豪雨の予測精度向上へ 地上付近の水蒸気を継続調査
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局地的な豪雨の要因を探るため、気象庁の気象研究所は、上空1キロ程度までの地上付近の水蒸気の量を継続的に調べる初めての観測を始めました。3年前の広島市の土砂災害などもこの高さに流れ込んだ水蒸気で積乱雲が急速に発達したと考えられていて、豪雨の予測精度の向上につながると期待されています。
観測を始めたのは気象庁気象研究所の永井智広研究室長のグループで、「ラマンライダー」と呼ばれる特殊な機械を神奈川県茅ヶ崎市の海岸付近に設置しました。
上空に光を発射し、散乱の度合いによって上空1キロ程度までの地上付近の水蒸気量を調べていて、研究グループによりますと、豪雨の予測のためにこの高さの水蒸気の量を継続的に観測するのは初めてだということです。
上空1キロ程度までの水蒸気は雲の下に次々と流れ込むため、積乱雲が急速に発達したり、線状に連なったりする原因となっていることが最近の研究でわかっていて、3年前の広島市の土砂災害をもたらした豪雨なども、このメカニズムで起きたと考えられています。
研究グループは、今後、東京湾周辺などでも観測を行い、局地的な豪雨の予測精度の向上につなげることにしています。
永井研究室長は「これまでは地上付近の水蒸気の量をきちんと観測する装置がなかった。この高さの水蒸気を事前に観測することで豪雨の予測精度を上げていきたい」と話しています。
上空に光を発射し、散乱の度合いによって上空1キロ程度までの地上付近の水蒸気量を調べていて、研究グループによりますと、豪雨の予測のためにこの高さの水蒸気の量を継続的に観測するのは初めてだということです。
上空1キロ程度までの水蒸気は雲の下に次々と流れ込むため、積乱雲が急速に発達したり、線状に連なったりする原因となっていることが最近の研究でわかっていて、3年前の広島市の土砂災害をもたらした豪雨なども、このメカニズムで起きたと考えられています。
研究グループは、今後、東京湾周辺などでも観測を行い、局地的な豪雨の予測精度の向上につなげることにしています。
永井研究室長は「これまでは地上付近の水蒸気の量をきちんと観測する装置がなかった。この高さの水蒸気を事前に観測することで豪雨の予測精度を上げていきたい」と話しています。
上空の水蒸気と局地的豪雨起きた例も
気象庁の気象研究所の研究グループは、過去にも上空1キロ付近までの比較的低い高度に流れ込んだ大量の水蒸気が原因で、局地的な豪雨が起きた例があると指摘しています。
このうち、3年前、平成26年8月の広島市の土砂災害では発達した積乱雲が線状に連なる「線状降水帯」ができたことで同じような地域に猛烈な雨が降り続きました。わずか3時間で平年の8月1か月の1.5倍にあたる、200ミリ余りの雨が降り、広島市の安佐北区や安佐南区の160か所以上で土石流や崖崩れが発生しました。この災害のあと、気象研究所の研究グループが当時の気象データを詳しく解析したところ、猛烈な雨が観測される数時間前以降、広島市の地上から500メートル付近までの上空に豊後水道から大量の水蒸気が流れ込み、積乱雲を急速に発達させたと見られることがわかりました。
また、5年前、平成24年7月の九州北部豪雨でも、熊本県や大分県、福岡県などの地上から500メートル付近までの上空に大量の水蒸気が流れ込んで「線状降水帯」が形成され、記録的な大雨となったと分析しています。
このため研究グループは、地上から1キロ付近までの水蒸気の量を詳しく調べることが局地的な豪雨を予測する重要なポイントになると指摘しています。
このうち、3年前、平成26年8月の広島市の土砂災害では発達した積乱雲が線状に連なる「線状降水帯」ができたことで同じような地域に猛烈な雨が降り続きました。わずか3時間で平年の8月1か月の1.5倍にあたる、200ミリ余りの雨が降り、広島市の安佐北区や安佐南区の160か所以上で土石流や崖崩れが発生しました。この災害のあと、気象研究所の研究グループが当時の気象データを詳しく解析したところ、猛烈な雨が観測される数時間前以降、広島市の地上から500メートル付近までの上空に豊後水道から大量の水蒸気が流れ込み、積乱雲を急速に発達させたと見られることがわかりました。
また、5年前、平成24年7月の九州北部豪雨でも、熊本県や大分県、福岡県などの地上から500メートル付近までの上空に大量の水蒸気が流れ込んで「線状降水帯」が形成され、記録的な大雨となったと分析しています。
このため研究グループは、地上から1キロ付近までの水蒸気の量を詳しく調べることが局地的な豪雨を予測する重要なポイントになると指摘しています。