ダムの観光放流 下流に事前連絡を 事故受け国交省が通知

ダムの観光放流 下流に事前連絡を 事故受け国交省が通知
新潟県が管理するダムでサイレンなどで告知しないまま観光客向けの観光放流が行われ、下流で遊んでいた親子が流されてけがをした事故を受けて、国土交通省は全国のダムを管理する都道府県などに対し、ダムを操作する規則に「観光放流」を明記するとともに、放流を行う際は下流側に情報が事前に伝わるよう求める通知を出しました。
今月17日、新潟県新発田市にある県が管理するダムで、観光客向けの観光放流を行ったところ、下流にあたる加治川が増水し、中州で遊んでいた45歳の母親と9歳の息子が流され、けがをしました。

この事故について国土交通省は、新潟県のダムを操作する際の規則の中に「観光放流」についての記載が無かったことがあいまいな運用につながり事故を招いたとして、27日、全国のダムを管理する都道府県や国土交通省の地方整備局の担当者などに対し、ダムを操作する規則に「観光放流」を明記するよう求める通知を出しました。

また、観光放流は大雨の際の放流とは異なり、下流側の人たちが水位の上昇を予想しにくいとして、通知ではレジャーで訪れている人など川の利用者がどこにいるのかなどについて、自治体と情報を共有したうえで事前に告知し、下流側に情報が確実に伝わるよう求めています。

観光放流 一層の安全管理が必要

観光放流は、ダムを訪れた観光客向けに行われるもので、大量の水が一気に流れ出す様子が迫力があることなどから、大規模なダムを中心に観光客の人気を集めていて、都道府県だけでなく国が管理するダムでも定期的に行われています。

こうしたダムなどのインフラを利用して観光客を呼び込もうという取り組みは「インフラツーリズム」と呼ばれ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人観光客の増加を目指している国もホームページなどで紹介しています。

ただ、大雨でダムの水位が高くなった際に緊急的に行う「緊急放流」や大雨に備えてあらかじめダムの水位を下げるための「事前放流」などとは異なり、「観光放流」は大雨などのおそれのない天候のよいときに行われることが多く、下流側にいる人たちが水位の上昇を予想しにくいため、国土交通省は今回の新潟県の事故を受けて一層の安全管理が必要だとしています。