金膜写真 金の膜でできた写真

金膜写真とは

金膜写真とは

金微粒子写真を焼成すると、支持体のゼラチン膜が燃えて無くなり、金微粒子は溶融して基板上に金の膜を形成します。金微粒子の像をそのまま金の膜に変換した金膜写真となります。
金膜写真は、金の膜のみからなる画像なので、化学的にきわめて安定で、超長期に写真を保存することが可能となります。
金膜写真でも高解像度は保持されています。




 

金膜写真の作製方法 1

金膜写真の作製

像の作成・露光

 金膜写真の作製には耐熱性を持つ基板の銀塩写真感光材料、例えばガラス乾板を用います。
が、現像法を改良した金沈着現像法により金微粒子分散膜からなる写真像を作製後、焼成して金微粒子を融解し、金の膜の像とするものです。

 この方法の概要を以下の図を交えて示します。

工程1jpeg









 銀塩感光材料は基盤となるプラスチックフィルムや、紙、ガラス板の上に塗られたゼラチン膜中に感光物質であるハロゲン化銀の微小な粒子が分散した構造をしています。
光が当たると感光性のあるハロゲン化銀粒子中で光化学変化が起こって、潜像核という数個から数十個の銀原子からなる小さな核ができます。

 

金膜写真の作製方法 2

金沈着現像

金沈着現像・焼成法の紹介

 次に現像という手段で光が当たった部分に目に見える像を形成します。通常の写真法では潜像核が触媒として働いて、ハロゲン化銀粒子が還元されて銀の粒子になります。

 金沈着現像法では現像液の代わりに金イオン錯体の溶液に浸します。すると潜像核がやはり触媒となって金イオン錯体の分解が起こり、潜像核の上に金微粒子ができます。

工程2jpeg

 

金膜写真の作製方法 3

定着

金沈着現像・焼成法の紹介

 続いて通常の写真処理と同じく定着処理をすると、ハロゲン化銀はすべて溶解除去されて、金微粒子だけが残ります。これで金微粒子からなる写真画像が出来ます。

工程3jpeg

 

金膜写真の作製方法 4

焼成

金沈着現像・焼成法の紹介

 次にこの金微粒子からなる像を電気炉中で600-900℃で焼成します。ゼラチン膜はすべて燃えて無くなります。金微粒子は溶融して互いにくっつき、ガラス基盤上に金の膜を形成します。金の膜からなる画像のできあがりです。この写真像はガラス基盤上の金の膜からなっており、化学的にきわめて安定です。これは半永久的な写真画像の保存法ともなるものです。耐久性が要求される屋外等での写真の展示技術としての応用も考えられます。

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高解像度という特質

金沈着現像高解像度という特質

 さらにこの方法は銀塩感光材料の持つ高解像度という特質を保持しています。
1mmの間隔に4000本の線が引けるという、とても高い解像度が確認されました。
原子間力顕微鏡(AFM)で観察した金膜の縞の像と断面図を次の図に示します。
最小で250nmの間隔の縞模様が刻まれています。
デジタル写真のシステムでは、ここまで細かく記録できません。


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特許申請

特許申請

 この金膜写真を作る方法は、私たちがまったく新たに考案した独創的なもので、類似の方法はありません。これら金膜写真とこれを応用した金膜ホログラムの作製方法について、2004年に次のような特許を出願しました。

1.「基盤に固着した貴金属膜からなる写真画像」2004年
2.「基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子」2004年


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