これを書いた増田です。
今回のタイトルにした「感情的」とは、喜怒哀楽が激しい、口が悪い、論理性が欠けているという意味ではありません。
私が「オタクはリベラルを嫌う」と書いたら、ブコメの方ではなぜか、「オタクはリベラルを不支持」と誤読されていました。こんなふうに誤読されるのは、「嫌悪の感情」→「不支持」と結びつけて考えている人が多いからでしょう。
しかし、人は自分の感情だけに従って政治信条を決めるのではありません。ときには自分の感情に逆らって、正しいと思うことを支持する場合があるはずです。
ゲスの勘ぐりになりますけど、「嫌悪の感情と不支持をイコールで結びつけるのは、あなたたちがそういうタイプの人間だからじゃないですか?」と言ってやりたくなります。
これはリベラルに限ったことではないから、あまり悪口みたいにして言いたくはないですが、好き・嫌い、快・不快の感情に衝き動かされて政治活動をしている人は多いでしょう。
「リムジン・リベラル」に感じる欺瞞の一つは、多分そこにあって、セレブたちはリベラル思想を主張するのがさぞかし快感だろうなと思うのです。華々しい壇上でスピーチすることで、セレブたちはきっと自己肯定の快感を得ているはずですし、自分を売りだすための商業的宣伝にもなるから一石二鳥です。
(これは前回に書いた話で、リア充が得意げにリベラル思想を語ってみせる問題にも共通です。)
id:agricola リベラルにとって表現の自由は数多ある権利の一つという位置づけなので、他の権利との衝突で表現の自由が制限されることもしぶしぶ容認するし、いやいやながら手を貸すこともあるわいな。わがままな片思い乙(嘲
これはスターの付きまくっている人気のコメントなんですけど、「しぶしぶ」「いやいや」って何? それ、あなたの感情ですよね?
オタクの自由を制限する側に立っているリベラルが、自分自身のやろうとしていることに反感を持っているのです。それなのに、自由を制限される側にいるオタクが反感を持ったらダメだなんて、そんなふざけた話がありますか。
他には、こんなブコメもあって、これなんかはほんと、人のふり見て我がふり直せの典型例です。
id:IkaMaru 「自分たちは気分で政治を選びたいんだ。放っといてくれ」というならもうどうしようもないけどさ。そんなんで世の中の平均よりも知に軸足を置いたクラスタのつもりでいるならお笑い草だよ?
リベラルの中には、「オタクがリベラルに逆らってきたから、俺たちはオタクを助けてやらない」と言っている人たちもいます。そこまで露骨ではなくても、オタクのことを嫌っていて、助力することには消極的になってしまう人もいるでしょう。
自分が感情的になっていることは気づきにくく、他人の感情ばかりが目につくのは、人間の心理がよく陥ってしまう陥穽です。リベラルの論者にもその傾向は少なくないと思う次第です。
例えば先日のクジラックスの件に触れておくと、警察が漫画家の個人宅を訪問して異例の"要請"をおこなったことの是非と、表現規制の是非は、それぞれ別の問題です。
表現規制が必要という立場の人は、本来ならば法律やガイドラインを作ってそれを行うという道理を曲げ、今回の警察のやり方を容認しやすい傾向にあります。また、もし警察のやり方を容認しない立場を取るとしても、抗議の声をあげることには消極的になってしまう傾向があります。これは感情に流されて政治方針を変えたせいです。
もちろん、警察のやり方は違法ではないからと、それを容認する立場もあるでしょう。今後はいかなる場合もこの道理を通し、オタク以外がこれと同じ仕打ちを受けてよいというならば、それはそれで感情に動かされない一貫性があるとは言えます。
(私はべつに「感情的だからダメだ」と断ずるものではありません。感情に流されて政治方針を変えることの是非だとか、感情が政治信条の決定に際してどう影響するかとか、そのへんの問題を論じるだけの力はありません。そこはパスさせてもらいます。)
もう一つ、「お前はリベラリズムを正しく理解していない」というコメントも多かったです。
例えばこれ。
id:tick2tack なんだこれ。「僕の考えたリベラル」感がすごい増田。とりあえずリベラル語るなら社会的公正というとこから始めるべき
id:daisya リベラルの定義が間違ってるんじゃねーの、私もよく知らんけど。自由っつーなら昔の大金持ちはめっちゃくちゃ自由に生きとっただろう、人を殺しても問題にならないぐらいに。
いわく、リベラルは自由放任主義と違って、社会的公正の概念を用いる。
自由同士が衝突するときは調整するべきだから、リベラルにとって表現の自由は絶対のものではない。
――それくらいのこと、百も承知ですよ。前回のエントリでは、リベラル=自由放任主義なんてことを言っていません。私はリベラルが「自由」の価値を重んじていると書いただけです。
例えば社会的公正にしたって、自由同士が衝突したときの調整機能にしたって、リベラルがなぜそんな厄介な方法を用いるかと言えば、真の意味での自由を実現するためにそれが必要だと考えているからでしょう。
自由放任主義はかえって自由を阻害するからダメ、というのがリベラルの立場です。
これは結局のところ、リベラルが自由の価値を重んじていて、その価値について熱弁をふるう性格を有するということなんです。
id:Arturo_Ui 「"自由"を無制限に拡張すれば他者の"自由"と衝突してしまう。何をどこまで認めるか、社会的議論が必要だ」って前提を共有できないなら、問題は「リベラルの不寛容」ではなく、「オタク側のヘタレぶり」じゃないの?
リベラルは自由の調停者として誠実にふるまっているつもりなんでしょうが、それによって自由を制限される側は、どうしても調停を受けること自体を嫌がる傾向にあります。意見をまったく聞いてもらえずにバッシングされるんじゃないかという危惧もあります。ヘタレと言われようが何だろうが、それならば調停を拒否してゴネる方が得策です。
もしかしたらこの点は、リベラルの立場にいる論者は見落としてしまうことかもしれませんけど、リベラルが主張しているその"前提"とやらを、社会のすべての構成員が従順に受け入れるとは限りません。極論を言うと、「リベラルが勝手に唱えている"前提"なんか知らないよ」と言って黙殺する政治的立場もあります。
あるいは、おおよそは基本的にこの"前提"を共有している人だとしても、いざ自分の利益が損なわれるとなると、猛烈に反発することの方がむしろ普通だと思います。調停をする側・される側が多少はおたがいを分かり合えることはあったとしても、完全な調和・同化はできないのです。
それから、「自由同士が衝突しあって調停が必要なほど深刻な事態になっている」という現実認識にも根本的な差異があります。オタクは自分たちが一方的なイチャモンをつけられたと思っているので、自由を調停するだの、そのために議論するだの、現時点ではそんな必要がないと考えているわけです。
リベラルが言うところの「自由同士が衝突したときには調停が必要だ」という一般論が正しいとしても、「今がその状況だから調停が必要なんだ」という現実認識が常に正しいとはかぎりません。
リベラルは、特に問題ないようなことを大げさに騒ぎ立てているチンピラとは何が違うんですか? 例えば、あるリベラルの論者が自分自身のことを誠実な調停者だと思いこんでいたとしても、客観的に見れば、そいつは調停不要のところに因縁をつけているだけのチンピラという場合もありえます。調停者がチンピラだから話を聞いてもらえないのか、それとも調停を受ける側が身勝手な理由でゴネているのか、どちらの側に道理があるのかは一概に言えません。ケース・バイ・ケースでしょう。
月並みな結論になりますが、リベラルは調停者になるために誠実性をもっと追究しなくちゃいけませんし、オタクはリベラルが正しい事を言っているときには"社会的議論"に応じなければなりません。おそらくそれが、(リベラル的な意味では)最も理想的なあり方です。
しかし、相互に信頼関係が欠如しているし、リスペクトが欠如していることも多いから、そういう形にもっていくのは難しいと思います。
余談
ところで、一部のオタクは「表現の自由」を絶対的なものだと叫びまくっていて、リベラル側から「表現の自由戦士」と揶揄されているようです。私もああいう連中のことは理解できません。
そもそも、オタクは、すでに表現規制を受けています。性描写のあるものは成人指定になっていてゾーニングしないといけないし、商業誌には自主規制があるので、そこで出版できないものは同人誌に追いやられてしまいます。
実在する人物・団体を馬鹿にするような漫画を作ると、それは名誉毀損で訴えられる恐れがあります。
街や職場でところかまわずにポスターを貼ったとすれば、景観条例やら、セクハラやら、そういった法律にひっかかって処罰対象です。性器表現にはモザイクがかかっているし、青少年健全育成条例やら何やらがあるので、いろいろと国家権力から規制されまくっているんです。
自分たちがこの規制の枠内にとどまることで社会と共存できているという現実を無視して、表現の自由は絶対的なもの、表現規制はすべてが悪いものだと主張しているオタクは、いったいぜんたい何のために戦っているのか意味不明です。
また逆に、リベラルの論者が既存の規制について評価・再検討するというプロセスをすっ飛ばして、いきなり「規制が必要」とかいう話に持っていこうとするのも度々見かけます。オタクが完全に野放しの猛獣だとでも思っているのでしょうか。現状認識を怠っているという点では、これも同じくらいにアホだなって思います。
追伸
(id:coldsleepfailed、id:quick_past、id:tick2tack、id:IkaMaru、id:agricola、id:k-takahashi ←前回のエントリ内で、追記を書いて返信ました。
くたびれはてこid:kutabirehateko のことは、別のエントリを立てて書きました)
追記 6/25 22:48
id;quick_past レイティングやゾーニングを表現規制だと言われるともう話のしようがない。完全なる自由は誰かの自由を奪うという矛盾がはらんでいる以上、あとは住み分けを目指すしか無いって事以上おいらには出せない。
え、こいつは何を言ってんの? レイティングやゾーニングは、まぎれもなく表現規制の一種じゃん。
まあいいや。仮にそれらを規制ではないという話にするなら、リベラルの中から出てくる「"規制"が必要だ」っていう意見は本当に恐ろしい。
なぜって、オタク側がめちゃくちゃ頑張ってゾーニングの成果を出してみたところで、リベラル側はぜったいにオタクが"規制"を受け入れたことを評価してくれないんですからね。この理屈でいくと、オタクが表現活動をやめるか、表現物の内容を変えないと、リベラルは絶対に許してくれないってことになりますよ。
いつも小馬鹿にして下に見て遊んでるネトウヨなんかと同じような思考回路なんだよな。 ただ向いてる方向が違うだけ。
いつもどおりだけど、2つプライベートモードでブックマークwwwwwwww
正確に言い直すと、「保守派とリベラルの両方に表現規制派がいるのに、リベラルだけがオタクから嫌われる理由」である。 結論を最初に書くと、それはリベラルが"自由"を重ん...
はてサはサヨクでオタクだけどどういう理屈なの。
リベラルで、かつ表現規制に反対の人ならば、おなじリベラル側から出てくる表現規制の推進派を苦々しく思ってそうだぞ。 はてサは自分がリベラルだからこそ、リベラルに失望し...
ようは男が悪い
でもオタクってセンズリの自由を謳っても 他の表現の自由は平気で抑圧するじゃん 他の国じゃあって当たり前の与党&政治家批判なんてすぐ炎上するし 「存命の」天皇を小バカにし...
お前が嫌われる理由はお前の品性が下劣だからじゃね? その文読んだだけでだいたいわかっちゃう 自覚は一生できないんだろけど
でも~じゃん もう一行目からバカ丸出し
保守とかリベラルとか言ったもん勝ち、レッテルつけたもん勝ちの言葉だよね 何を保守するか、何から自由であるべきか、は国によって全然中身違うし、個人個人でも千差万別 それを「...
オタクは、ズリネタを守るために「表現の自由」を用いるけど、「表現の自由」を守るために存在する政治勢力ではないんだぞwww お前はいったい何を期待しているんだ? たとえるなら...
他の「先進」国じゃあって当たり前の与党&政治家批判なんてすぐ炎上するし ・そんなの「批判」の程度や品性次第なんじゃね? ・あとはその時の与党と首相の人気 たとえば小渕...
ミリオタにはクズしかいないな
所詮ネトウヨにも押さてれるやつらよ
氷河期株ニートの主戦場です(笑)
向こうの敵から鉄砲撃たれるより味方陣地の横から鉄砲撃たれるほうが怒る。自分にとって無能な味方が一番怒りをさそう。
全ての人間に自由が与えられた時、力のないものは自由を謳歌することはできないのである 自由恋愛が一般的になった世の中ではモテ非モテが生まれ、 自由経済社会では貧富の格差がど...
リベラルを自称している人達が重んじる思想は"自由"ではなく"リベラル"だヨ 保守(既得権益者)との対比で リベラルが欲するのは"自由"ではなく 自分達に利益をもたらす新たな権益だヨ ...
まさにこれだ フェミニズムも女権運動って言えばいいのにね 勿論女性には権利を求める権利(変な言葉だ)があるしそれは間違ってない 平等とか差別撤廃とかいうのはそれは実態と違...
ただし、オタク側にも… 自分は問題のエロリの様な作品も表現の自由の範囲内だと思っている だから、表現の自由の侵害だと訴えるのは 間違ってはいないと思う でも、例えば自分はヘ...
id:kutabirehateko 従来は男だけが持っていた自由を女にも与え→ 性別問わず人権回復であって「男」の既得権を女に「与える」のではないし、オタクにもリベラルはいるし、ポルノではな...
同じ側の立場の人だと思ってたけど、kyoumoeと言い争ったときに「地下アイドル(?)との過去の思い出に浸ってろよ」と言い放ったのは最高に笑った その前までは、「手を出さなかったのを...
「リベラルって、感情的だよね (続・リベラルがオタクに嫌われる理由)」https://anond.hatelabo.jp/20170625181510続きを書きました。増田ではidコールできないと知って、サブ垢をつくってみま...