明治時代に盗まれた国宝の仏画 レプリカ完成 元の寺に

明治時代に盗まれた国宝の仏画 レプリカ完成 元の寺に
明治時代、国宝に指定された数年後に京都の寺から盗まれ、平成6年になってドイツの美術館で見つかった仏画の“レプリカ”が2年がかりで完成し、元の寺に飾られました。
展示されたのは、京都府綾部市の楞厳寺(りょうごんじ)にあった鎌倉時代の作とされる仏画「絹本著色不動明王像(けんぽんちゃくしょくふどうみょうおうぞう)」のレプリカです。

レプリカは縦およそ1メートル10センチ、横およそ60センチで、右手に剣を持つ不動明王が中央に立ち、3人の童子や不動明王の化身とされる竜の巻き付いた剣も描かれています。

元となった仏画は明治37年に国宝に指定されましたが、数年後に楞厳寺から盗まれて行方がわからなくなっていました。そして、平成6年に今の住職がドイツ・ケルン市の美術館にあることを突き止めましたが、美術館は合法的に購入していたため、返却は実現していません。

このため、寺では美術館や京都市のNPOなどの協力を得て、2年がかりでレプリカの製作を進めてきたということで、最新のデジタル技術で色合いや質感がそっくりに仕上がっているということです。

楞厳寺の為広哲道住職は「大切にお祭りし、時機を見ながら実物を戻してもらえるよう交渉したい」と話しています。

レプリカは、楞厳寺で27日まで一般に公開されます。