(株式、債券、投資信託など)、さらに積立型の生命保険や個人年金なども含まれています(公的年金や企業年金は含みません)。
では、まず貯蓄が多い都道府県について見ていきましょう。
第1位は東京都で、貯蓄現在高の平均値は1,967万円です。東京都には大企業・上場企業の本社が集中しているため、そうした企業に勤務する役員や社員、中小企業のオーナー、医師、またそれらのOBなど、年収の高い(あるいは高かった)であろう層が居を構えていることは想像に難くありません。都心では生活費もかさむでしょうが、可処分所得が多いことなどもあり、1世帯当たりの貯蓄現在高で日本一というのはうなずけるところです。
第2位は神奈川県で1,904万円。こちらも東京都同様に上場企業や数多くの中小企業の本社所在地であるため、そこに勤務する年収の高い層が住む地域でもあります。東京都と比べても大きな差はありません。
第3位は若い人も貯蓄のある日本海側の県がランクイン
第3位は福井県の1,856万円。この結果は意外だと思われる方も多いのではないでしょうか。これには様々な要因があるでしょうが、1つあげられるのは3世代同居率の高さです。2010年の「国勢調査」では3世代同居率が全国で2番目に高く、約18%が3世代世帯となっています(参考:全国7%、東京都2%)。
3世代世帯とは、たとえば、自分と父母、祖父母が同居している世代です。3世代で同居すれば、生活費も効率化できるでしょう。結果、貯蓄も貯まりやすいのではないでしょうか。実際、東京都と福井県の35歳未満の貯蓄現在高の平均値を比べてみると、東京都が523万円なのに対して、福井県は638万円です。この差は大きいですね。
本当の豊かさは「ネット貯蓄」で見たい
ここまでは貯蓄を見てきましたが、その一方で住宅ローンなどを抱えている人には負債も存在します。本当の意味での金銭的な豊かさは、貯蓄から負債を引いた「ネット貯蓄」を見る必要があります。
関東のネット貯蓄を見ると神奈川県が1,186万円、東京都が1,178万円、千葉県が1,177万円となり、必ずしも貯蓄の多い東京が一番というわけではありません。
年収が多く貯蓄を貯めやすい環境にはあるものの、価格の高い戸建てやマンションなどを住宅ローンで購入すると負債が大きくなるため、貯蓄と資産を差し引きしたら負債超過という若い世代もめずらしくないのです。
別名「○○○」県、意外な県のネット貯蓄が高い
さて、先ほどは貯蓄が多い都道府県について述べましたが、その上位10都道府県の中からネット貯蓄が多い都道府県を見てみましょう。
すると、第3位は和歌山県の1.356万円、第2位が福井県の1,398万円。そして第1位が1,520万円で香川県でした。
そう、「うどん県」こと香川県がネット貯蓄の一番高い県だったのです。東京都の1,178万円と比較してもその水準の高さが見て取れると思います。
ちなみに、貯蓄上位10都道府県におけるネット貯蓄の3位以降は、第4位が奈良県、第5位が富山県、第6位が愛知県、第7位が三重県、第8位が神奈川県、第9位が東京都、第10位が千葉県となっています。
貯蓄の少ない県は?
最後に貯蓄の少ない県について見ておきます。
貯蓄の少ない県の第3位は鹿児島県の948万円、第2位は青森県の862万円、第1位は沖縄県の575万円です。鹿児島県と沖縄県はそれぞれ農業が盛んな地域ですが、本州において首都圏からもっとも離れた「県」というのが印象的です。
また、先ほどもふれたネット貯蓄では、鹿児島県が434万円、青森県が471万円、沖縄県が87万円となっています。沖縄は貯蓄も少ない一方、負債もあるためにネット貯蓄が少なくなっています。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。貯蓄と負債からは都道県別の格差も見えてくるのではないでしょうか。
少子高齢化に伴い労働人口が減少していく中、地方創生が叫ばれる一方、都心回帰を進めることで都市の効率化を訴える人もいます。
ただ、あくまでも一つの切り口ではありますが、貯蓄と負債の「平均値」という統計上の数字を見ると、実際には必ずしも首都圏が豊かだというわけではありません。平均した富は地方の方が魅力的にも見えます。
「働き方改革」の議論が盛んになっていますが、子供を持つ世代には単純にテレワークで家で働けるというだけではなく、安心して子守りを任せられる父母や祖父母が近くに住んでくれている方が、よほど気分的にゆとりをもって生活できると感じている人もいるのではないでしょうか。
夏休みに実家に帰省してみた時に、あらためて故郷のおカネ事情について考え直してみても面白いかもしれません。
投信1編集部