ステイゴールド 善戦マンから名種牡馬へ:愛すべき名馬・迷馬列伝(3)

ステイゴールド

またしても競馬ネタです(笑)。

お仕事でお疲れの時やネタがない時は競馬ネタなんです。なんてったって記憶をたどって書くだけなので非常に楽なんです!そう、この愛すべき名馬・迷馬列伝シリーズというのは僕が思考停止で記事を書ける絶好のネタなんですよね(笑)。

ということで第三回目の名馬・迷馬列伝シリーズは、馬券予想でも有力馬のお父さんとして度々出てくるステイゴールドです。(画像引用:JBISサーチ「ステイゴールド」より)

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ステイゴールドと言えば先日(と言っても2年前の2015年2月)に21歳で亡くなってしまいましたが、今の若い競馬ファンのイメージとしてはオルフェーヴルドリームジャーニーなどを輩出した名種牡馬の一頭だと思いますが、僕らの世代にとってはナイスネイチャやマチカネタンホイザ、メイショウドトウ(古いな)などの系譜につながる気付いたら二着や三着にきているTHE善戦マンでした。

そんな一番になれなかったがアイツが今やディープインパクトにつぐサンデーサイレンス系の名種牡馬になって、あっという間に天国にいっちゃう(ただ21歳なら少し早いですが十分寿命って感じもします)なんて感慨深いものがありますが、今回は波乱万丈の現役時代からまさかの名種牡馬に上り詰めたステイゴールドを取り上げてみたいと思います。

ステイゴールドの現役時代

ステイゴールドは1996年の12月、2歳(馬齢は現在の表記に合わせます)でのデビューは間に合いましたが他の馬より少し遅めのデビューを飾ります。彼の現役時代を振り返る前にこの世代にどんな馬達がいたか振り返ってみると

1994年生まれのGⅠホース

  • サニーブライアン(皐月賞、日本ダービー)
  • マチカネフクキタル(菊花賞)
  • メジロブライト(天皇賞・春)
  • シルクジャスティス(有馬記念)
  • サイレンススズカ(宝塚記念)
  • タイキシャトル(マイルCS(2回)、スプリンターズS、安田記念、ジャック・ル・マロワ賞)

他にもメジロドーベルやキョウエイマーチ、シーキングザパール、マイネルマックス、メイセイオペラ、ダイタクヤマト、ブラックホーク、ゴッドスピードなどがいますが、サイレンススズカという伝説の名馬(次あたり取り上げます)が名をつらねているものの、正直メンツだけ見て思い出してみると、印象としてはこの世代のレベルはあまり高いとは言えなかったというような気がします。

世代の代表格はやっぱりこの中だとタイキシャトルもしくはサイレンススズカでしょうが、長距離というよりも短・中距離に良い馬がいた世代ですね。

大器晩成・・・でも勝ちきれない

ステイゴールドは2歳でデビューしますが、体が出来あがってないこともあり、秋の菊花賞(GⅠ)には間に合いますが結局3勝の身で挑んだこのレースはマチカネフクキタルの8着に沈みます。

この菊花賞のあとは古馬とのオープン(一番上)のレースに出走し、二着を四回繰り返し本格化の気配を見せた後、日経賞4着を経て春の天皇賞に挑み10番人気ながらメジロブライトの2着に入り、その力がGⅠでも通用することを証明します。ここからがステイゴールド伝説?のスタートです。

その後のステイゴールドではGⅡやGⅢの重賞どころかGⅠの舞台でも立て続けに好走してGⅠだけでも2着四回3着二回の成績を残し、重賞レースでは常に主役の一頭でした(いつもレースに出てたイメージがあります)。

ただですね、3歳時に条件レースを勝ってから目黒記念(GⅡ)で4勝目をあげるまで、2年8か月かかります。だからこの当時ガッツリ馬券を買っていた僕ですが、安心してこの馬で頭(1着)はないとしっかり分析していた僕の収支は安定していましたね(笑)。馬券的にはこれ以上ない買いやすい馬でした。

ちなみにステイゴールドですが、6歳で目黒記念を勝つまでは重賞で2着を繰り返していたので賞金はしっかり稼いでおり身分はオープン馬でしたが、重賞未勝利だったのでプロフィールは主な勝鞍なし(もしくは阿寒湖特別:条件戦)というネタ感満載の馬でした(笑)。

その後日経新春杯も勝ち、国内では5勝をあげますが、結局この馬は国内GⅠ未勝利でその現役を終えます。しかしながら国内48戦で稼いだ賞金額はなんと7億6千万円と名馬級の賞金を稼いでいました。

当時の最高獲得賞金額がたしかメジロマックイーンの10億数千万だったはずですから、いかに重賞レースで好走していたかが分かるでしょう。

結局、ステイゴールドの日本国内での通算戦績は7歳まで走って、5勝二着12回三着8回四着以下23回という成績でした。また海外遠征は二回行っておりドバイと香港ではいずれも1着となっており国内とは全く別の顔を見せています。

香港では昨日(2017年6月24日)の宝塚記念を制したサトノクラウンも勝ったことがある香港ヴァース(GⅠ)を現役最後のレースで勝利しており、GⅠホースとして種牡馬入りします。

気性難についてのエピソードは満載

競走成績から国内GⅠ未勝利でありながら人気のあったステイゴールドですが、戦績以外にも色々なエピソードが残っており、そういった点でも現役時代は記憶に残る馬でした。

それが下のようなエピソードです。

  • 3歳時の未勝利戦でコーナーを馬が曲がらず熊沢騎手落馬(当然競争中止)
  • 条件戦でレース中に他の馬を嚙みつきに行き2着に敗れる
  • 馬場入りなどで騎手を落馬したり、落馬させようとするので乗り手は戦々恐々
  • 小柄な馬体(420~430キロ)ながら厩務員などにも襲い掛かってくるぐらい狂暴

以上のように気性の粗さを現すエピソードが豊富なところは父サンデーサイレンスにそっくりですし、子供のオルフェーヴルにもしっかりとその血は受け継がれていますね。

ちなみにサンデーサイレンスの父ヘイローも人を噛み殺そうとしていたことがあるのは有名ですし、サンデーサイレンスの母Wishing Wellも狂っていると言われていたぐらい気性が荒かったそうです。

ステイゴールド第二章 名種牡馬へ

血統

個性的な走りからファンの多かったステイゴールドですが、当時でも実はかなりの良血馬と言われていました。

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛 アメリカ

Halo
1969 黒鹿毛 アメリカ
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975 鹿毛 アメリカ
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

ゴールデンサッシュ
1988 栗毛 日本

*ディクタス
Dictus
1967 栗毛 フランス
Sanctus Fine Top
Sanelta
Doronic Worden
Dulzetta
ダイナサッシュ
1979 鹿毛 日本
*ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
*ロイヤルサッシュ
Royal Sash
Princely Gift
Sash of Honour

(Wikipediaより)

父サンデーサイレンスはもはや説明不要でしょうが、母ゴールデンサッシュがかつてのマイルの個性派で人気のあったサッカーボーイの全妹です。

今となってはという話になりますが、当時を振り返ると父サッカーボーイやその父ディクタス産駒がマイルを得意としていたために、ステイゴールド自身も当初は距離不安も囁かれていました。

これはサンデーサイレンス産駒も世に出始めたばかりでマイルから中距離タイプが合っているだろうと推測されたという理由もありますが、若い競馬ファンからするとステイゴールドに距離不安があったというのは今となっては信じられない話でしょう。

ただ僕が当時穴のあくほど読んでいた田端至さんなどが書いていた「パーフェクト種牡馬辞典」(確か20年前でも2800円ぐらいしてた)ではこのディクタスの系統は”今でこそマイラーの産駒が多いが元々長距離血統なので別に天皇賞・春を勝つような産駒が出てきてもおかしくない”と書いていたので、その予言ぶりはさすがだなと思ってしまいますね。(僕の血統イメージはこの本からほとんど来ています)

爆発力で言えばディープインパクトより上

現在ディープインパクトが種牡馬ランキングの首位を独走していますが、ステイゴールドはすでに亡くなっていることもありますが、最高でも3位など僕のイメージほどランキングは上位にきていませんし、重賞の勝馬数も断然ディープインパクトに劣ります。

しかしながら安定して毎年GⅠホースを生み出すディープインパクトに対し、そのGⅠホースの質や存在感では圧倒的にステイゴールド産駒のほうが上でしょう。

オルフェーブル、ドリームジャーニー、ゴールドシップなどGⅠ3勝以上している馬が三頭いますが、それに対しディープインパクトは現在の所ジェンティルドンナただ一頭と、産駒一頭あたりのインパクトでは劣ります。

他にもGⅠホースを何頭か生み出していますが、最高の花嫁が集められているディープインパクトに比べるとその質は若干ですが落ちるはずですし、いかに種牡馬としての能力が高かったかが分かります。

ステイゴールド産駒の特徴

すでにステイゴールド産駒が亡くなっているため、産駒は減る一方ですが、僕なりの馬券的解釈を書いておきますと、やはりみなさんのイメージと同じく阪神競馬場や中山競馬場など直線に坂のある競馬場を得意としたヨーロッパ型の種牡馬だと思います。

おそらく母の父サッカーボーイやディクタスの影響が色濃くでているのでしょうが、決め手はあるもののスローペースのヨーイドンで勝負するタイプではなく、最後の踏ん張りで勝負するタイプだと思いますので、東京競馬場開催のGⅠでは時計がかかるような馬場にならなければ基本的に買えないと思います。

また気性的には難しいと思いますのでキングカメハメハ産駒のようにレースに行って自在性を発揮するような器用さも欠けると思いますし、多少展開に左右される産駒が多いのもこのせいではないのでしょうか。恐らく今年産駒がデビューするオルフェーヴル産駒も似たような傾向になるでしょうね。

後継種牡馬オルフェーヴルに期待

最後にステイゴールドはオルフェーヴルというディープインパクトクラスの超大物を送り出した他、ナカヤマフェスタやドリームジャーニー、ゴールドシップなどのGⅠホースを送り出しています。

現在ディープインパクトを始めとするサンデー系種牡馬の血を引く産駒が飽和状態にあるため、この系統も前途洋々とはいかないとは思いますが、近年最強馬の一頭に数えられるオルフェーヴルがこの狂気の血を引く系統を発展させることに期待したいと思います。

いやーしかし二十年前の人はステイゴールドの子供からGⅠホースが次々産まれるとは思わなかったでしょうね(笑)。